仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「イタリア幻想曲―貴賓室の怪人〈2〉」 内田康夫

2006-05-07 22:38:21 | 讀書録(ミステリ)
「イタリア幻想曲―貴賓室の怪人〈2〉」 内田康夫

お薦め度:☆☆☆☆
2006年5月1日読了


「貴賓室の怪人-飛鳥編」の續篇。

豪華客船「飛鳥」に乘船して世界一周の旅に出てゐる淺見光彦。
そろそろイタリアに到着しやうかといふ時に、自宅にイタリアからのエアメールが屆く。
差出し人は若狹優子、内容は探偵依頼であつた。
若狹優子のもとに屆いた差出し人不明の奇妙な手紙には、「貴賓室の怪人に氣を付けろ」「淺見光彦氏に頼め」と書かれてゐたのである。

淺見が依頼を受けて調査に乘出すと、日本人畫家が殺されるといふ事件が起きる。
どうやら、この事件も「貴賓室の怪人」に關係してゐるやうである。
しかも兄の淺見陽一郎が30年前に經驗した出來事が關係してゐるらしい。

日本赤軍やトリノの「聖骸布」が絡んで來て、事件は過去の出來事に收斂してゆく。

過去の出來事が現在の事件のきつかけとなつてゐるといふ、内田康夫のお得意のパターン。
過去に何があつたのかを淺見光彦が明らかにしてゆく。
その過程が面白いのだが、時に、いくらなんでも「御都合主義」ではないかといふところもなきにしもあらず。
この作品では、日本赤軍とトリノ「聖骸布」がストーリーに厚みを與へてゐて、面白かつた。
しかし、陽一郎と光彦が30年の時間を越えて、たまたま同じ事件に關はるといふのは出來過ぎだらう。

そんな「御都合主義」にめくじらをたてさへしなければ、面白く讀むことができる。


イタリア幻想曲―貴賓室の怪人〈2〉

角川書店

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