逝きし世の面影

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今も続いている米大統領選の不思議

2018年02月15日 | 政治
『トランプ大統領の「殺人」発言の中身』2/15(木) Yahoo!ニュース(ガベージニュース)

2月12日に行われたインフラに関する会合でのお話。
・トランプ米大統領の発言として報じられた「殺人を犯しながら逃げている」は比ゆ表現であり、そのまま直訳した のでは意味を違える。
・元の発言は「They've gotten away with murder」。慣用表現として「好き勝手なことをしておきながら罰を免れる」を意味する。

先日、複数の報道機関で、トランプ米大統領が「日本を含む貿易相手国が「殺人を犯しながら逃げている」」と伝えている。記述内容は次の通り。
トランプ氏はホワイトハウス(White House)で開かれたインフラ関連の会合で、出席した閣僚や州・地方自治体の関係者を前に、「他国に利用されてばかりではいられない」と述べ、「わが国は対中日韓で巨額を失っている。これらの国は殺人を犯しながら逃げている」と指摘。
出典:トランプ氏、日本などが貿易で「殺人」と非難 対抗措置を警告(AFP=時事)
似たような表現の報は読売新聞などでも行われている。

「米国は中国や日本、韓国、その他多数の国で巨額のカネを失っている。(それらの国は)25年にわたって『殺人』を犯しておきながら許されている」(They’ve gotten away with murder)」と述べ、異例の表現で非難した。
出典:「日本など『殺人』」トランプ氏、貿易巡り非難(読売新聞)

今件部分の原文は、例えばロイター電などで確認できる。
“We cannot continue to let people come into our country and rob us blind and charge us tremendous tariffs and taxes and we charge them nothing,” Trump told reporters at a White House event to announce a proposed infrastructure plan.

The United States loses “vast amounts of money with China and Japan and South Korea and so many other countries ... It’s a little tough for them because they’ve gotten away with murder for 25 years. But we’re going to be changing policy,” he said.
出典:U.S. to push for 'reciprocal tax' on trade partners: Trump(ロイター)

該当部分は「(We lose)“vast amounts of money with China and Japan and South Korea and so many other countries ... It's a little tough for them because they've gotten away with murder for 25 years. But we’re going to be changing policy.”」。直訳すると確かに「我が国(アメリカ合衆国)は対中国、日本、韓国、そしてそれ以外の多くの国(との貿易)で巨額を失っている。しかし彼らはほとんど痛い目に会っていない。この25年もの間、殺人の罪から逃げている。だが我々(アメリカ合衆国)は今後この構造を変えていくつもりだ」となる。

しかしながらこの「they've gotten away with murder」の部分は慣用表現としての言い回しであり、そのまま直訳するのは報道としては不適切。第一、前後の話のつながりがおかしくなる
get away with murder
『好き勝手なことをしておきながら罰を免れる』
出典:研究社 新英和中辞典
get away with murder
『悪いことをしても罰せられない、何をしても許される[とがめられない]、好き勝手にする』
出典:英辞郎 on the WEB
get[or go]away with (blue) murder
『悪事を見つけられずに[処罰されずに]過ごす;なんでもし放題である;自分の望みどおりにする』
出典:小学館ランダムハウス英和大辞典

要は「中日韓などの国は貿易で好き勝手にやってきてアメリカ合衆国は巨額の損をしている。今後はこの構造を変えるつもりだ」となる。
トランプ米大統領はこの類の言い回しを使うことが多い。
本人の性格上仕方が無いのであろうし、不特定多数に直接訴えかけるとの視点ではむしろメリットでもある。専門家による専門用語では無く、一般的な話し言葉で語る のと発想的には同じ(そのような意図で使っているのか、結果としてそのような効用が期待できるのかは不明だが)。

今件報道は例えるなら、「これぐらいのことは朝飯前だ」と発言したら「朝食はすでに御済みのはずですが」、「頭をひねって考えました」と発言したら「命を落としかねませんよ」、「へそで茶を沸かす」と発言したら「それは物理的に不可能です」と突っ込みを入れるようなもの に等しい。少なくとも直訳をそのまま載せるのみで、意味を加えないのは適切では無い。

不破雷蔵
「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。


スティーブ・バノンはアメリカのNBCテレビの人気コメディ番組「サタデーナイトライブ」(SNL)では常に「死神」として登場する。写真は「SNL」でのトランプとバノンのパロディ。(ほぼ日本の情報バラエティ番組ののりで視聴率を稼いでいるNBCテレビのSNL)

