逝きし世の面影

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「印象操作」東京電力発表の14m巨大津波

2011年04月11日 | 放射能と情報操作

解析によって示された津波の最大波高分布。システム上、最大10mの波高までしか示していないが、地点によっては10mを超える計算値が出た(資料:建築研究所国際地震工学センター)

東日本大震災の本震で、宮城県沖の海底が最大で約55メートル動いたと見られ、最も大きな地殻変動があったのは、宮城県牡鹿半島の200キロほど沖の海底で、陸側のプレート(岩板)の先端部分にあたる。幅約55キロ、長さ約160キロにわたり、南東方向に約55メートルもずれて、海底が約5メートル隆起したことが分かった。
陸のプレートの先端が、跳ね上がりながら激しく動いたことが裏付けられ、海底の地下の浅い場所で大きな地殻変動があったことが、大津波につながった。 (東京大地震研究所の解析)

『気象庁の検潮所の記録した波高7・3mが最大』

太平洋沿岸にある気象庁の検潮所の波形データは、地震後すぐに送信が途絶えており、正確な津波の規模は把握できていなかった。
気象庁の観測データでは、観測機器が健在だった福島県相馬市(福島第一原発から42キロ北方)で記録した波高7・3mが最大であった。

『悪質な東京電力に印象操作・世論誘導の疑いが高い』

津波は14、15メートル 福島第1原発(東電)
(産経新聞2011.4.9)
東日本大震災で福島第1原子力発電所を襲った津波の高さが約14~15メートルだったことが東京電力が9日、発表した調査結果で分かった。
東電は同日、震災当日の津波の画像を公開した。
(この東京電力提供の福島第1原発の事務本館1階玄関付近の映像では、床から天上までの大きな壁面ガラスが割れているが浸水の痕跡は無い=3月29日)

『福島第2原発の津波の高さは半分の7メートル!』

(3月中頃時点で読売産経など多数が報道)
福島第2原発では津波の高さは約7メートル。海水系ポンプが設置された海側エリアはほぼ全域が浸水したが、主要建屋エリアでは建屋周辺の道路などの浸水に留まり、第1原発に比べ被害が少なかったという。(福島第二原発は福島第一の南10キロ地点)
今回東電は、副島第二原発でも福島第一で14メートルと誇大宣伝した影響で同じ14メートルの数値で統一する暴挙に出た。
今までの長い間、福島第二原発の津波高が7メートルと報道していたマスコミ各社は、これに対しては何一つ、口を開かず東電の印象操作に協力している。
御粗末な記事で有名な産経新聞では、最初の福島第一原発事故の報道では14メートルの津波と書き、記事の終わりに福島第二原発の津波が7メートルと恥ずかしげもなく書いているお馬鹿記事まであるのですから、これはもう大笑いである。

『津波は震源に近いほど早く到達する』

今回の巨大地震による津波で震源地に一番近い宮城県では20分以内に到達した地点もあり、約6時間で7回の津波が繰り返し沿岸部を襲っている。
震源とは少し遠い福島第一原発を襲った第一波の到達は地震発生から41分後の午後3時27分だった。

『女川原発の津波は13m(東北電力の推測)』

女川原発襲った津波は13m、想定を4m上回る
東北電力は7日、女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)で観測された3月11日の津波の高さが約13メートルに達し、想定の9・1メートルを超えていたと発表した。
敷地のほとんどは浸水をまぬがれ、全3基が冷温停止している。
地震計の記録を分析した結果、3号機の原子炉建屋地下では最大加速度573ガルを記録、想定の512ガルを上回った。
一方、日本原子力発電も東海第二原子力発電所(福島第一原発から南約110キロ茨城県東海村)で高さ約5・4メートルの津波が観測されたと発表した。想定する高さ5・7メートルは下回っていた。地震の揺れも、耐震設計の想定を下回った。
(2011年4月7日 読売新聞)

