「内田 康夫」原作ドラマ、“浅見 光彦”シリーズの初代主役「榎木 孝明」(1956年生まれ)は 5年前、約 1ヶ月の“不食生活”を終え、テレビカメラの前に立ちました。(不食とは、“絶食”や“断食”と同じで何も食べない事) 何とも、異様な会見でした。 「不食会見」? 本来 人間は、水も食べ物も口にしなければ約 1週間で死ぬと言われています。 ただ 「榎木」は、水と数個のアメを口にし飢えを凌いだ様です。 それにしても、一般人には真似が出来ない勇気ある行いです。 ある意味で、“武士道精神”とか“宗教上の修行”を想像してしまいました。 インタビューを受けた「榎木」は、痩せて少々老けた印象でしたが、目には生気が宿っていて安心しました。
私の憶測ですが、「榎木」は 還暦を目前に二枚目俳優からの脱却を試みたと思います。 あえて老け顔を晒す事で、今後の役者人生を模索したのではないかと感じました。 いくら“男前”でも、迫り来る老化は避けられないのが現実です。 目尻や口元のたるみ 喉のシワは、化粧では隠し切れません。 「榎木」は、あえて命懸けの不食にチャレンジし、肉体の限界を自ら見極めたと想像します?
“絶食”・“断食”・“不食”は、生きる糧を自らの意思で断つ事です。 食べ物が無く、“餓死”する事と全く違います。 誰でも、“絶食”や“断食”に挑戦できます。 しかし 有名タレントが、“不食”を公開するのは「如何なものか」です。 若い女性の、“ダイエット”と違います。 一歩間違えると、死に繋がる危険な行為です。 役者「榎木」は、演技(芸)で勝負する冪です!
日本人は古代から“農耕民族”で、穀物や野菜を糧に生きて来ました。 島国・日本は、魚介類に恵まれています。 必要なタンパク質は、海産物で十分です。 動物を食べる文化は、代々無かったと思います。 そう言えば 海の“漁師”と同じく、山の“猟師”が存在します。 イノシシ・シカ・クマなど、四つ足を狩猟する職業です。 その多くは 農業の傍ら、害獣を駆除する兼業だったと思います。 元々日本には、“肉食”を必要とする文化は無かったと思います。
5代将軍「徳川 吉綱」の時代 “生類憐れみの令”により、四つ足の生き物を捕って食べてはならないと、お達しがあった様です。 俗に言う「犬将軍」による “強権”であり“狂犬”です。 狂った将軍のイメージがありますが、実際は江戸市中に野良犬(柴犬や紀州犬か?)が増えた事を憂い、巨大な犬小屋(施設)を造って保護したのが事実の様です。 その時代の言い伝えが、「ウサギの大きな耳は羽で、ウサギは空飛ぶ(跳ぶ)鳥」と、野鳥として狩猟を認めたと言う逸話があります。 それ以降 明治初期まで、日本に肉食の文化はありません。 牛や豚の飼育は、昭和時代に始まった様です。 “和食”や“精進料理”は、元来 自然に優しいと思います。
“不食”・“ダイエット”の否定が、“日本の食”に変わってしまいました。 要するに 食べる事や飲む事は、古今東西 人間が生きる上で最も重要な“日常”であり、“和食”は優れた“文化”と強調したかったのです!