肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

暮らしと健康~心(しん)の弱り~

2024-08-09 16:12:47 | 暮らしと健康
 
夜、草むらから涼やかな虫の音が聞こえ始めました。
暦の上では、もう秋です。

とはいえ、昼間はまだまだ暑いですね。前回に引き続き、夏のお話です。
夏に影響を受けやすい五臓は「心」(しん)です。
「心」は、「血」を全身に巡らせる。
感情、感覚、思考などの精神的な働きをコントロールする。
といった働きをすると考えられています。

「心」は、暑を嫌います。
暑すぎる夏は、「心」を傷つけてしまいます。
また、暑すぎるからといって、冷やしすぎると陽気が上手く発散できず、
熱がこもり「心」が弱ります。

何事も、ほどほどが良いのですが、近年の日本の夏は、暑すぎます。
打ち水や行水、夕涼みのような昔から伝わる方法だけでは涼しくなりません。
また、空調設備の普及で、屋内と屋外の気温差も大きくなりました。
程よく暑い中で過ごし、陽気を発散させることが難しくなっていると感じます。

室温を28℃前後に保ち、適度に体をうごかし、汗をかく、
冷たい物をとりすぎない
など、夏は特に、季節に合った過ごし方を心がけたいものです。

ちょっとしたことで汗が出て止まらない。
舌が赤くなる。力なく笑う。憂鬱になる。
げっぷが多くなる。
これらは「心」が弱っているサインです。
毎日の過ごし方を見直してみてください。

最近、なんだか調子が悪い。
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漢方小噺 ~夏の過ごし方~

2024-08-01 13:57:46 | 漢方小噺
 暦の上では、夏は、5、6、7月の3か月です。
今年は7月19日~8月6日が夏の土用。
8月7日立秋から秋になります。

 ですが、それはあくまでも暦の上のお話。
今年は、10月まで、平年より気温が高くなるらしいですね。
というわけで、先人に学ぶ、夏の過ごし方をご紹介します。

 中国の古い医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」によると、
夏は「蕃秀(ばんしゅう)。
天地の陰陽の気が活発に交流し、陽気が多く発生するので、
生命あるものすべて、花咲き実る盛んな季節」
だそうです。成長の季節ですね。

 その夏の養生法は次のように記されています。
*夜は夜更かしせず、朝は早く起きる。
*日が長くても飽きないようにする。
*春に思い起こした志を高ぶらせることなく、のびのび過ごす。
*体内の陽気を発散させる。
*心に不満をためない、体に熱をこもらせない。

 夏に『ため込まず、ほどよく発散させる』ようにすれば、
秋に疲れが出ず、健康に過ごせるそうです。

 『ほどよく』が難しいのですが、例えば、お風呂。
暑いからとシャワーで終わらせず、
37~39℃のぬるめのお風呂にゆっくりつかってみてください。
特に、冷え症の人は、秋、冬を過ごしやすくなりますよ。

入浴前の水分補給もお忘れなく。
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薬食同源~ハトムギ~

2024-06-21 18:16:03 | 薬食同源
        
 今日は、夏至ですね。夏至に食べると良い物は、地域によってずいぶん違うとか。

 私の母は、季節行事などを大切にし、欠かさず行ってくれましたが、
夏至は特になにもしませんでした。
子どものころ、理由を聞いたら「夏至に、何かするという言い伝えは聞いたことが無い。」
と言っていました。
冬至には、カボチャを食べてゆず湯に入るのに。。と不思議に思ったことを覚えています。

 というわけで、夏至の食にまつわるエピソードではなく、
梅雨入りにお勧めの「ハトムギ」をご紹介します。
ちょうど、今日6月21日に梅雨入りしたようですね。

 ハトムギはイネ科の一年草で、種子の皮をとったものを食用や生薬として使います。
生薬名は薏苡仁(ヨクイニン)です。
五味は「甘(かん)筋肉や精神の緊張を緩める働き」
五気は「涼(りょう)体を冷やし、鎮静・消炎する働き」 があるとされています。
むくみや腫れ、湿邪による痛みやしびれの改善の他、イボ、シミの改善などに用いられてきました。