東北電力の固い岩盤上にある女川原発の敷地高さは海面から14・8メートルの高さだったが、地震に伴う地殻変動で約1メートル沈下して13・8メートルになっていることが国土地理院の調査で分かった。
この僅か80センチの高差が女川原発を津波被害から救った。
2つの原発の明暗が分かれたのは、福島第1原発では想定された津波の高さがたったの約5・6メートルだったのに対して女川原発は9・1メートルに設定していたことと、立地のわずかな違いだった。
チリ津波など度重なる津波被害に苦しめられている東北電力では事前の津波の設定値が、東京電力などその他の電力会社よりも高めに設定されていたことが幸いして今回辛うじて被害を免れている。
ところが他の電力会社では東北電力よりも大幅に低く津波の高さが設定されており、東京電力では新潟大地震で被災した柏崎刈羽原発の1~4号機は海抜5メートルの位置に設置されていたが、震源地が内陸部だったので幸い津波は起きていない。
今回の福島第一原発事故をうけて急遽新たに防潮壁を設置すると発表するが、妨潮壁の高さや着工時期は未定。

『初期報道では、福島第一の津波は6~7メートル』

福島第一原発から南58キロ地点の福島県いわき市小名浜での津波高は3・3メートルである。
津波の高さは地形に大きく影響され、湾口が広くて奥がすぼまっている構造の地形では津波の高さが集束するので極端な被害が及ぶし、川などを遡る場合にも津波高以上の遥かに高い地点まで津波の被害が及ぶ。
単純な地形の福島第一原発の場合では、何れも当てはまらない。
福島第一から50キロ北の相馬市で7・3メートルで110キロ南の東海第二原発で5・4メートルなら、今回の東京電力が発表した14メートルなどは大法螺に近い誇大発表であろう。
実際に福島第一原発を襲った津波の高さは6メートル程度であった可能性が高い。
地震直後の報道では6メートル、あるいは7メートルだったのですが原発事故が明らかになった途端に、津波の高さが『2倍』になる。
岩手や宮城では津波高さの報道がある。
南の茨城や千葉の津波の高さも報道されている。
ところが問題の福島県だけは信用有る機関の津波高さの報道が無く、何故か東京電力だけが自分勝手に高さを推定して発表している。
しかもそれが、当初の6メートルから7メートルだった津波の高さが、今回の東京電力発表で突然14メートルにも倍化したのですから、真実である可能性は低すぎる。
今度の東電の発表は、責任逃れの悪質なプロパガンダである可能性の方が遥かに高い。

『現実に起こったことを目のあたりにした貴重な証言』
海が白い壁、ポンプ次々流され…地震当時の原発  読売新聞 3月18日(金)

(6メートルの巨大津波が襲う東京電力福島第一原子力発電所)
『海を見ると、サァーッと海面が沖に向かって引いていくのが見えた』。
11日午後、同原発6号機近くの関連施設にいた男性技術者は、地震の激しい揺れが収まり、屋外に避難しようと階段を駆け降りたところで、海面の異変に気付いた。
あわてて階段を上って屋上から海を見ていると、
約30分後、水平線の向こうから白い壁のような巨大津波が押し寄せてくるのが目に飛び込んできた。
高さ約6メートルに達する大波は、同原発沖合に設置された、幾重にもある防波堤をのみ込んでいった。

(地震で破壊された1号機の配管)
1号機内で電気設備関連の作業中だった男性作業員の証言では、
『建物の廊下では、ずれた金属製配管の継ぎ目から、水が勢いよく流れ出ていた。』
余震が続く中、非常灯で薄暗い階段を懸命に駆け降りたが、『出口の扉は本当に開くだろうか』と心配になったという。
 放射能に汚染されているかもしれない水の怖さより、このまま原子炉といっしょに閉じこめられてしまう恐怖の方が強かった。その後、1号機は水素爆発で建屋が大破。『あそこに閉じ込められていたらと思うと足がすくむ』と語る。

『Google Earthでの数値は』

福島第一原発の1~4号機の設置されている敷地の標高は最低値7・8メートル。5~6号機では最低値が13・5メートルである。
東京電力発表の数値である敷地高さ10メートルとは福島第一原発1~6号機の平均値である。
しかし今回問題になっているのは1~4号機であり、5~6号機には問題が生じていないのですから、間違いではないが?限りなく詐欺に近い意識的な誤報で、悪質なデマ情報。
典型的な印象操作の類である。
Google Earthでの標高の測定精度は地上の構造物にも影響される可能性が有り、実際の地表の測定値はもう少し、数メートル低い可能性も有る。




