暇にあかせて

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形にします。

不思議なアーケード

2013-02-24 21:22:33 | 

「最果てアーケード」  小川 洋子著

不思議な世界です。生きている人も非現実的だし

亡くなった人も非現実的。

でもそこにはっきりと「ある」と判るのが

「愛」なのです。

非現実的なレース屋さんの常連客は元舞台衣装を一手に引き受けていた

衣装係りさん。今も衣装を作り続けています。使われる当ての無い衣装を・・

彼女の仕事場には裾のレースが引きちぎられたシュミーズが飾られていて

悲しい物語が・・・・

百科事典を愛した少女は突然この世を去り

その父親は彼女の愛した辞典を最初から最後まで写しきります。

写し終わった後は何処へ行ったか二度と現れることなく・・・

その他剥製に入れる義眼だけを作り販売している店には

うさぎを愛した女性が訪れたり

ドアのぶだけを販売しているお店には不思議な空間があり・・

紙屋さんにあるのは古い絵葉書や使用済みの絵葉書まで。

知らない言葉で書かれた絵葉書も手に取っていると

書いた人の気持ちが何となく伝わってくるようで・・・

どの店もそこを訪れる客達も全て非現実的。

でも やわらかい包み込まれるような いつまでも一緒にいたいような

そんな不思議な一冊でした。