肩の凝らない漢方の話

漢方薬にまつわるあれこれを、気の向いた順に語っていきます。
私たちの生活に根差した漢方の世界をご紹介します。

スイカ

2022-08-19 16:42:48 | 薬食同源
残暑お見舞い申し上げます。
 最盛期は過ぎてしまいましたが、まだまだスイカのおいしい季節ですね。
 暑さしのぎの王様、スイカのお話をします。
 
 スイカ(ウリ科)の原産地はアフリカです。暑い時の代表的な果物です。
 4000年前からエジプトでは栽培されていた様子が壁画にも描かれているようです。
 11世紀頃中国に西域から渡来したので、西からの瓜で西瓜と呼ばれるようになったようです。
 日本には16世紀ころ中国から渡来し、江戸時代に庶民の果物として盛んに栽培されるようになりました。
 明治後期にアメリカから入ってきた品種と交配されて、ヤマト西瓜が出来たようです。

 スイカは夏の農家の主要な収入源でした。
 私の子どもの頃は大八車(だいはちぐるま)に一杯積んでスイカ売りが来たのを覚えています。
 井戸で冷やしたスイカを家族で囲んで、毎日のようにスイカパーティーをしていた覚えがあります。
 そのころ植物ホルモンのコルフィチンで処理した「種なし西瓜」が出回りましたが、最近は見かけなくなりましたね。

 スイカは身体を冷やす働きが強く夏の暑さしのぎにはもってこいです。
 昔から、民間薬としても使われてきました。
 90%が水分でカリウムやシトルリンを含み利尿作用があります。
 腎臓病、膀胱炎、心臓病、高血圧症などの予防や改善に応用されてきました。
 夏の一時期だけしか見られないので絞り汁を煮詰めて西瓜糖を作成して用いられてきました。
 尿の出が悪く浮腫のある時に用いると効果抜群です。
 大き目の西瓜2~3個から約200㏄とれます。自分で作るのはちょっと大変そうですね。

 果糖などの糖分を多く含むので疲労回復や夏バテ予防にも、
 またカロチン、ビタミンA、B群、C等を含み動脈硬化や夏風邪や紫外線によるシミなどの予防にも良いようです。

 スイカの種子は中華料理にも出てきます。干した種を炒って食用にします。やはり、利尿の効果があります。
 果汁は、あせもに。皮は乾燥したり、黒焼きにして口内炎に使います。
 この様にスイカは実だけでなく、種や果汁、皮まで美容と健康に良いとされてきた夏の果物です。
 そんなスイカの効用に思いをはせながら、スイカを味わってみてはいかかでしょう。
 

 漢方薬には「暑気を覚まして元気を益す」という薬方「清暑益気湯」があります。残暑厳しいこの季節、一度ご相談ください。

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