まさにリベラルメディアによる悪意あるフェイクニュースの見本のような話『赤信号みんなで渡れば怖くない的な、誤報』

アメリカのトランプ大統領が日本や中国を殺人者扱いしたとの摩訶不思議な記事はYahoo!ニュース記事にある読売新聞社だけではなくて、毎日新聞とかNHKなど日本のほぼ全部のマスコミが流していたし、その元ネタとなったロイターとかAFPなど通信社もほぼ全部同じ。要はトランプが語った英語を安物の電子辞書で訳していたので、普通のアメリカ人が使っている慣用句を直訳したらしいのである。
朝飯前が朝食を意味しないように、英語を母語にしている人間だったら普通なら小学生でも犯さない『間違い』である。
日本の高校生なら無理でも大学生なら笑われる(辞書をひけば直ぐに分かる)初歩的なミスを犯していたロイターとかAFPなど世界的通信社、そのお粗末な誤報を丸々記事にした恥ずかしい日本の大手新聞社ですが、『赤信号みんなで渡れば怖くない』と、平気で『誤報』を挙国一致(今回は世界一致)で行っていた。
これは正に大ニュース中の大ニュースですよ。
たぶん、1年半前の2017年11月8日にトランプ勝利で終わったはずのアメリカ大統領選挙が今でも終わっていない。飽きることなく延々とアメリカ大統領選挙中のネガティブキャンペーン(汚いヘイトスピーチ)が続いているのです。

『 オードリー・ヘプバーン主演のミュージカル映画「マイ・フェア・レディ」的な階級間の言語の断絶か?』

欧米メディアが意識的な誤報(フェイクニュース)ではなく、本当に「They've gotten away with murder」を、慣用表現の『好き勝手なことをしておきながら罰を免れる』では無くて、『殺人して罰を免れる』を意味すると思ったとしたら、それはそれで大問題であろう。
欧米世界では、アッパーミドル以上のエスタブリッシュメントの使う言葉と、一般労働者階級の使う言葉が乖離していて、(まるで異民族とか異国人のように)両者間の正常なコミュニケーションがまったく取れないのである。これが事実なら、意識的誤報(フェイクニュース)以上に大問題であろう。

★注、
英語表現に詳しいDEEPLY JAPAN『確かにそうかもしれない:get away with it』(2018-02-15)『■ 慣用句と強意』によると、get away with~だけで「持ち逃げする」→「悪いことをしてもお咎めなしですましてる」の意味になる。murder(殺人)は、強烈な例をあげて意味を強めている。と考えるべきでしょう。まぁ使う人多いですが。・・・俺は怒ってる、とか、俺は絶対許さんからな、と侮蔑の念を持っていると考えるべきではなかろうか?・・・murderって決して軽い語ではない。
未曾有の国難が目の前に迫っているのである、ところが誰もその事実に気が付いていない。
日本の唯一の同盟国であり唯一の超大国アメリカの大統領であるトランプさんが本気だとすれば、『北朝鮮が~』とか日米同盟云々などと暢気な話では無くて、直ぐ近い将来に国難中の国難が日本国を間違いなく襲うでしょう。まさにリメンバー・パールハーバーなのである。(初来日するトランプは、先ずハワイのアリゾナ記念館によってリメンバー・パールハーバーを宣言していた)



『ヤマアラシに手を出しちゃいけねえ、ヒョウであってもだ(動画)』2017年04月18日The Huffington Post

ヤマアラシにちょっかいを出すと、針攻撃を受けることになる。ヤマアラシが最強クラスの捕食者ヒョウに立ち向かい、この巨大な猫のエサにはならないことを知らしめた。映像には、ヒョウがヤマアラシに忍び寄り攻撃を仕掛けるも、針攻撃の反撃を食らって退散する姿が映っている。
砂埃の中からヤマアラシは無傷で現れたが、ヒョウは体に刺さった針を引き抜いている姿で現れた。
『この動画が撮影された時期は不明だ』とのハフィントンポストUS版の愉快な記事ですが、時期的に見てトランプ政権による北朝鮮への先制奇襲攻撃(アメリカ軍の斬首作戦)を皮肉ったものだと思われる。



『米軍による北朝鮮先制奇襲攻撃の危険性を指摘して大炎上したヘイトの女王三浦瑠麗』

去年のハフィントンポストUS版の愉快な記事の趣旨と同じことを主張したらしいヘイトの女王が大炎上しているのですから不思議だ。大手のメディアですが、全員今までヨイショしていたのですよ。三浦瑠麗ですが、今回は北朝鮮の奇襲攻撃には思わぬリスクがあるから『絶対に駄目だ』(ハフィントンポストUS版と同一趣旨)との例え話?として語っていた。
ところが、話し方が不適切だったので、第二次世界大戦時のアメリカでの日系アメリカ人の強制収用だとか関東大震災時の朝鮮人大虐殺のような人種差別的な出来事を煽っていると、護憲左派の知識人は猛反発している。
身から出たさびと言うか、自業自得というかヘイトの女王三浦瑠麗としては何とも致し方ない成り行きになっているが、表面的な内容はネットウヨに限りなく近いが、実は『米軍の北朝鮮攻撃は絶対駄目だ』(戦争反対)なのですから180度逆さまで、実は正しいし、人道的にも真っ当(王道)である。
今回はヘイトの女王三浦瑠麗が正しくて、(目先の言葉に惑わされた)護憲派知識人が間違っていたとの笑い話。
★注、
右翼の三浦瑠麗ですが、米大統領選中のネガティブキャンペーンである、いわゆる『ロシアゲート』に対して、日本人有識者として唯一中身を正確に理解していた人物でもある。(この『ロシアゲート』では何とも困った話ですが、社会学者エマニュエル・トッドが指摘したように護憲派の左翼知識人の方が右翼の三浦瑠麗よりも『右翼的だった』との、腹立たしい逆転現象が起きていた)



