『イシュタルの娘』ー小野於通伝ー (大和和紀)を読み終えました。(4月21日)
これは2月にメンタルクリニックに定期通院した時に先生(女性です)に勧められた作品なんです。
今のNHK大河ドラマや以前の『真田丸』でも、この作品のシーンがパクられていた(先生曰く)そうなので、興味をそそられました。
ドラマは観ていないので、どのシーンなのかはわかるは筈ないのですが、それだけ有名な作品なのかと。
で、電子書籍リーダー(kobo)を買った時(3月30日)に、すぐに買ったのがこの作品。
全16巻を大人買いしてしまいました。
大和和紀というと『はいからさんが通る』くらいしか知らなかったのですが、この『イシュタルの娘』を読んで、なんて凄い先生なんだろうと思いを新たにしました。
さて、そろそろ内容について。
そもそも「イシュタル」って何?
これ、金星のことなんだそうです。
ローマ神話の「ヴィーナス」っていうのは知ってましたけど、金星のもっとも古い呼び名がこの「イシュタル」で、なんとメソポタミアの美の神の名前なのだそうです。
そういわれてみれば、なんとなく中東っぽい感じがしますね。
金星は日本では「明けの明星」「宵の明星」と云われますが、この作品を読めば「明けの明星」のことだということがわかります。
戦国の闇の世から、戦のない平和な時代への夜明けを迎える、そんな変動の時代にひときわ明るく輝いた星。
時代は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、さらには秀忠、家光にまで及びます。
主人公は小野於通(お通)。
この人のことは初めて知りました。
近年まで伝説上の人物だと考えられていたそうですが、真田家に残された文書でその実在が確認されたとか。
そうそう、真田信之や真田幸村もちゃんと登場します。
信之も幸村もお通に心を寄せていて、お通は二人を兄上と呼んで慕っています。
そして幸村はその最期を迎えた時に、まるで日本武尊命のように白い鳥となって・・・
小野於通はいわゆる文人で、書家として名が通っていて、桃山から江戸初期にかけて小野於通流という書体があったほど。
浅井三姉妹の淀君やお江(秀忠の正室)、そしてお福(のちの春日局)も弟子であったとか。
激動の時代をその才能で生き抜いたお通ですが、近衛信尹(このえのぶただ)との出会いと二人の愛がこの作品に彩りを添えています。
ちなみにこの近衛信尹は、摂関家の近衛家の嫡男でありながら武家に憧れ、なんと元服の折には織田信長から「信」の文字を貰って「信基」と命名されたそうなのです。
摂関家の当主ですから、のちに関白となりますが、この人も書家として有名で「寛永の三筆」のひとりなのだそうです。
なんだか取りとめのないことばかり書いてしまいましたが、とにかく面白い!
安土桃山時代から関ヶ原、豊臣家滅亡、江戸時代の始まりの激動の時代に興味のあるかたはぜひご一読を!
もちろん、お通と近衛信尹の愛もしみじみと良いですよ。
ぼくの好きないわゆる少女漫画のなかではベスト3に入る、お勧めです。
お医者さんのお薦め本の「イシュタルの娘」は、かなりの大河ドラマのようです。全16巻を大人買いして、一気に読まれたのですか。
それだけ面白い中身の証拠です。
うる覚えですが「イシュタル」という名詞は、メソポタミア文明を舞台にした、時空を超えるSF小説に出てきた記憶があります。
日本の劇画には優れた作品があります。
読書と同時に、お散歩して太陽光をたくさん浴びてください。念のため、朝晩2回、体温を測ってください。
家にいる時間が増えて、本を探して再読しています。
その「イシュタル」のSF、探してみます!
「イシュタルの娘」、たかが少女漫画なんですけど、 面白かったです。いや、勉強になりました(笑)