仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

『 四国八十八カ所―わたしの遍路旅 』 石川 文洋

2009-01-06 19:03:16 | 讀書録(一般)
『 四国八十八カ所―わたしの遍路旅 』 石川 文洋

お薦め度 : ☆☆☆+α
2009年1月6日讀了


著者の 石川文洋 氏は、ベトナム戰爭やカンボジア内戰などの從軍取材で知られたカメラマン。
2003年には、65歳にして、徒歩での日本縱斷の旅を成し遂げてゐる。
岩波文庫『日本縦断 徒歩の旅―65歳の挑戦』

今囘は、2006年から2007年にかけての、四國靈場八十八箇所巡禮の旅、いはゆるお遍路の旅である。
2006年2月に阿波、同年4月に土佐、同年7・8月に伊豫。
當初の豫定では同年秋に讚岐を廻る筈だつたのだが、心臟發作のために入院。
急性心筋梗塞で心室細動を起こして心停止、電氣ショック5囘で蘇生したといふ。

その後のリハビリにより、歩けるまでに恢復。
2007年5月に讚岐を廻り、八十八箇所のすべてを巡禮し、結願。

お遍路の旅で出會つた人たちは、それぞれに人生の惱みを抱へてゐたり、自分自身への挑戰であつたり、目的がある。
著者の場合は、ベトナムやカンボジアで亡くなつた仲間の慰靈であつた。

本書では、「お遍路さん」を暖かく見守る地元のかたとのふれあひが著されてゐる。
「お遍路さん」に何かを與へることを「接待」と云ひ、それが功徳になるのだといふ。

私も歩いて旅をしたい。
68歳に出來て48歳に出來ない筈がない。
たとへば琵琶湖一周でも良いし、紀伊半島縱斷でも良い。
ただ、この本を讀んで、お遍路の旅も良いかもしれないと思つた。
いや、別に宗教心からではない。
地元のかたが徒歩旅行者に慣れてゐる地域など、さうさう他にはないのではないかと思つたのだ。
今のご時勢、下手に公園で寢泊りなんぞした日には、オヤヂ狩の餌食になつてしまふかもしれぬ。
お遍路の旅なら、少なくともそんな憂き目にあふこともないだらう。



<參考>

石川文洋公式ホームページ


カラー版 四国八十八カ所―わたしの遍路旅 (岩波新書)
石川 文洋
岩波書店

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