逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

さっぱり盛り上がらない参議院選挙、深まらない政策論議

2016年07月10日 | 政治
5月19日民進党の頭文字Mを赤と青で図案化した党のロゴマークを公募で決定したが、あずきバーの井村屋のロゴマークに似ているとネットで話題になる。
民進党の前身である民主党には「民主くん」というゆるキャラがいたが、新ロゴ決定を受けて井村屋の「あずきバー」との2ショットを披露した。


@minshu_kun
政界引退したボクには関係のないことですが、民進党の新しいロゴマークが決まりました!あずきバーを電子レンジでチンしたらお汁粉になるそうです!#井村屋のロゴに似ている?

『参議院選挙がさっぱり盛り上がらない(政策論議が深まらない)ことが新聞のニュースになる異常事態』

3年前の参議院選挙で52%の低投票率で大勝した自民党としては選挙戦術として二匹目のドジョウを狙っているのかも知れないが、7月10日投開票の参議院選挙が与野党の政策論議が噛み合わないことが最大の原因で、さっぱり盛り上がらない。
このままでは間違いなく前回以上の低投票率になることは必至である。
ひょっとすると唯一投票率が5割を割った村山富市政権(1994年6月30日~1995年7年8月8日)当時の参議院選挙の再来になる可能性まである。
21年前の1995年(平成7年)7月23日に行われた日本の参議院議員通常選挙では44.5%という前代未聞・空前絶後の低投票率を記録しているが、今回はこの記録的低投票率を破る可能性まであるのですから怖ろしい。
21年前に有権者の過半数以上が投票しなかった原因はあんがい簡単で、第一党の自民党と第二党の社会党の大連立である村山政権成立を見て、日本人の大部分が呆れ果てたからに過ぎない。今まで長年繰り広げられていた与野自民党(大連立の成立当時は野党)と野党社会党(当時は8党連立与党の一員で最大政党)の政策論議は『建前』であり、丸っきりインチキな出来レース(八百長)だったのである。
(当時は政治改革の標語のもとで日本共産党以外のすべての政党が一度は与党入りして、今に続く小選挙区制と政党助成金を導入して、日本国の政治を極限まで劣化させている)

『憲法改正(非常事態宣言の制定)の本音を隠す自民党、はっきり「原発反対」を言えない民進党』

抵投票率での自民党大勝で念願の憲法改正に必要な3分の2の議席獲得を目指す自民党ですが、選挙戦が始ったら途端に『憲法改正』を言わなくなった。
その代わりに安倍晋三とか公明党が盛んに取り上げているのが野党攻撃である。自公両党は、掲げる党是や政策が違う民進党や共産党などの野党統一に対して『野合だ』と主張しているのですが、そもそも現在の(国民政党を標榜する)自民党と(破壊的カルト宗教の創価学会)公明党の連立政権以上の野合は無い。掲げる党是や政策が完璧に違っているのです。
それなら安倍晋三とか公明党の行っている野党批判はブーメランのように自分に返ってくる。
ところが野合政権である自公両党の野党統一候補への『野合だ』との口汚い非難ですが、一概に『間違いだ』ともいえないのですから困った話である。
この原因は、原発反対を言えない野党第一党の民進党の『ふがいなさ』『だらしなさ』(曖昧さ)に尽きるのである。(この事実は有権者が一番よく知っていて、結果的に今の民進党の支持率は1割未満の最低の水準にとどまっている)
今の野党統一は『改憲の阻止』で一致しているが、実は話が逆さまで、野党統一で『原発反対』を打ち出せない致命的な弱点があるから、何とも致し方ない成り行きで当面一致している護憲(改憲の阻止)を掲げている側面がある。(唯一の一致するスローガンである『護憲』も民進党内には自民党以上に右寄りの松下政経塾出身の改憲派議員を内部に抱えている)