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8 コメント

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統一地方選挙目当ての悪質なプロパガンダ疑惑 (現田石)
2011-04-10 13:17:19
現田石です。この東電の発表ですが、4月10日つまり今日の統一地方選挙にあまりに近いですね。
公職選挙法の精神に悖る可能性も追求すべきだと思います。
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東北電力が9日に (宗純)
2011-04-10 14:17:19
現田石さん、コメント有難う御座います。

自分のことで精一杯で選挙のことまでは考えていない。
前日に女川原発の東北電力が13メートルの津波高と先に発表しているので、東電も仕方なく出したのでしょう。
地震当時3月11日時点では6から7メートルだったのです。
ところが翌日の12日には早々と1号機の原発が水素爆発する。
この辺りからですね津波が『想定外』と宣伝する為に突然15メートル以上に嵩上げされたのは。
10日の発表までは15メートルだったのですよ。ところが震源地に近い女川でも13メートルなのです。
それで仕方なく、少しだけ遠慮して14メートルにされたのです。
福島第二原発では長い間最初の発表の7メートルと言っていたのですね。
今回それも14メートルで統一する。
当たり前なのです。
福島第一と第二とは10キロの近距離にあり、倍も違ったのでは嘘が丸判りで、いくらなんでも阿呆臭い。
同時に東電から発表された敷地の映像が何よりも真実を映しています。
当たり前ですが、
福島第一の海水の取水口付近の防波堤辺りには明確な津波の痕跡がある。
ところそれ以外の場所では、前の記事の正面玄関の映像と同じで水没の痕跡が無いのですね。
散乱する瓦礫は爆破の跡であり、津波には関係ない。
玄関のガラスの割れたのも津波とは無関係で地震に見える。
建屋は浸水していない。
何処にの矢張り海水の跡が無いのです。
津波の損害ですが。あったとしての極々軽微な損害なのでしょう。
作業員の証言では津波到着以前の最初の地震で配管が壊れて盛大に冷却水が漏水していたのです。
空焚きによるメルトダウンですが発表よりも早く起きていたのでしょう。
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非常用ディーゼル発電機は本当に起動したのか? (透明)
2011-04-10 14:53:59
津波直後の福島第一原発の映像があるのですがこれを観ても水たまりが大変少ない事から4、5mも水没したという今の報道は信じられませんね。
それと非常用ディーゼル発電機が津波が来る前の時点でどの程度まともに動いたのかということですね。
これは原発の耐震性という事と共に原発というシステムの信頼性評価に大きな影響があるとおもいます。
「東北地方整備局は23日、東日本大震災で津波に襲われた直後の福島第1原発の空撮映像を公開。11日夕、国土交通省の防災ヘリから撮影。」
http://www.47news.jp/movie/general_national/post_2886/
また非常用ディーゼル発電機の動作不能という事故はアメリカの原発でも多発しています。
http://www.nsc.go.jp/senmon/shidai/jikobun/jikobun007/siryo6.pdf
そして福島第一原発の非常用ディーゼル発電機も頻繁に不具合が発生していますねこれは一例です。
http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2007/pdfdata/bi8114-j.pdf
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傷口を深くする (ましま)
2011-04-11 11:00:51
<東京電力発表の数値である敷地高さ10メートルとは福島第一原発1~6号機の平均値である。

発表は、
1~4号機敷地海面から約10m
5~6号機敷地海面から13m
のようです。

<散乱する瓦礫は爆破の跡であり、津波には関係ない。

津波直後という動画もリンクされていますが、爆発前にがれき以外の津波の破壊の跡が校内に見て取れます。


発表と同時に海側から撮影した航空写真も公開されており、仮に情報の操作をしたとすれば、あとで検証され、ますます賠償などへの損害の傷口を広げることになります。

表現に多少の我田引水があるにしても、ここはまあ事実関係を覆せないのではないでしょうか。

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何百メートルも離れた丘の上から (宗純)
2011-04-11 11:24:30
透明さん、コメント有難う御座います。

