肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

暮らしと健康 ~ショウブ湯~

2024-04-25 17:15:09 | 暮らしと健康
           
ご近所のベランダに鯉のぼりが飾られました。
晴れた空にひらひらと泳ぐ鯉のぼりを見ていると気持ちが晴れやかに、元気になりますね。
子どもの健康を願う親の気持ちはいつの世も変わりません。

端午の節句には、「ショウブ湯」と言って、生のショウブの葉をお風呂に入れて浴する習慣があります。
身体を温め、腺病質に効き目があるとされ、子どもの健康を願って伝えられてきたものだそうです。
腺病質(せんびょうしつ)というのは、体格が小さく、痩せ気味で、リンパ節などが脹れやすい、小児の虚弱体質のことです。
まっすく勢いよく生えているショウブの葉に子どもが無事に成長する姿も重ねたのかもしれませんね。

ショウブ湯は、身体を温めるので、冷え症や肩こりなどにも効果があるようです。
桃の葉と一緒に入れると「あせも」にもいいそうですよ。
生の葉は、子どもの日が近くなるとスーパーなどで売られています。
今年もショウブの香りに包まれてゆったりお風呂を楽しもうと思います。
子どもだけでなく、大人にも嬉しい効果のショウブ湯のご紹介でした。

参照:「くらしの薬草と漢方薬」 共著 水野瑞夫/太田順康 新日本法規
   「漢方と民間薬百科」 大塚敬節 著 主婦の友社

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薬食同源 ~ヤツメウナギ~

2024-04-12 15:41:40 | 薬食同源
           
ヤツメウナギは、北海道から東北地方日本海側の河川でとれる天然魚です。
ヤツメウナギが、薬として使われるようになった歴史は古く、
かの水戸光圀が命じて編集させた「救民妙薬」にも「雀目薬(夜盲症の薬)」として記載されています。
昔から、目の弱りや体の疲れに効くとして、食されてきました。
今も、郷土料理として、かば焼きや唐揚げにして食べられているようです。
当薬局にも、ヤツメウナギの乾物があります。
乾物は、丸焼きにしたものを砂糖と醤油で煮て食べるそうです。
残念ながら私は、まだ食べたことがありません。

実際、ヤツメウナギには、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、鉄などの他、
DHAやEPAなど脳の活性化や免疫力UPに効果があるとされる栄養素が豊富に含まれています。
とはいえ、ヤツメウナギそのものを食べる機会はなかなかありません。

「強力八つ目鰻キモの油」はヤツメウナギを主原料とし、発売から80年のロングセラー商品。
名前もパッケージも強烈ですが、ソフトカプセルなので、肝油の味を感じずに飲むことができます。 
黄金の粒で、見た目も愛らしいですよ。

興味のある方はお問い合わせください。

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暮らしと健康 ~肝の弱り~

2024-03-29 15:19:00 | 暮らしと健康

 春は「肝」に影響を与えやすい季節です。
 東洋医学では「肝」は、
 ※「気」「血」の流れをコントロールする。
 ※「血」を蓄え、全身の「血」の量を調整する。
という働きをすると考えられています。

 春は、「肝の気」が高ぶりやすくなります。
この時期に怒りすぎる。強い風に当たる。などするとさらに「肝」を傷つけてしまいます。
のぼせる。イライラする。目が充血する、目が見えにくくなる。涙が多くなる。
爪がもろくなる。声が大きくなる。強い口調でよくしゃべる。足や手がつる。
口が苦い。脇が重い、痛い。
これらは「肝」が病んでいるサインです。
これらのサインに気づいたら、春の養生法『ゆったりのびのび』を思い出して、
一日のうちに少しでも緩める時間を見つけてください。
(詳しくは 漢方コラム 漢方小噺~春の過ごし方~をご覧ください)

「肝」を元気にする食材は、酸っぱい味の物。にら。鶏肉などです。
木の芽の酢味噌和え。鶏肉とニラの炒め物、鶏肉入りの酸辣湯もよさそうですね。
 不調が強くてつらい方は、
「肝の熱」を鎮める。「気」をめぐらす。「血」を補う。
など。おひとりおひとりの状態に合わせた漢方薬がお勧めです。

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漢方小噺 ~春の過ごし方~

2024-03-16 10:49:08 | 漢方小噺
 春は、寒かった冬が過ぎ、植物が芽生え、虫や動物も動き出し、生命の輝く季節です。
中国の古い医学書「黄帝内経」によると、春は「発陳。すべての物が発生し、つらなる季節」だそうです。
万物が生き生きと芽生え、栄える季節というわけですね。

その春の養生法は、次のように記されています。
*夜は早く床に入り、朝は早く起きる。
*朝、ゆったりと散歩し、体をのびのびと動かす。
*頭や体を締め付けるような髪型、服装はやめる。
*急激な労働をしない。
*冬の間にしまい込んだ志を思い起こす。
このように『すべてをゆったりとのびのびさせる』

 人も自然の一部です。春に芽生える万物と同じように、心も体ものびやかに、
冬にため込んだ陽気を発生させれば、健康で長生きできると説いています。
 とはいえ、今の世の中、4月から生活や仕事の環境が変わる方も多く、緊張したり、頑張ったりしがちですよね。
また、真面目な方ほど「早寝早起き」を意識しすぎて、できないと自分を責めてしまうことも。
引き締めすぎている自分に気づいたら、『春はゆったりのびのび』を合言葉に、大きくうーんと伸びをして、力を抜いてみてください。
少しスッキリしますよ。
「意訳黄帝内経素問」小曽戸丈夫+浜田善利共著、築地書館を参照しています。

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暮らしと健康 ~湿の多い時の過ごし方~

2024-02-14 14:30:32 | 暮らしと健康

暮らしと健康 ~湿の多いときの過ごし方~
 前回の投稿にも書きましたが、2024年は、十干十二支では、甲辰(きのえたつ)の年です。
中国の古い医学書「黄帝内径 運気篇」によると、今年は、「土」の影響が強く、湿気の多い一年になりそうです。
どんなことに注意して過ごしたらよいでしょうか。  

 その前に「土」について、少し説明します。
東洋医学の考え方のひとつに五行説(ごぎょうせつ)があります。
この世のあらゆる事物、現象は、木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)の五つの要素からできているという考え方です。
このうちの「土」の性質は、万物を育てる力。水を吸いとり制するので、湿が多くなると考えるのでしょう。

 体の中で、湿の影響を受けやすいのは、脾・胃です。
日ごろ丈夫な人や自然治癒力のある人は平気ですが、弱い人は要注意です。
口が苦い、口内炎ができやすい、唇が荒れる、よだれやしゃっくりが多くなる、無性に甘い物が食べたくなるのは変調のサインです。
食事の量を加減し、消化の良い物をとるようにしましょう。
また、脾が病むと思い悩んだり、無意識に鼻歌を歌ったりするそうです。
そんなときは、「胃腸が弱っているせいで悩むのね!」と気持ちを切り替えて、脾・胃を労わってあげましょう。

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