『日本の未来を、市民の一人一人が自ら選らぶとんでもなく大事な参議院選挙』

毎日新聞で長く科学担当のコラムを担当していた青野由利専門編集委員が投票日前日の7月9日(土曜日)に『未来を選ぶために』と題して、参議院選挙で原発が争点になっていない現実を厳しく批判しているが当然であろう。
青野編集委員が指摘するように、(時期に違いがあるが)共闘する野党のベクトルは『原発はやめる』で一致しているのである。ところが自民党のベクトルは原発維持で一致している。
それなら当然、今回の参議院選の争点として浮上してくるはずだが現状はそうなっていない。
今回の不思議な野党と対照的なのが、2年前の東京知事選で、地方選なのに都民の生活を一切語らず『原発やめろ』だけの不真面目極まるローガンで細川元首相を担いで選挙戦を戦って100万票近くを取ったペテン師の小泉純一郎である。
この二人の元首相ですが、細川の方は二十数年前に政治改革だと信じて小選挙区制と政党助成金で日本の政治をボロボロにした愚か者で、小泉の方は十数年前に悪魔の碾き臼新自由主義で日本経済をボロボロにした極悪人である。
日本を極限まで劣化させた国賊級の二人組ですが、そもそも東京には原発は一基も無く、いくら正しい政治政策でも『原発やめろ』は国政選挙では当然でも都知事選のスローガンとしては何とも場違いだった。

(出馬当初は泡沫候補と思われていたのに)『3年前の東京選挙区で反原発で当選した山本太郎』

歴代で3番目に低い3年前の参議院選挙よりも投票率が低い中で、7月10日のYahoo! JAPANのアクセスランキングの1位が7月9日(土) の『三宅洋平氏演説に窪塚洋介、山本KID徳郁ら応援』との記事だった。
日刊スポーツによると、山本太郎の推薦をうけた三宅氏は演説で『安倍晋三さんに国民栄誉賞をあげたい』と話し、その理由を『自民党改憲草案があまりにもひどく、70年も戦争をしない平和を守ってきた憲法のすばらしさを気付かせてくれたからだ』と語ったという。
3年前に定数6の東京選挙区で唯一フクシマの放射能被害を訴えた政治的には無名の山本太郎が5位で当選し、対照的に与党民主党が当初2名だった候補を一人に絞った鈴木 寛文部科学副大臣が落選する大番狂わせが発生していた。(鈴木 寛は子供たちの被曝限度を年20ミリシーベルトに引き上げた張本人)
もともとはJR渋谷駅前で最後の演説をする予定だった三宅洋平陣営は『ハチ公広場は最大でも5000人規模。それ以上の聴衆が見込まれていた』と、品川駅港南口に約2万人が集まった。今回の選挙戦が盛り上がらないどころか、参議院選挙に対する東京都民の関心は十分に高いのである。

『一字違いで大違い』

与野党政治家の不思議な原発に対する態度を毎日の青野氏は、『過去をきちんと検証し、教訓をくんでいないからではないか』(まったく検証できない。→検証できないので教訓も出てこない)としているが、一字違いで大違い。
そもそも、政府もマスコミも(たぶん、共産党を含む野党も)同じで『過去(フクシマ)を検証しない』のではなくて一字違いで大違い、『検証したくない』のである。
いま日本人は全員がフクシマの現実を『見たくない』と思っているが理由は簡単で、もしも真面目に検証したら『すでに日本が破滅している』との結論が出るのを薄々知っているのでしょう。結論が恐ろしいので検証作業を避けているのである。
『過去の検証と教訓』どころか、大爆発から5年が経過したフクシマを誰も彼も怖がっていて、原発問題を一切考えたくもない。
今回の参議院選で与野党の政策論議が深まらず盛り上がらないのも、実は与党自民党が怖がっている以上にマスコミが怖がっていて、一切参議院選挙をまじめに報道しないことに尽きるのである。
目の前の参議院選を報道しない(したくない)から、結果的に(挙国一致の『猫だまし』として)まだ始まってもいない東京知事選の候補選びで大騒ぎしているのですが、あまりにもマスコミの態度が不真面目すぎるのである。(瞬間芸である『猫だまし』を今の日本のように延々と続けられたら誰でも飽きてくる)

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5 コメント

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甲状腺がんの患者が2000人 (宗純)
2016-07-11 14:57:05
小松天皇さん、コメント有難う御座います。

甲状腺がんの患者が2000人を超えた頃だとすれば、これは4年後の2020年の東京オリンピックと時期が重なります。
ヒートアイランドが今ほど深刻ではなかった半世紀前の東京オリンピックですが秋の10月10日開催だったのです。
ところが、
4年後の予定は7月24日から8月9日という、日本列島が酷暑で苦しむ一番トンデモナイ日付になっている。
もしも開かれればですが、観客もアスリートも放射能とは無関係に熱中症でバタバタと倒れて大勢が死ぬことになる。
これではスポーツではなくて、まるっきり死ぬか生き延びるかの過酷極まるサバイバルゲームになります。

