逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

経済心理学(行動経済学)から見る現代日本の姿

2013年12月20日 | 政治

『不確実性や不完全情報からの非合理的な経済学』

今までの伝統的な近代経済学ではアダム・スミスの『見えざる神の手』理論のように、完全合理性を備えた経済人(ホモ・エコノミクス)を仮定してきた。
しかし実際の経済現場では違っている。『神の手』による修正ではなくて、その反対の不確実性や不完全情報の方が優先して仕舞い、合理性から大きく逸脱する。
第一次世界大戦後の負の連鎖による世界恐慌のようなことが現実には起きてしまうのです。
経済心理学とは今までの経済学と心理学が合体したようなもので、人間の『合理性の破綻』に一定の法則性を見つけて解明しようとしたもの。
経済行動の心理学的側面に注目した経済仮説である。
もしも丁半賭博で連続してサイコロが10回連続して偶数がでれば11回目には全員が奇数の方に賭けるが、確率法則より主観的判断を優先しているのであり、サイコロが八百長で無い限り偶数奇数は毎回2分の1の割合なので、11回目でも同じ確率なのです。

『合理性と非合理性の狭間』

経済心理学の『代表性仮説』では、賭け事でコインの表が連続して10回出ると『次は逆目だ』と思い込む賭博真理のは正反対に、『今まで表が続いていたのだから次も表だ』と思いこんでしまう。
代表的な例では、日本が高度成長期からバブル崩壊まで株価や土地価格が連続して上がっていたので、『これからも間違いなく上がり続ける』と日本人の全員が勘違いして、経済が土台ごと崩壊の瀬戸際まで追い込まれたのです。
八百長で無い限り、1回目でも10回目でも確率は『2分の1』(同じ)なのですが、多くの人々は前後の主観的情報に引きずられて判断を誤るのです。
『今度は逆目が出る』も『必ず継続する』も、どちらも明らかな『間違い』なのです。
主観的情報が主であるフロイトやユングの心理学が広く世間に認められている米国とは違い、日本では客観的な検証作業が不可能に近いので肩身が狭く心理学は偽科学に近い扱いを受けている。
経済現象をめぐる人間の非合理的な判断や行動には、一定の法則性があるが、経済学と心理学が交差する経済心理学(行動経済学)には怪しい未解明な部分が一杯なのです。

『損切りが出来ない素人投資家』

素人投資家の失敗の代表例である『損切り』が出来ない仕組みも、経済心理学的に見ると案外分かりやすい。
経済が拡大局面なら株価が上がるので、一般の素人投資家でも優良な企業を見つけることさえ出来れば成功するが、逆の株価下落時に『損失の確定』である『損切り』がなかなか出来ないので大失敗して全財産を失うことになる。
結論の『先送り』による大失敗は何故起きてしまうのか。
経済心理学の『代表性仮説』なら、株価が連続して下落していれば『今まで続いていたのだから次も』と思うので、結論は『売り』しかないのでヘッジファンドなとプロの投資家は保有株を売り払い『損きり』を行うのです。
ところが、大多数の素人投資家では売り払わず保有し続けて大失敗する。
この判断の間違いの原因が『損害の確定』を嫌って、『最小の損害の(可能性のある)手段を選択する』との経済心理学(行動経済学)の法則である。(もしも株価が持ち直せば売らずに持っている方が利益になる)
結果的に損きりの結論を先送りして、『売り』時期を失って仕舞う。
ヘッジファンドなどプロの投資家では株価の連続下落時には早い時点での『損害の確定』(売り)こそが、現時点での『最小の損害』に押さえる可能性が最大である(高い)と知っているのです。

『先送りで日本の破綻を誤魔化す安倍晋三の目論見とは』

現時点の安倍晋三政権ですが、日本国としての『損きり』の決断が出来ない。
仕方が無いので単に『先送り』して誤魔化そうとしているのですが、これでは将来の日本国の破綻は確実なのである。
福島第一原発の放射能被害は出来る限り早く『損害の確定』(損きり)するしか手は無いのだが、大本営発表やら特定秘密保護法やがん登録法で国民の目や耳を塞いで『先送り』しているが、これでは益々損害は雪だるま式に増えていくばかりである。
しかも最大の日本国の不幸は、右傾化の煙幕に誤魔化されて、損きりが出来ず『先送り』している安倍自民党政権の実体を、誰一人も正しく認識していない事実である。
何故共産党など左翼は、これ程簡単なインチキが見破れないで『21世紀の治安維持法だ』『日本がアメリカと組んで世界中で戦争する』など見当違いの方向で騒いでいるのだろうか。
何とも不思議である。到底理解出来ない。