国土交通省の防災ヘリから撮影された動画ですが、良く映っている。
ところが、それなら何故テレビなどの映像メディアでは放送されないのでしょうか。?
実に不思議ですね。
しかもこのビデオですが何故か全画面表示にはされない設定で小さいままでしか見れない欠点がある。
テレビで報道されてものは東電社員が遠方からの風景写真風の津波で起きた巨大な水柱らしきものの不鮮明すぎる映像です。(このビデオでは足元の海岸部分では津波は判らない)
垂直の岸壁に波がぶち当たって高いしぶきが上がるのは当然であり、これだけ巨大だと飛沫だけでも相当な水量で建造物やなんかを破壊出来そうですよ。
東電のビデオ映像では何処までが浸水したかの証拠としては何の役にも立ちません。
その点このご紹介の国土交通省の防災ヘリから撮影は鮮明に津波被害を記録している、
そして1~4号機だけを撮影していて、その他の原発施設や3~5号機は最初から問題無しとして除外して行ったのでしょう。
もう少し大きな画像なら良くわかるのに残念です。
テレビ局が放映しない理由ですが、
矢張り東電に遠慮して腰が最初から引けているのです。
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平では無い原発の敷地 (宗純)
2011-04-11 12:36:00
ましまさん、コメント有難う御座います。

>発表は、
1~4号機敷地海面から約10m
5~6号機敷地海面から13m
のようです

だから余計に『東電による悪質な印象操作である』と怒っているのです。
このからくり(仕掛け)は、極簡単で原発の敷地が平ではなく傾斜しているのです。
そして東京大阪など都会人は『敷地とは平である』と無意識に信じている。
しかし、これは大都市だけに通用する常識であり原発などがある田舎では、都会の良識は通用せずまったく別なのです。
油断も隙もありません本当に東電は悪賢い。
原発の山側では、確かに東電発表の事実の通り10メートル以上ですが、7メートルとは海側の高さなのです。
そして津波被害で肝心なのは山側ではなくて海側の高さだと言うことは誰でもが知っています。
ですから、矢張り東電の公式発表は許されない印象操作であり、悪質なペテンです。
そして津波被害ですが、東電提供の動画に有るように、これだけ巨大な波頭の飛沫なら相当な量の海水が施設を襲っていて、有る程度の被害も出て当然であるでしょう。
しかし、これは津波の高さとは直接的には無関係。
津波高さと海水がかかった高さとは全く別ですが、東電では意識的に混同して市民を惑わしているのです。
実は東電提供の映像にも津波の直撃を受けたものが含まれています。
原発敷地は7メートル台でも、実は一段低い5メートルの高さの岸壁にも建物や構造物があったのですが、この映像は凄まじい。
原発敷地内の映像の破壊の程度と、この5メートルの岸壁上の破壊の程度が違いすぎる。
それなら岸壁上の被害の酷さとは、津波の直接の被害なのでしょう。
ところが、それよりも格段に軽微な原発敷地内の被害とは津波で出来た巨大な波頭の飛沫による損壊であると解釈すれば、この両者の違いが簡単に説明できます。
福島第一原発を襲った津波の正確な高さですが、矢張り初期の報道の通りの6メートル~7メートル程度の大津波だったとした方が、全ての疑問が解消されます。
返信する
やはり、津波ではなく、地震が引き金でしたね。 (カーク)
2011-04-30 18:27:40
もうご存知のことだと思いますが、私も今、ツイッターで知りました。27日の共産党吉井議員の質問で福島第一の外部電源喪失が津波ではなく地震による受電鉄塔の倒壊だったことを保安院の寺坂院長が認めたとのことです。意やあ、ほんとに騙される所でした。
返信する
東北電力の女川原発 (宗純)
2011-05-01 10:57:27
カークさん、コメント有難う御座います。

13メートルの巨大津波が襲ったが無事収束した東北電力の女川原発と、トンデモナイ大騒動で収束の目途さえ立たない福島第一の違いですが、何のことは無い、地震による受電鉄塔の倒壊による外部電力の途絶の有無だけだったのですよ。
本当に腹がたちますね。
つい最近ですが、女川原発の体育館には今でも沢山の避難民が収容されているのですが宮城県知事が事故後1ヶ月が立った時点で原発を視察しているのです。
分かったことは、津波高よりも原発敷地の方が1メートルも高かった(14メートル)のですが、それでも海側の取水口から海水が逆流して非常用ディーゼル発電機が全てアウトになっているのです。
何と東京電力の福島第一と全く同じ状態であったのですね。ところが鉄塔が倒壊しなかったので外部電力の確保に成功して女川原発は無事冷温停止に成功していたのです。
正に間一髪だった。福島第一との違いはほとんど無くて際どい差だったのですよ。恐ろしいですね。
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