『バングラデシュ~虐殺の9ヶ月~』(1972年 インド)
またまたお久し振りということで、いきなりではあるが俺はこんなに恐ろしいサントラは聞いたことないぜ!クーッ!!
監督:ルイ・スークレブ
音楽:アラン・アミン
またまたお久し振りということで、いきなりではあるが俺はこんなに恐ろしいサントラは聞いたことないぜ!クーッ!!
バングラデシュ、すなわち東パキスタン独立の戦いを長篇ドキュメンタリーとして制作されたインド映画だ
音楽はアラン・アミンの「自由への9ヶ月」とベンガルの8才の子供が作ったと言われる、いわば作者不詳の、今もバングラデシュで歌い継がれているベンガル語の歌が途中までアカペラで歌われている「美しきベンガルの地」。中途半端に歌の途中にドカーン!!という爆音!!
ホラー映画等のように作り物の怖さとは違い、一瞬戦慄を感じるその爆音は、本当に怖い!この爆音の瞬間に歌っている子供も死んでいるのかと思うと、本当に怖い!!
こうしたインド映画には革命による戦いを描いた作品は多く、サタジット・レイ監督の『家と世界』等が挙げられるが、ドキュメンタリー映画なだけに生々しい恐ろしさが伴うんだぜ!クーッ!!
このシングル盤はキャニオンの映画音楽専用レーベルのシネ・ディスクレコードから発売されている(現在は廃盤)
アラン・アミンのギター伴奏だけの「自由への9ヶ月」、現地の子供が歌う「美しきベンガルの地」どちらも人々に聞いて知ってもらいたい、そんな名盤とも言えるかもな!
このレコードはYouTubeにないので、長いけど時間の許す時にでも、ここに挙げた映画そのものをご覧戴きたい
残念ながらギター伴奏による歌は映画の中では確認できなかったので、アラン・アミンの歌がどんなものなのかは分かりません。太い声と、ギターと違う楽器の伴奏によるそれらしい歌はあったのですが、もしあれがそうなら人を元気づける効果のある歌だとは言えそうです。なお、アラン・アミンというミュージシャンは見つかったものの、明らかに別物です。
映画は確かに生々しいものでした。事実の持つインパクトは圧倒的で、モンド映画の香ばしさとは別種のパワーがあります。途中まではドキュメンタリー映画というよりはドキュメンタリー番組という感じでしたが、「終わりの方で死体の見せ方が優れていたこと」、「そのまま、新しく始まった日常につなげていくところ」が見事な演出だったので、これは番組ではなくて映画だと思わされました。あ、別にTV番組を映画より下に見ているわけではないです。作中には民謡調の歌や革命家風の歌などシングル盤には収録されてないとおぼしき曲も複数ありましたが、これらが全部音盤として出たとしても、映画本体なしでは雰囲気等伝えることはなかったように思われます。
事実上の戦勝国であるインドが作った映画にしては勝利の高揚や誇らしさの要素が少なく、惨禍が目立つ作りになっているのはある程度公正な作りとも言えるのでしょう。パキスタンを非難するくだりが多いのは確かですが、これがインドによるプロパガンダ映画だとしても、もっと自国礼賛を前面に押し出した形で制作することもできたのですから。それをしなかったことで、結果的に(?)映画は戦争の実態を正確に伝える内容にはなっています。ですので原題の「自由への9ヶ月」が日本版では「虐殺の9ヶ月」となっているのは、むしろ作品の内容に沿っているとも言えます。台無しな邦題が少なくないだけに、これはかなり珍しいことです。
またしてもコメントの返信が遅くなってしまい、大変申し訳ないです。
映画の方もご覧になられ、詳細をご報告頂きありがとうございます。
「美しきベンガルの地」の歌の途中に入る爆音は、場面の変り目だったわけですね。
あれ、レコードだけ聞いていたらビックリしましたよ。
これまでになく、何と恐ろしいサントラだと。生々しく聞こえましてね。
この戦争はインドが勝利したものですが、変にそれを讃えるのではなく、正にその真逆の捉え方をしていて、戦争の残虐無道さを映し出して、モンド映画にはない甘美さはないところに、私的に好感を覚えます。
「自由への9ヶ月」アラン・アミンの歌はYouTube動画の映画の中では流れなかったということは、この映画はかなり長編とのことなので、YouTubeは幾らか短くしてあるようですので、ひょっとしたらカットされていたのかも知れません。
ここでは音楽:アラン・アミンと記しましたが、実際には正確な音楽担当者はいないようです。
私も映画の方を一度観てみようと思っています。
シネディスクはキングのセブンシーズのような日本のレーベルですが、映画音楽専門の、これまた渋さの光るレーベルで、お抱え楽団がシー・バレンツ・オーケストラですから、サントラもカバーを渋いところを突いてきますね。
有名どころではリズ・オルトラーニの『バラキ』がありますし、あと『ダニエルとマリア』や『ビューティフル・フレンズ』なども。
洋邦の映画の貴重なレーベルでした。
今後も掘り起こしてみたいですね。