取り入れやすい食べ方は
【ハトムギ茶】1日分20~30gを水1ℓにいれ、火にかけ沸騰したら弱火で10分煮だし、
       濾したものをお茶代わりに飲む。麦茶を沸かす時に足してもいいですね。。
【はとむぎ粥】白米2:はとむぎ1の割合で水から炊いてお粥に。
       毎日1回、半月たべればイボがとれるとか?

いずれも、蒸し暑く、湿邪の多い梅雨時にお勧めです。
ただし、水をさばく力が強いので、妊娠中、授乳中の方は避けてください。
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漢方いろは~汗のはなし~

2024-06-06 12:19:43 | 漢方いろは
          
 夏場は汗をかくことが多くなります。
体温を調節するためにも汗をかくことは重要です。
しかし、多すぎる汗や暑くないのに出る汗は、体調不良のサインです。

 お客さんとお話しするとき、食欲・お通じ・睡眠・冷えや火照りと一緒に必ず汗についても伺うようにしています。
汗は多いか少ないか、体のどのあたりに多いか、だらだら出るか、じっとりでるか等、
汗の情報も不調の原因の「どこがどうなっているか?」を考える時のヒントになるからです。

 漢方では、汗は「心(しん)の液」ともいいます。
「心」は五臓のひとつで、陽気を生むところです。
陽気は体を動かすためのエネルギーになります。
陽気が皮膚から抜け出たのが、汗。
つまり、汗が多すぎるということは陽気がたくさん漏れ出て、体の中のエネルギーが不足する。
体の表面(皮膚)の守りの弱い場所や邪気が侵入した場所から汗がでると考えています。
普段と、汗の出方が違うと感じたときは、体調の変化に注意してみてください。

 最近、なんだか調子が悪い。
「どこも悪くないですよ。」「様子を見ましょう。」と言われたけれど…
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漢方小噺 ~東洋医学の今~

2024-05-28 18:33:08 | 漢方小噺
   
 先日のNHKスペシャル「東洋医学を“科学”する~鍼灸(しんきゅう)漢方薬の新たな世界」
ご覧になられた方もいらっしゃると思います。
東洋医学のメカニズムの科学的な解明が進み、鍼灸や漢方薬の効果が科学的にも説明されるようになってきました。
西洋医学の治療に鍼灸や漢方薬を取り入れる病院も増えています。

 同じ薬を飲んでも効果のある人とない人がいることを
少し前までは、「だから、漢方は眉唾ものだ。」という見方が多かったように思います。
漢方を深く学んだ人の、「証が違うから」という見方も、
なかなか理解を得られなかったように思います。
 今は、「この違いはなぜだろう?」と疑問を持ち、
効果のあった人となかった人を科学的に分析し解明しようとする動きがあり、
新しい視点からの研究がすすんでいるようです。
ありがたく、嬉しく思います。

 さて、番組の中で、黄疸の改善を目的とした、茵陳高湯の効果の違いについて、
腸内細菌が関係しているのではないかという研究が紹介されていました。
 茵陳蒿湯に含まれる山梔子の成分、ジェニポシドが
腸内細菌によってジェニピンという黄疸の改善に効果のある成分に変わります。
効果のあった人は善玉の腸内細菌が多く、無かった人は少なかったことが分かったそうです。
結論はまだ出ていないようですが、

 これは、病名ではなく証をみて薬を選ぶこと。
漢方薬は空腹時(食前または食間)に服用した方が効果がある。
ということの裏付けにもなるのでは?とわくわくした次第です。
 東洋医学と西洋医学、双方の良さを上手く組み合わせた治療が
どこでも、だれでも受けられる。そんな日がきたら最高ですね。
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