『「福島から一人も逃がさない」悪魔的な政府自民党』

今の自民党政府ですが、やっと放射能汚染地域に『直ぐには帰れない』事実を認めたのですが、これに反発しているのが地元自治体とか共産党なのですから、言葉もありません。
住み慣れた故郷を捨てるのは誰だって辛い。出来れば今までと変わらずに住み続けたいのは人情です。
放射能は安全安心、心配ないと騙して汚染地域の疎開を引き伸ばして、『除染して、全員帰還』を今まで政府が言い続けていた。
これを純朴だが権威に弱い(政府を信じている)保守的な住民が信じていた。
何故か不明だが、『除染して全員帰還』を共産党社民党など護憲左翼陣営も言い続けていたのです。
この『除染して全員帰還』の隠れた本当の意味ですが、『一人も逃がさない』との悪魔の飽食、21世紀の巨大な731石井部隊の人体実験ですね。禍々しい犯罪行為であり、決して言い逃れ出来ない極悪非道、悪魔の所業である。
11月14日共産党が第26回大会の決議案を発表しているのでが、、福島原発事故の被災者,避難者に対する対策や具体的提案が全くない。
13節にただひとこと、
『国の責任で、全面賠償と、命・健康・暮らし・環境を守る対策を徹底することを求める』の1行だけなのですから驚き呆れる。

『進化心理学から見る「だまし」のメカニズム』

進化心理学の石川 幹人は、人類は300年前の過酷な狩猟採集時代の生き残りに有利だったので『人は、だまされる』ように進化したと主張する。
社会性の生き物である人間では『騙される』(他者を信じる)方が自然(多数派)であり、疑う方が異常(少数派)なのである。
人類は数百万年もの長い間利害が一致する血縁関係にある数十人以下の少人数の共同体で生活していた。
そのために(相手が家族とか親族の場合)疑わしくて『納得できない』場合ても、他人の言葉を『とりあえず信じる』ように進化した。
石川 幹人よると、社会全体では『疑う心』は常に少数の例外なのである。
親しい少数の人間集団では一々相手の言葉を疑うよりも、無条件に『人を信じる』方が圧倒的に有利なのです。
ところが近年(数千年前)になって血縁関係に無い巨大な人間集団(社会とか国家)が出現してくる。
共同体内でも支配被支配の上下関係が生まれ、利害が相反するにもかかわらず、人類は以前の『とりあえず信じる』モードのままなので、子供騙しの見え透いた嘘でも多くの人々が結果的に騙される。
荒唐無稽にも思える石川 幹人の『人が騙されるのは人類の進化の過程である』(社会の進化に人類の進化が追いついていない)との進化心理学ですが、3・11以後の政府や東電のお粗末過ぎる嘘八百を信じる多くの人々を見ると、俄然信憑性がでてくるから不思議である。
普通の大人なら絶対に信じないであろう無茶苦茶が、現在平気でマスコミが垂れ流し多くの人が疑うことなく信じている様は、悲惨すぎてとても正気とは思えない。
一億総痴呆状態なのである。
今の日本国の状態は『人類とは、そもそも信じる(騙される)ように進化した生物だった』とでもしないと、到底説明が付かないのです。

『特定秘密保護法で賛否が逆転しているマスメディアの異変』

何が秘密であるかが秘密の摩訶不思議な日本の特定秘密保護法に対しては、流石に善良で暢気な日本人も警戒して80%が反対している。
新聞も地方紙では大部分が反対しているしペンクラブや弁護士会など全ての有識者も反対している。
ところが、ところが世の中は面白い。
実は大手マスメディアでは賛否が拮抗。2対3で賛成の方が多数派なのである。
この恐ろしすぎる重大な事実を何故だか理由は不明だが、反対する多くの人々が全員無視しているのですが、矢張り辻褄が合わない。
読売や産経ははっきりと賛成でありNHKもどちらかと言うと賛成派である。
全国紙で反対は、毎日新聞と朝日新聞の2社だけなのですよ。
明らかに政府のマスコミ対策である特定機密保護法に対して、卑しくも、報道人なら誰一人として賛成など到底『有り得ない』のですね。(今は推進派の森雅子担当大臣も谷垣貞一法務大臣も、以前でははっきりと反対派だった)
ところが実際には特定秘密保護法に賛成する摩訶不思議な連中が沢山出ているのですから、『何かが可笑しい』『何かの裏がある』と感じるべきです。

