逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

アメリカ大統領選 波乱の幕開け

2016年02月03日 | 社会
1776年7月4日『アメリカ独立宣言』前後の1775年12月3日から1777年6月14日までの1年6ヶ月間使われたアメリカ合衆国旗(グランドユニオン旗)であるが、何と、イギリス東インド会社の社旗と同じデザインだった。
イギリス東インド会社は貿易を独占しただけではなく植民地経営の全てを独占していて、イギリス本国以外の徴税や通貨発行、法律施行から独自の軍隊を保有して反乱鎮圧や他国との戦争を行うなど『国家』としての全ての機能を有していた

『大本命のヒラリー・クリントンがまさかの「大失速」(信用崩壊)した民主党大統領選』

米中西部(アメリカのハートランド)白人が9割以上で超保守的(大多数が福音派)な人口300万人の小さなアイオワ州で最初に開かれたアメリカ大統領選の党員集会では、民主党の大本命と目され今まで断トツの支持率トップを独走していたヒラリー・クリントン元国務長官が、党内最左派で自称社会主義者(大穴)のバーニー・サンダース上院議員を相手に支持率が拮抗。ほぼ横一線状態である。
ヒラリー・クリントンは、『ため息をつき、ホッとし、安心した』と語るが、到底『勝利宣言』を出せるような状態ではない。
追い上げて支持率でクリントンに並んだサンダースは、『事実上引き分けのようだ』と述べた。公式集計で両者の差は0・2%であり、ほぼ0に等しい。(オバマが勝利した2008年大統領選でクリントンはアイオワ州党員集会で3位に終わっている)
今回のクリントンの苦戦の原因は若年層の支持を極端に得られなかったことに尽きるでしょう。
CNNテレビの調査では、17歳から29歳の84%がサンダースを支持し、クリントン支持は14%だった。
国務長官在任中の公務に私的な電子メールアカウントを使っていた問題が影響した可能性もある。
当初の説明では『機密は含まれていない』としていたが、初戦のアイオワ州党員集会の3日前の1月29日に国務省によって22通のメールが『トップシークレット(最高機密)』とされ当該メールはすべての公開が禁止された。
今までは『コンフィデンシャル(部外秘)』扱いだったので、今回『トップシークレット(最高機密)』に格上げされたことになる。
クリントン陣営では今回のタイミングでの国務省により機密指定は『政治的な意図がある』と反発しているが、国務省は情報公開法による裁判所の命令で1月末までにすべてのメールの公開を義務付けられていた。
アイオワ州のマスコミの事前の世論調査ではクリントン48%、サンダース45%でクリントンが3%で少差でリードしていたが、次に党員集会が行われるニューハンプシャー州では逆にサンダース57%、クリントン38%とクリントンが19%も大きくリードされている。
このままでは米国東北部ニューイングランド地方のニューハンプシャー州では大差でのオバマ政権の国務長官だったクリントンの敗北(サンダースの勝利)は確実な情勢である。

『サブプライムローンやリーマンショック(金融詐欺)だけではなく政治でも土台から「信用崩壊」を起こしたアメリカ』

今までなら、そもそもオバマのように2期8年も務めたアメリカの大統領選挙では通常なら副大統領が必ず後継候補として出馬する決まりごとなのです。ところが、今回の場合はバイデン副大統領は立候補すらしていない。
意味するところはアメリカの有権者から既存の政治実績がある政治家が徹底的に嫌われている(信用されていない)のである。
対する共和党は最初から本命のブッシュ家の3人目の大統領候補ジェブ・ブッシュフロリダ州知事がレースの開始早々から脱落するなか、二流の候補がどんぐりの背比べ。今までレベルの低い団子レースを続けていた。セクハラから人種差別『何でもあり』の暴言王のドナルド・トランプがトップを走っていたのはある意味では当然だったのである。
マスコミの報道では今回アイオワ州で勝利したといわれる破壊王テッド・クルーズの得票率は27%であり、大統領選挙なのにトップでも3割にも届かない低い数字に陥っていて、到底『勝利した』などとよべる状態ではない。共和党も事情は同じで既存の政治家が徹底的に信用を失っているのである。
民主党の大統領候補がクリントンでもサンダースでも同じで、トランプやクルーズのような二流の共和党候補ですが、『駒』が悪すぎるので大統領選で勝つ見込みが無いらしいのである。(今回アイオワ州の1位のクルーズも2位のトランプも3位のルビオも、候補者全員が2割台の得票率でドングリの背比べ状態だった)

『いまはむかし WAPS(ワスプ)が多数派でなくなるアメリカ社会』

WASP(ワスプ)とはホワイトのW、アングロサクソンのAS,プロテスタントのPの頭文字をとった略語でアメリカ合衆国における保守的(宗教的)な白人エリート支配層を指す造語であるが、当初白人はイングランド系等北部や西欧州限定だったがアイルランドや、イタリアが入り、その後東欧も入るなど拡大する。(ただし中南米のヒスパニックはアメリカでは白人とはみなさない)
宗教も従来の福音派のみならず1960年に当選したケネディ大統領以後はカトリック右派にも拡大される傾向にあるようですが、ここでも東方正教会に対してはアメリカでは拒否反応が強い。
8年前に大統領に当選したオバマですがアメリカでは史上初めての黒人大統領と呼ばれているが、実は北欧系白人とアフリカ人留学生とのハーフ(2分の1白人の混血)であり黒人ではない。(黒人から見ればオバマは半分白人であるが、19世紀まで奴隷国家だったアメリカではワンドロップルールにより一滴でも黒人の血が混じれば自動的に黒人と見做される怖ろしい仕組みがある)
オバマの『アメリカ史上初めての黒人大統領』はインチキ(誇大宣伝)だが、もしもヒラリー・クリントンが大統領になれば今度こそ間違いなく『史上初めて』の女性大統領である。
同じくサンダースが選ばれれば史上初めての自称社会主義者以前に、初めてのユダヤ人のアメリカ大統領である。(サンダースの目玉政策である国民皆保険も高等教育の無料化も欧州では常識であり『保守政党』の政策程度にすぎない)
共和党でも今回予備選一位のテッド・クルーズでも3位のマルコ・ルビオでもキューバ移民の子供なので史上初めてのヒスパニックのアメリカ大統領になる。(ドナルド・トランプは自分だけが白人の大統領候補だとうそぶいている)
オバマ大統領の次の大統領が誰になっても『史上初めての○○のアメリカ大統領』との形容詞が付くことになる。アメリカ社会ですが、『いまはむかし』で いつの間にか伝統的な支配階級だったWAPS(ワスプ)が多数派ではなくなっているのである。(白人の伝統的宗教票だけでは最早アメリカ大統領に当選出来なくなっている)



 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 米軍司令官「中国から攻撃あ... | トップ | 米大統領選「予備選」で投票... »

コメントを投稿

社会」カテゴリの最新記事