今年も散歩道の途中、いつもと同じ場所につくしが生えた。


都会の住宅街に生えているせいか、少しひ弱そうで、取ってみようとは思わないけど、
毎年結構な量のつくしんぼが生える。
見ると、子供の頃、線路の土手の斜面に生えるつくしを取りに行ったことを思い出す。
子供の足で1時間くらいかけて、つくしを取りに行っていた。
つくしは、子供にとっては決しておいしいもの、ご馳走ではなくて、
いっぱい取って嬉しい気持ちにはなるものの、帰る道道、これを食べるんだと思うと、
暗い気分になったものだ。それだけ食糧事情が悪かったんだろう。
大正生まれのおふくろは、灰汁抜きをして、一家の夕食の、
主菜の次くらいのおかずにしていた。
大人にとっては美味しかったのかも、なのだが、子供には美味しいものではなかった。
今食べたらどんな感じなのかな、と思ってはみるが、やっぱり尻込みしてしまう。
もう60年くらい昔の思い出。
まだ蒸気機関車が走っていた線路の土手には、今みたいなフェンスもなくて、
自由に出入りできた。たまに冬眠明けのマムシが線路の真ん中でとぐろを巻いていたり、
結構な遠足気分だった。。
そして、暖かい春の陽射しに、土手に毎年いっぱい生えるつくしんぼ。
懐かしいあの頃の生活を、フッと思い出させてくれる近所のつくしんぼの風景。
タイムスリップさせてくれてありがとうというべきかな。