木村文彦の東京ライブが決まった。
来年、2月10日(日)と11日(月祝)の2DAYSとなる。アルバム『キリーク』がリリースされて以来、待ち望まれた東京公演であり、少し遅きに期した感もあるが、今回はエレクトロニクス奏者、鈴木學氏の招聘という形で、やっと実現した。
従来より、そのライブに於いて多彩なパーカッション群を縦横に演奏し、身の回りの日用品など、あらゆるモノを叩きながら、そのパフォーマンスは視覚的にも見ごたえがある木村だが、ここにきて更なる変化、進化を見せている。即ち、その身体表現が木村芸術の領域に大きく食い込んできたのである。以前からダンサーやマイムアーティストとのコラボレーションが多い木村であったが、最近ではそれらのエッセンスを自らに吸収し、演奏に並行しながら、その身体を動かすパフォーマンスに磨きがかかり、打楽器を打ち鳴らすパフォーマーとしての自己を確立しようとするその勢いが見られるのだ。先日、見たライブでは大きなアルミバケツを両手に持って走り回ったり、地面に置かれた10枚ほどのシンバルの上を転げまわったりしていた。挙句の果てはトランポリンでバイーン、バイーンとジャンプし音を発する’演奏’も聴かせていた。もっともこういったパフォーマンスはその会場ごとに可能な範囲で行っており、それが全てではないのだが、私は木村文彦の表現欲求がここにきてマグマのように沸点に向かいつつあるのを感じている。今回の東京公演の会場ではそういった身体表現をフルに発揮することはできないだろうが、それでも木村の演奏するその‘動き’に注目していただきたいと思っている。静謐から激しい波動へ展開し、時にコミカルな要素を見せる木村文彦の表現全体を鑑賞できれば幸いである。
先日、エリオットシャープのワークショップにて、エリオットは木村に特別、興味を示したようで、終了後の食事の席で、木村に「どんな演奏者に影響を受けたんだ?」と尋ねていたが、木村は返答に困っていた。あまり、他の影響を受けていないのが事実なのだ。「ポールリットンを知ってるか?」という問いにも答えられない。私に言わせれば、そのスケールの大きさで木村はポールリットンにも勝っていると思っている。
自らの身体の奥底から発せられる表現。
東京のオーディエンスは今回、初めて‘木村ショック’を受ける事になるだろう。
木村文彦 公演日程
2013年2月10日(日)
木村文彦 (打楽器)
池上秀夫 (bass)
秋山徹次 (guitar)
鈴木學 (electronics)
at Ftarri 水道橋開場 7:30 開演 8:00
\1,500
2013年2月11日(月祝)
木村文彦 (打楽器)
広瀬淳二 (sax)
徳久幸太郎 (voice)
鈴木學 (electronics) at l-e 大崎 開場 7:30 開演 8:00
\1,500 + 1ドリンク
臼井康浩(gt)宮本隆(ba)木村文彦(per)Improvisation 2012.11.28
Elliott Sharp & Kimura Fumihiko木村文彦 Improvisation 2012.11.28