逝きし世の面影

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米大統領選「予備選」で投票できるのは党員だけですよ

2016年02月06日 | 政治
 『イギリス東インド会社内の「下克上」として出発していたアメリカ合衆国(イギリス東インド会社北米本社)』

ブログ記事冒頭に掲げている旗は帝国主義の過酷な植民地支配の象徴として悪名高いイギリス東インド会社の社旗だが、1776年7月4日『アメリカ独立宣言』前後の1775年12月3日から1777年6月14日までの1年6ヶ月間使われたアメリカ合衆国旗(グランドユニオン旗)と東インド会社旗が同じデザインだった。
アメリカ合衆国の独立は1776年(アメリカ独立宣言)であり、その13年後にフランス革命(1789年)が起きているが、何故か、肝心の米国国内では1776年は『アメリカ独立』ではなくてThe American Revolution(アメリカ革命)の名称で呼ばれている。
イギリス本国と、アメリカ東部沿岸のイギリス領の13の植民地との戦争であるアメリカ独立戦争(1775年~1783年)も、アメリカ側の正式な呼称はthe Revolutionary War(革命戦争)である。(英国側ではAmerican War of Independenceとよぶ)
1776年7月4日の『アメリカ独立宣言』(The Declaration of Independence)以外、アメリカでは全てIndependence(独立)ではなく、一貫してRevolutionary(革命)の名称を使っている不思議ですが、そもそも、アメリカ合衆国とはイギリス東インド会社の北米支社として出発していた。
イギリス東インド会社内の『下克上』だったのである。
上司である東インド会社ロンドン本店の横暴に対する、部下の東インド会社アメリカ13支店の反乱なので『独立』ではなくて、支配被支配の上下関係が逆転する『革命』の名称が使われた。
アメリカ合衆国の独立や独立戦争をアメリカでは何故か『独立』(Independence)とは言わず、すべて『革命』(Revolutionary)と呼んでいるのは少しも不思議ではなく、実は当然だったのである。

 『米大統領選前半戦で投票できるのは党員だけですよ』2月3日ハフィントン・ポスト(The Huffington Post)

アイオワ州の党員集会で注目の共和党のトランプ氏が敗北した。
出口調査では対立候補のクルーズ氏より高いポイントだったが、実際の投票に結びつかなかった。支持はするが、大統領候補としては不安ということか。
ところで今、米大統領選挙が盛り上がっているが、今、投票できるのは共和党か民主党の党員だけである。
党員でない一般有権者は蚊帳の外である。
米大統領選挙は前半と後半に分かれており、前半は民主党と共和党の中でそれぞれ大統領候補を選ぶ選挙が州ごとで行われる。州によっては党員集会という形であったり、予備選挙という形であったりする。
今回最初に行われたのは党員集会という形を取っているアイオワ州なのだが、この党員集会で投票できるのはその名の通り、民主党か共和党の党員だけである。一般有権者は投票できない。
間違っていたら申し訳ないが、政党に登録している人は50%前後だったと記憶しているので、米国民の半分くらいだけが現在の大統領選挙の前半戦の主役なのだ。
後の党員でない一般有権者は、現在行われている前半戦で民主党で大統領候補となった人あるいは共和党で大統領候補になった人が決まるまではニュースで大統領選の趨勢を眺める形となる。
では一般有権者が投票できるのはいつかというと11月である。具体的には11月の第一月曜日の次の火曜日である。これが本選挙である。
この本選挙では無所属候補も立候補できるので、最近、無所属で米大統領選に立候補を表明した元NY市長のブルームバーグ氏はここで出番というわけである。
複雑な大統領選挙の仕組みだ。。。。
2016年02月03日(The Huffington Post)東猴史紘

