逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

目が離せない北朝鮮

2009年03月20日 | 東アジア共同体

ミサイル、早急に対処方針=北朝鮮発射なら迎撃含め検討-浜田防衛相
 
浜田靖一防衛相は19日、北朝鮮が長距離弾道ミサイルとみられる「人工衛星」を発射した場合の対応について、「各省庁からの意見も含めて官房長官の下で整理をした上で決める。
そう時間をかけようとは思っていないので、相談しながら早急に考え方を決めたい」と述べ、ミサイル防衛システムを活用した迎撃を含め、早急に政府としての対処方針を決定する考えを示した。

衛星」発射なら制裁強化も=麻生首相
北朝鮮が「人工衛星」を発射した場合の対応について、「4月13日には制裁期限がくる。制裁をさらに強める案を含めて総合的に判断する」と述べた

『なんとも大人気ない日本政府の対応』

どこの国であれ(北朝鮮であっても)国際法上、人口衛星なら制裁できない。
98年のテポドン発射(人口衛星の打ち上げ失敗)の際は、事前通告も無く、国際宇宙条約にも未加盟で、周辺の関連諸国に対する礼儀知らずにも程がある行為だったが、其の弱点を日本政府に突かれて、危険なミサイル発射実験として安保理決議まで可決される失態を演じた。
この時の日本政府の対応は『お見事』としかいえないだろう。
北朝鮮の小さな失敗を上手く利用して、日本は大いに点数を稼いだ。

今回北朝鮮は前回の失敗に懲りたのか、国際条約上の守るべき約束事を完全に踏んでいる。
北朝鮮政府は軍事独裁政権だが、過去に学ぶ『学習能力』は有るという事だろう。
問題は日本政府である。
前回は成功しているからといって、今度も上手く北朝鮮を引っ掛けられると思っているらしいが自分だけに都合がいい『二匹目のドジョウ』は何処にもいない。
今回は軍事対応まで口にする凄まじさで、何とか点数を稼ごうとするが余りに学習能力が無さすぎる。
口先だけで大きい事を言うぐらいなら良いが、万一他所の国の人口衛星発射実験をミサイル攻撃するなどを、実際に実行したら、日本の信用はどの様になるか少しは考えてからものを言ってほしい。
過去にイラクの原子炉を空爆して破壊したイスラエルでも、イランの人工衛星発射実験に対しては何もしていない。

『イラクと連動していた北朝鮮問題』

拉致問題が解決するためにの一つの方針として、北朝鮮を米軍が攻撃するシナリオを想定して、其の代償として小泉政権はイラクへの自衛隊『派兵やむなし』の結論に達したとある。
日本政府には、北朝鮮問題を考える根本姿勢に問題があったのである。
軍事オプションは果たしてありえるのか。
一軍人ならいざ知らず、政治家には政治的な考え方(先を読む力)が何としても必要でしょう。
今すぐに北朝鮮政府が崩壊したらどの様な事が起こるか冷静に判断する知性が必要になってくるが、今の麻生政権に求めるのは無いものねだりに近い要求である。

『数百万人の難民を受け入れられるか』

他所の州でのコンビ二強盗はピストルだがフロリダ州では自動小銃や軽機関銃が使用されるらしい。
理由はキューバ難民が大量に住んでいて反カストロの武装組織が幾つも存在している特殊事情がある。
カストロ政権を弱体化させ転覆させる為にキューバを経済封鎖して、以前は亡命を奨励していた。
この政策はアメリカにとっても、余りにも弊害が大きいので、今では亡命を奨励していなくて海上で見つけた場合は追い返すがキューバ難民がアメリカに一歩でも上陸した場合には今でも入国を認めている。

『自然な原理、原則』

基本的に、水が高いところから低いところに流れる様に、経済格差があれば低いところから高いところに人は移動する。
今でもキューバ以外でもハイチ難民やその他の中米諸国や、地続きのメキシコ人不法移民は数千万人もいるし、今でも続々とアメリカを目指して押しかけている。
今回左翼政権が出来たエルサルバドルは長い内戦の結果、600万程度の国内人口に対して難民としてアメリカに入国した亡命者は250万人という凄まじさである。

