「狐罠」 北森鴻

「狐罠」 北森鴻

お薦め度：☆☆☆☆＋α
２００６年５月４日読了


主人公は「旗師」の冬狐堂・宇佐見陶子。
贋作をつかまされた意趣返しに、その相手に對して「目利き殺し」を仕掛け返さうとする。
しかし、その仕掛をしてゐる最中に殺人事件に卷きこまれてしまふ。

この作品を讀んでゐると、古美術の世界の奧の深さがよくわかる。
「なんでも鑑定團」の先生たちも、もしかしたら恐ろしい人たちなのかもしれない、などと思へてしまふ。
そんな、自分の知らない世界を垣間見せてくれるといふ點で、この作品は面白かつた。

さらにいふと、登場人物のキャラがよい。
根岸と四阿の刑事コンビもよいし、陶子の仕事仲間であるカメラマンの硝子もよい。
贋作者の潮見老人に至つては、まるで武道の達人のやうな趣がある。
このやうな人物たちと關はれるといふだけでも、この作品を讀む價値があると思ふ。

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