仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

『歩兵の本領』   淺田次郎  

2004-05-09 21:55:00 | 讀書録(一般)
歩兵の本領

講談社

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著者名 :淺田次郎   発行年(西暦) :2004年  
出版社 :講談社文庫   値段 :500-600円  
お薦め度 : ☆☆☆☆


自衞隊を舞臺にした連作短篇集。
全9篇からなつてゐる。
作者の淺田次郎は若いころ自衞隊に所屬したことがあつたので、
その經驗を活かした作品なのだらう。

時代は1970年~1971年。
東大の安田講堂に代表される學生運動や、
三島由紀夫が市ヶ谷で自衞隊を前に檄を飛ばした後に切腹した、
ちやうどそんな頃の話である。
「脱柵者」では、三島事件について言及してゐる箇所もある。
三島の説いた「正論」になぜ自衞官達は耳を傾けなかつたか?
それは三島が「よそもの」だつたからだ、
といふ書き方がなされてゐる。

いづれも、いはば「男の世界」を描いてゐて、感銘を受けた。
「體育會」系の運動部の世界に通じるものを感じた。
特に私が好きなのは、
「バトル・ライン」、「脱柵者」、「越年歩哨」、「歩兵の本領」だ。

かういふ「男の世界」があつたつて良いではないか!
まさに「淺田次郎ワールド」である。


2004年4月24日讀了



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