桁 喜世二さん、コメント有難うございます。

多くの日本人は民主主義の意味を『投票すること』だと勘違いしているのですが、
そもそもの、本当の民主主義とは全く別の意味で、国家に不正があれば普通の一般市民が手に手に武器を取ってバスティーユ要塞を襲撃することらしいですよ。
ところが日本人が直接行動に出たのは第一次世界大戦後の米騒動程度の例外的な話。自分で勝ち取った民主主義ではないのです。
無制限の現状肯定との、日本独自の『随神の道』なのでしょうか。

「日本文化における時間と空間」加藤周一
2013年06月23日 | 文化・歴史
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/28d14142157fc73bec08215e377cee06
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投石ならぬ投票 (桁 喜世二)
2016-07-10 11:43:50
蟷螂の斧だと思わば思え、意味の無い紙礫だと思わば思え、我は権利を行使せり。
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Unknown (後小松天皇)
2016-07-09 19:07:56
ブログ主さんへ質問

 これから東日本を中心に健康被害は深刻になると思うのですが、いつ頃からマスコミを含めて日本人はそのことに気づくのでしょうか。
 甲状腺がんの患者が2000人を超えた頃だと私は思うのですが。




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大本営発表の法則、あるいは受容に至る5段階 (宗純)
2016-07-09 16:32:01
太田さん、コメント有難うございます。

今日の毎日新聞では青野由利専門編集委員が原発事故の検証と、そこからの教訓を主張しているのですが、・・・
フクシマの検証では出てくる結論は既に決まっている。今まで全員で放出された放射能がチェルノブイリの10分の1だと言い続けているのですが、これはMARKI原発では格納容器のドーナツ型 のサブレッション・チャンバ(圧力抑制室)内の水を通って放出されるので100分の1になっているとの計算なんですが、早々とメルトダウンして圧力容器を突き抜けている。それならほぼ丸ごと放射能が弱められることなく環境に放出されているでしょう。これは駄目ですね。
安倍晋三自民党の非常事態宣言(戒厳令)と疎開(強制移住)が実は一番の正解だったというオチでは、誰も検証する気にはならないのです。

今回ですがマスコミが全員で必死に投票率を下げよとしているのですから、間違いなく前回を下回る。
我々としてはもう、村山内閣当時の最低記録の更新なるかとの自虐ネタを楽しみにするくらいでしょう。



今日の毎日新聞ですが、
昭和史のかたち:「大本営発表」の法則=保阪正康 -が何とも暗示的。
毎日新聞の . この法則とは、、今では虚偽や詐話の代名詞になって いる「大本営発表」は846回行われたが、初期は声高に頻繁に行われたが、次には言い逃れ、最後は沈黙への移行する日本的な騙しの手口というか、マスコミの言論統制なのですが、…この記事を読んで思い出したのが、『受容にいたる5段階』。
自分の死が避けられないと知った時に、最初は否定とか怒り、黙殺や取引などの段階を経て最後には『受容』に至るのですが、
フクシマから5年後の今の日本は全員で丸ごと完全否定で誤魔化しているのです。...
しかし、普通にフクシマの核事故を客観的に検証すればアウトとの結論しか出てこないのは当然なのです。だから誰も検証したくないのでしょう。
全面否定や怒りから最後には受容に至るのですが、別に人間が進歩するからではなくて、病状が悪化するので体力的にも気力的にも限界にきて、仕方なしに受容に至るらしいのですよ。今の日本ですが否定できるだけの体力が残っているということでしょう。







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日本の未来は戦争ではなく、戒厳令と強制移住 (太田)
2016-07-09 14:32:58
宗純様は私の言いたい事をコンパクトにまとめて下さるので助かります。
野党の「日本が戦争をする軍国体制に成る!」
というのはネトウヨの「中国が沖縄に攻めてくる!」と同じくファンタジーですよ。

実は賢くて合理的なリベラル派や護憲左派よりも、嘘つきで知能に欠落の有る安倍晋三の方が「日本国民の権利を制限して戒厳令をしないと」という、現実的な(?)政策に基づいている可能性が有るのです。
左派知識人や野党の考える日本帝国の復活よりも現実は恐ろしく、自衛隊が警察予備隊に立ち返り、治安維持や国内統制に使用されるのでしょう。

自民党が日本会議などカルト宗教に支配されている事や福島第一メルトスルーを大々的に喧伝すれば野党は勝てるかもしれないのに、
反改憲のみしか言わないのは不自然で成りません。
(自民党から共産党まで、地下茎では戒厳令は仕方がないと成っているのかも)
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