『アメリカ大統領選のドナルド・トランプ現象と意識的に間違いに誘導する日本のマスコミ』

2月3日のハフィントン・ポスト『米大統領選前半戦で投票できるのは党員だけですよ』ですが、あまりにも当然な指摘なのである意味で唖然とするが、これは日本のマスコミ各社は絶対に指摘しない種類の話なのである。
当たり前の話ですが、党内の予備選挙(党員集会)なのですから『党員』だけが投票出来る。一般のアメリカ人有権者の話ではないのである。ところがマスコミ報道をうっかりして読むと、普通の有権者の投票であるかの如く勘違いする。
アメリカの社会ですが、秘密投票どころの話でない。
思想信条の自由とか、結社の自由とかの基本的人権が疎かにされているのである。(秘密が守れない)
アメリカでは選挙管理委員会に事前に政党の党員が登録されていて、民主党や共和党の党員名簿は一般に公開され誰にでも閲覧が可能なのですから怖ろしい。
狭いコミュニティではマイノリティ(無神論者とか社会主義者)は生きてゆけない仕組みが出来上がっていたが、今回行われたアイオワ州の予備選挙(党員集会)では、何時間もかけて各人が実名で顔をさらして演説したり討論して一人の候補に集約する仕組みなのですが、これらは普通の日本人では到底耐えられないでしょう。(民主主義の大事な基本原則である『秘密投票』とは対極の世界である)
単に投票するだけでは無い。誰に投票したかを明らかにする必要があるのである。
アメリカ大統領選は基本的に組織力がモノを言い、ヒトモノカネが無い候補は脱落するが、2月3日のハフィントン・ポスト記事には『注目の共和党のトランプ氏が敗北した。  出口調査では対立候補のクルーズ氏より高いポイントだったが・・』とあるので、これが本当なら『実際の投票に結びつかなかった』のではなくて、『投票結果の操作』さえ十分疑われる。そもそも民主主義とは別世界である。
民主党最左派で自称民主社会主義者バーニー・サンダース上院議員の掲げる格差是正や公立大授業料無償化、国民皆保険の導入など、既存の制度を大胆に変える「政治革命」を標榜とあるが誇大広告もはなはだしい、それらの政策は欧州諸国では典型的な伝統的保守政治家の政策目標である。
共和党のトランプ氏ですが、日本のマスコミ報道(たぶんアメリカ国内のマスコミでも)では暴言王とか茶会運動など宗教右派との親和性が問題とされているが、実は狂信的なキリスト教原理主義の候補は今回トップになったクルース上院議員であり暴言も実はクルーズ候補の方が凄まじい。マスコミがあまり報道しないだけなのです。(マスコミが何とかして一位を独走するトランプ氏の足を引っ張ろうと必死になっているように見えるのは私一人なのだろうか。実に不思議だ)

『唯一の「政治実績がある政治家」がヒラリー・クリントン元国務長官だけの摩訶不思議なアメリカ大統領選挙予備選の謎』

通常ならオバマ政権のような2期8年も務めた後のアメリカ大統領選挙では現政権の副大統領が必ず後継候補として出馬して、今までの政治の成果を問うのが決まりごとになっていた。
ところが、今回の大統領選挙の場合はバイデン副大統領は立候補すらしていない。その他の閣僚も誰一人も出馬する意思が無い不思議。この意味するところは、『オバマ政治の後継者』を標榜しても勝ち目がないと主な候補者が考えたからでしょう。(選挙戦ではマイナスに作用してプラスにならない。少しも票にならないのである)
今のオバマ大統領を筆頭にして、アメリカの有権者から既存の政治実績がある政治家が徹底的に嫌われている(信用されていない)のである。
今回出馬時は一けた台の支持率しかなかった(マスコミでは泡沫候補扱いだった)サンダース上院議員に対して、その『政治経験の無さ』を攻撃し『政治で実績(実務経験)があるのは私だ』と選挙戦で言い続けていたオバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントンは十数ポイントもの大差でリードしていた筈が、蓋を開けてみれば何と0・2%差のほぼ同率で並ばれていた。(実質的にクリントンの負け)
リーマンショック後の今のアメリカでは確実に一般市民の生活が毎年毎年少しずつ悪くなっている。アメリカの社会全体が劣化しているのは明らかな事実なので、『今までの政治実績』が選挙戦でマイナスにこそなれ、少しもプラスにはならないのである。
ヒラリー・クリントンが『政治実績の有るのは私だけ』と強調すればするほど、今後もクリントン陣営はますます失速するでしょう。(今回の場合サンダース候補が政治実績が無い上院議員だったことが逆に有利に作用したと思われる)
そもそもアメリカ合衆国大統領は、『政治実績がある』州政府の首相(州知事)が大統領に選ばれ続けられていた歴史がある。(例外は何れも上院議員のリンカーンとケネディの二人だけだが両者は暗殺される。元上院議員出身で暗殺されていないアメリカ大統領はオバマだけ)
ところが今回は共和党の本命候補と目されていたジェブ・ブッシュフロリダ州知事のように早々と州知事経験者が軒並み下位に低迷、脱落して今では一人も残っていない。
共和党で人気がトップのドナルド・トランプは『政治実績』どころか、そもそも政治家ですらないのである。(上院議員のような既存の職業政治家でない分、逆に人気があるとも解釈できる)
アメリカ市民の世論調査では、共和党候補に勝てる候補としてはヒラリー・クリントン候補が8割の有権者から支持されているが、逆に『信用できる』政治家としては何の実績もないサンダース候補が9割近い支持を集めている。(政治権力を握った政治家が見え透いた恥ずかしい嘘をつくのは何も日本の甘利明一人ではなくて、アメリカでも実情は同じだった)

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