日本の場合には今でも韓国からの密入国は一番多いが、韓国が戦乱に見舞われれば日本の親類筋を頼って大勢が押しかける。
日本に北朝鮮からの難民は今のところは少ないが、北朝鮮政府が崩壊すれば100万人単位の難民が日本を目指して日本海を渡って来る。
特に、日本政府が北朝鮮の政権崩壊に手を貸していたとすれば、まさか国際法上も人道上も難民を追い返すなどできるはずもない。
長年地域社会の規則を守って暮らしてきたフィリッピン家族を国外追放する、今の日本社会に数十万~数百万人の北や南の朝鮮人(韓国人)難民を受け入れるだけの余力や度量があるとは到底思えない。
韓国にしても日本にしても中国にしても北朝鮮の突然の崩壊ではなく、穏やかな民主化(ソフトランディング)以外の選択肢は存在していない。

威勢の良いの政治家の口車に乗ることより、外国がどういう戦略で外交に望んでいるか、各地の紛争、動乱がどのように起き、結果がどうなったか、そこからどういう教訓が得られたか、今こそ日本人は冷静な知性や判断が求めれている。


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5 コメント

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コメント有り難うございます (ブログ主)
2009-03-29 13:07:05
「閔妃暗殺」も「21カ条要求」も多分知らないと思いますよ。
日本の天皇陛下とか皇后陛下が、皇居に乱入した外国軍に拉致された挙句に惨殺された歴史があれば、誰でも怒るし忘れるはずもない。
何十年経とうと日本を怨んでいるでしょうね。
過去の日本のしでかした悪行に対して韓国、北朝鮮、中国に文句を言われるのは歴史を学んでいない若い人には辛い事でもあり理不尽にも感じるでしょう。
其処に、日本の過去の間違いばかり教えるのは『自虐史観である』との考え方が魅力的に見えてくる。

人は『成功』からは何も学べず、『失敗』から一番大事な知識や教訓を学ぶ。
失敗を認めないものは、同じ失敗を繰り返すものです。
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反日 (ましま)
2009-03-22 19:46:42
日本軍を繰り込んでそこでくり広げた「閔妃暗殺」、「21カ条要求」を知った上で「反日批判」をしてほしいものです。
日本は「神州不滅」。外国軍のもとで「押しつけられた」のは平和憲法制定と経済復興でした。
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コメント有り難う御座います (ブログ主)
2009-03-22 09:29:22
南の韓国は今でこそ民主国家だが、ほんの20年ほど前は北朝鮮と良く似た軍事独裁国家だった。勿論拉致もやっていた。
そして日本も60数年前は今の北朝鮮よりも何倍も酷い、比べられないほど悪い国だったのですよ。
其処のところをうっかり忘れると話が間違った方向に進みます。

『日本の言論状況』の話ですが、これは憂慮すべき危険な状態です
。危機的と言っても良い。
特にここ10年ほどで極端に凄まじく悪くなった。
『北朝鮮と日本の言論状況は実は酷似している』との評価は実に厳しいが、頷ける点も多く有りますね。





タイトルも名前も無いもの、あっても通りすがりなどの個人の識別の出来ないも、不真面目と看做したものは原則的に削除して掲載していません。
お手数でしょうが次回からは何でも結構ですからタイトルの記入を御願いします。何卒良好なブログ環境維持の為に、ご協力のほど御願い致します。
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Unknown (pop)
2009-03-22 08:42:32
北朝鮮と日本の言論状況は実は酷似している事を、我々は本当は気付いている。だからこそ北朝鮮に対してヒステリックに口撃するのだ。
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Unknown (lop)
2009-03-21 22:59:28
麻生さんはまた失言したようですが
どうなんでしょうね
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