『特定秘密保護法賛成の読売社説の謎』

読売新聞は社説で、社共など左翼の反対派が『治安維持法である』としているのを、『世の中を知らないのだ、時代錯誤であり戦後民主主義への無理解である』と非難しているが、実は共産党など左翼よりも(この部分だけなら)読売社説の方が正しい。
『21世紀の治安維持法』に見えるのは事実ですが、丸っきりのインチキで、 間違いに誘導する赤いニシンであり明らかな『偽装』。これは国家による悪質な『猫だまし』である。
日本は病的に極限まで右傾化したが、それでも近隣アジア諸国よりも軍国化していない。
北朝鮮に比べれば日本は健全そのもの。徴兵制のある韓国や中国と比べても、憲法9条のある日本の軍国主義化など問題にもならない水準です。
今の日本よりも中国韓国の方が遥かに軍国主義なのです。
私が『日本が病的に極限まで右傾化した』と主張しているのは30年前の日本自身と比較してなのです。
30年前どころか10年前の日本に比べても、今の日本が病的に極限まで右傾化したのは明らか。
今の日本人ですが基本的に人が殺せないので軍国化したくても出来無い。
軍事オタクの石破茂が言うように本物の軍隊を作る為には命令拒否は死刑か懲役300年が必須要件なのですが、今の日本では無理なのです。

『すでに失われていた日本国』

大嘘つきの詐欺師の胡散臭い発言だからとしても即座に『全て嘘だ』とは断定出来ないし、知恵足らずのお馬鹿の言葉だから『間違いだ』とも即断するべきでは無い。
嘘つきの愚か者とは『全て嘘を言う人』の意味ではなくて、真実と嘘との区別のつかない困った人のことですよ。
これからの日本を待っている不幸は軍国主義ではなくて、矢張り福島第一原発の放射能の健康被害の爆発による国家滅亡でしょう。
腹立たしいが右翼的な読売の社説の方が共産党など左翼より正しいのですが、何とも情けない話である。
福島第一原発事故の擬装収束宣言記念日の12月16日総選挙で安倍晋三自民党が掲げたスローガンは『日本を取り戻す』だった。
共産党など左翼だけではなくて、多くに人々が『日本を取り戻す』を聞いて阿呆臭いと笑ったが、安倍晋三の言葉は嘘でも誇張でもなくて実は『真実そのもの』だったのである。
真実は恐ろしい。
去年の総選挙の時点で祖国日本は既に『失われていた』。
安倍晋三の『日本を取り戻す』は間違いではなく、総選挙のスローガンとして最も正しかったのである。

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2 コメント

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気になるポスター (のすひろ)
2013-12-19 14:58:12
国民を騙すといえば先日より町に津川雅彦が写っているポスターで、その右上には「拉致」とかかれ下段には政府拉致問題本部だったかの文字が入っていました。
当然北朝鮮の拉致問題の解決に向けたポスターなのですが、小泉の時でさえこのようなポスターは見たことがなかったのに、ここへ来て首相がすらせて町へ配布し掲示しているのでしょうか。

何も考えない市民は子将軍さまを潰して拉致解決と考えるのかな?とそれを見てふと考えてしまいました。
これも大手広告代理店が政府を利用して儲けているのかなとも思いますが、何か嫌な感じがしますね
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マルティン・ニーメラー師の後悔 (宗純)
2013-12-20 16:13:11
彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は共産主義者ではなかったから

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった
私は社会民主主義ではなかったから

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった
私は労働組合員ではなかったから

彼らがユダヤ人達を連れて行った時、
私は黙っていた、
私はユダヤ人などではなかったから

そして、彼らが私を攻撃したとき
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった

ナチスがドイツ共産党やユダヤ人を迫害した時に、ドイツ人たちは全員で拍手喝采をおくったのですよ。
ヒットラーですが第一次世界大戦でドイツ帝国の敗北責任を、
戦争に反対した共産党とか非協力的だったユダヤ人に責任を押し付けたのです。
ところが、このヒトラーの主張には誇張があるが、実は客観的な事実の裏付けがあるのですよ。
だから誰一人も疑わず信じたのです。
何とも、おそろしい話ですね。
その意味では、今の日本人にとってのドイツ共産党とかユダヤ人の替りが実は北朝鮮なのです。
悪い北朝鮮を日本中で十数年もバッシングした結果が、今の病的に極限まで右傾化した日本社会であり腐敗堕落した挙国一致の大本営発表のマスメディアなのです。
日本社会がここまで劣化した原因は色々あるが、一番大きい要因はマスコミが挙国一致で行った北朝鮮バッシングですね。
小泉純一郎は『拉致問題』を金で買ったのか?
2009年08月12日 | 東アジア共同体
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/019395611ba6c1d464d050fed50c0e66
明け透けに語られる北朝鮮問題の真相
2010年03月05日 | 東アジア共同体
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/5ec14fff971ebb663824b852354e5b71

1995年のオウム事件の時にマンションのエントランスや廊下部分などの誰もが入れる公共的なところでも、オウム信者を警察が『住居不法侵入』で逮捕して裁判では有罪になるが共産党など左翼が『悪い連中だから』と見てみぬふりをしたら、数年後には自分たちが反戦ビラの配布でオウム信者と同じように逮捕され有罪になっているのですよ。全ての事柄には必ず正しい原因があるのです。
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