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『朝霧』
著者名 :北村薫 発行年(西暦) :2004年
出版社 :創元推理文庫 値段 :500-600円
お薦め度 :☆☆☆☆
北村薫「圓紫師匠と私」シリーズ第5作。
『空飛ぶ馬』、『夜の蝉』、『秋の花』、『六の宮の姫君』と續いたシリーズ。
これまで女子大生だつた「私」も、本作品では出版社の編輯者になつてゐる。
3篇からなる連作短篇集。
「山眠る」では俳句、「走り來るもの」ではリドル・ストーリー、
「朝霧」では暗號、とそれぞれの短篇で「言葉」に拘つてゐる。
ジャンルとしてはミステリーなのだが、「言葉」そのものについての含蓄が深い。
「走り來るもの」ではフランク・R・ストックトンの有名なリドル・ストーリー『女か虎か』について言及されてゐる。
どうも最近この『女か虎か』には縁があるやうだ。
つい最近讀んだ、霞流一 の『スチームタイガーの死走』でも登場してゐた。
最後に記載されてゐる萬葉集の歌。
朝霧のほのに相見し人ゆゑに命死ぬべく戀ひわたるかな
どうやら、次囘作は「私」の戀物語となりさうな終はり方である。
2004年4月21日讀了
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