『在特会のヘイトスピーチ紛いの北朝鮮バッシングを延々と続けている青山繁春』

一見するとヘイトの女王三浦瑠麗と似ているようで、(180度正反対に)北朝鮮への米軍の先制奇襲攻撃を煽っているのが青山繁春自民党参議院議員で、今まで北朝鮮バッシングに特化した電波芸者として朝日テレビで散々ヘイトスピーチを行っていたし、現在も行っている。
ヘイトクライム(人種とか宗教などによる憎悪犯罪)が起きるとして三浦瑠麗を批判する護憲左派の知識人たちですがヘイトの女王三浦瑠麗を叩くなら、何故もっともっと比較できないほど悪質な青山茂晴を叩かないのか。実に不思議な現象だ。
(★注、
北朝鮮問題の数々の不思議な現象ですが、これはアメリカや日本などの朝鮮半島の専門家の全員が一人の例外も無く『北朝鮮はもうすぐ崩壊する』との何とも都合の良い予測を立てたこと全ての間違い原因であり、オバマの『戦略的忍耐』も同じ『北朝鮮はもうすぐ崩壊する』の発想が由来していた。20年以上待っても北朝鮮が崩壊しないから、今のように大問題なのである)

『欧米など一神教社会ではヘイトスピーチを放置するとヘイトクライムが起きる。・・・20年続けても起きない(本音と建て前が別の)平和な日本』

ヘイトスピーチとかLGBTへの差別が欧米世界で大問題なのは、必ず悲惨なヘイトクライムが起きるからなのです。(先進国だと思われているイギリスでも1960年代までは同性愛を犯罪として刑事警察が取り締まっていたし、サウジアラビアとかパキスタンのようなイスラム法の国では同性愛者は今でも死刑になる)
我が日本国でも1998年のテポドン騒動(北朝鮮による人工衛星の打ち上げ失敗)や2002年の小泉訪朝以来のマスコミ総がかりのヘイトスピーチの蔓延で女子高生のチマチョゴリを切り裂く痴漢事件は起きているが在日に対するヘイトクライム(殺人事件)は一件も起きていない。そもそも我が日本国ですが劇的に『殺人』そのものが減ってきているのである。(ただし、何事にも例外は生まれるので今後2016年7月に起きた相模原市の障碍者施設での19人殺しの植松聖容のようなヘイトクライムが起きる可能性もゼロではない)
★注、在特会が大阪市の鶴橋のコリアンタウンで『在日を殺せ』と絶叫するヘイトスピーチですが、実は数倍の人数の警官隊に守られたヤラセで、護衛が無ければ逆にボコボコにされているのである。何処の国でも人種差別はありマイノリティの置かれた環境はマジョリティより劣悪で収入格差も当然生まれるが、実は我が日本国の場合には(過去には大きく低かった)在日の方が一般日本人よりも高収入になっていた。




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2 コメント

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得心が行きました (天野)
2018-02-16 01:02:08
私はこのトランプ大統領発言、殺人云々…記事を新聞で目にし、違和感を感じていました。今回の記事で納得出来ました。仰る通りと思うのは、殺人云々…を誤解する、鵜呑みにする者がいることを分かって放置する新聞の書き逃げという、見方によればある種の印象操作に感じます。そんな読者を馬鹿にしてみえます。新聞が反トランプのスタンスだとしても、これは正確に伝えるべきですね。
三浦瑠璃ですが。人並み程度の知能だけど塾や受験勉強で高学歴を手にしたような、オウム信者みたいです。
青山繁治という小狡く小心者でケチで嘘つきが参議院議員。学習院卒だけどフシューの麻生太郎は財務相(皇太子殿下が気の毒になる)。極め付きは安倍晋三。この馬鹿についてはいうまでもないかと。
不思議の国日本。
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Unknown (タイチ)
2018-02-16 23:23:29
一般通念を裏返すという意味では、おっしゃる事は良くわかりますが、ヘイトスピーチで何人死んだんだ?みたいな議論になってしまってる面もあるような気もします。
ちなみに、暴力的な左翼運動が連合赤軍事件によって一気に退潮して以降、日本人の反体制派は護憲派リベサヨ化してしまいましたね。以前は、共産党の野坂参三が独立国家として憲法改正して再軍備すべきと、吉田茂に迫ってた事もあったはずです。
暴力問題を捨象した左翼は、中流インテリの良心的ポジションになってるのでしょう。
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