仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

『朝霧』  北村薫

2004-05-09 21:29:01 | 讀書録(ミステリ)
朝霧

東京創元社

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『朝霧』        
著者名 :北村薫   発行年(西暦) :2004年  
出版社 :創元推理文庫   値段 :500-600円  
お薦め度 :☆☆☆☆


北村薫「圓紫師匠と私」シリーズ第5作。

『空飛ぶ馬』、『夜の蝉』、『秋の花』、『六の宮の姫君』と續いたシリーズ。
これまで女子大生だつた「私」も、本作品では出版社の編輯者になつてゐる。

3篇からなる連作短篇集。
「山眠る」では俳句、「走り來るもの」ではリドル・ストーリー、
「朝霧」では暗號、とそれぞれの短篇で「言葉」に拘つてゐる。
ジャンルとしてはミステリーなのだが、「言葉」そのものについての含蓄が深い。

「走り來るもの」ではフランク・R・ストックトンの有名なリドル・ストーリー『女か虎か』について言及されてゐる。
どうも最近この『女か虎か』には縁があるやうだ。
つい最近讀んだ、霞流一 の『スチームタイガーの死走』でも登場してゐた。

最後に記載されてゐる萬葉集の歌。

朝霧のほのに相見し人ゆゑに命死ぬべく戀ひわたるかな

どうやら、次囘作は「私」の戀物語となりさうな終はり方である。


2004年4月21日讀了




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