逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

イランのPars Today「北朝鮮の核兵器はアメリカのみを標的としている」

2017年11月28日 | 東アジア共同体
『北朝鮮のミサイル』2017年11月27日 Pars Today

北朝鮮の祖国統一研究院長を務めるイ・ジョンヒョク・アジア太平洋平和委員会副委員長は、「北朝鮮の核兵器はアメリカのみを標的としており、ほかの国は北朝鮮の核兵器を脅威に感じる必要はない」と強調しました。
イルナー通信によりますと、イ・ジョンヒョク副委員長は、北朝鮮は核兵器をアメリカに対する保険としているとしました。
また、「北朝鮮はこの兵器により、アメリカのアジア太平洋地域の支配を終わらせる」と述べました。
北朝鮮関係者は、これ以前にも繰り返し、「北朝鮮はアメリカの脅威により、核兵器を必要としている」と強調していました。



ロシア外相、「アメリカは北朝鮮を攻撃しない」2017年09月25日 Pars Today

ロシアのラブロフ外務大臣が、「アメリカは北朝鮮を攻撃しない。なぜなら、北朝鮮政府が核兵器を保有していることを確信しているからだ」と語りました。
ロシアトゥデイによりますと、ラブロフ外相は、24日日曜、テレビのインタビューで、「アメリカは、北朝鮮が核兵器を保有していることを確信している」と語りました。
また、「アメリカがイラクを攻撃したのは、この国が大量破壊兵器を保有していないことを100%確信していたからだ」としました。
さらに、「現在の危機は、柔軟なアプローチによって解決されるべきだ」と強調しました。
ラブロフ外相は、「アメリカがそのようなアプローチを取らなければ、状況をコントロールできなくなり、その結果、韓国、北朝鮮、日本、引いてはロシアや中国、その他の近隣の地域の大勢の人々が被害を蒙ることになる」と語りました。


トランプ大統領、キム・ジョンウン労働党委員長

この数日、トランプ大統領の好戦的なアプローチにより、アメリカと北朝鮮の間の緊張がこれまで以上に高まっています。
アメリカのムニューシン財務長官も、「トランプ大統領は、北朝鮮に対する経済的、軍事的な方法など、あらゆる選択肢を用いるだろう」と語りました。
トランプ大統領は、24日、北朝鮮外相の国連総会での演説を受け、「彼らは長くは持たないだろう」と発言しました。
北朝鮮政府は、アメリカとその同盟国が北朝鮮に対する脅迫を続ける限り、軍事力を強化すると繰り返し強調しています。
9月25日 Pars Today

★注、『北朝鮮のミサイルは日本には届く。ところがアメリカには届かない』

イラン国営の通信社Pars Todayが言うように、北朝鮮が全てを犠牲にしてまで核やミサイルを必死で開発しているのは『アメリカ向け』(日本や韓国などは埒外)で、交渉の切り札としようとしていることは疑いない事実である。
ただし、現在の北朝鮮のミサイルの射程では日本には十分に届く。ところが、一方アメリカ東海岸の首都ワシントンやニューヨークには決して届かないのである。
それなら、北朝鮮の核兵器が本当に危ないとアメリカ(トランプ大統領)が考えているなら、アメリカ本土が安全な今のうちに北朝鮮を破壊する(日本を犠牲にする)との『誘惑』は、当然生まれる危険性があることになる。
アメリカのトランプ政権が繰り返し繰り返し言及する『全ての選択肢はテーブルの上にある』の意味が、軍事攻撃の可能性にまで含んでいるなら、安倍晋三首相のように安易な全面支持とは最も危険な亡国の妄言である。(韓国の文大統領は日本とは違い繰り返し事前協議無き決定には反対すると断言している)


浦項地震の本震(赤色)と余震(黄色)の分布=地質資源研究院提供

『震源地からわずか600メートルの距離…浦項地震の原因は地熱発電所なのか?』 2017.11.25 ハンギョレ新聞社

韓国の「浦項地震に関する緊急フォーラム」で、米国のオクラホマで石油・ガス生産のために地下に注入した水が2011年にマグニチュード5.6の地震を引き起こした誘発地震の代表的事例が紹介されている。
釜山大学地質環境科学科のキム・グァンヒ教授は「浦項地震の震源と地熱発電所は600メートル離れている。慶州(キョンジュ)震災以降、慶州やその周辺地域で微小地震を観測してきた結果、地熱発電所が土の中に水を注入した2016年1月29日から今年9月18日までの時期とこれまで発生した微小地震の間に関連性があるものと分析された」と話した。キム教授は「ただし、現在までに発表された資料によると、浦項地震が地熱発電との関連性を示す要素があるのは事実だが、注入した水の量や注入速度など疑問点を解消するにはさらなる分析が必要だ」。
(抜粋)



『北朝鮮の「核保有」は何かのスピン?北朝鮮の核実験についてあの小出裕章が何故か懐疑的!!』

北朝鮮が今まで6回の核実験を行っていて2017年9月3日には水爆実験まで成功している事実は明らかなのですが、…ところか、なぜか日本の原子力学者として『危ない真実』を語って40年間も原発ムラと陰湿なイジメに耐えならが戦ったあの小出裕章が、疑問を感じているらしいのである。
11年前の2006年10月9日朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は咸鏡北道吉州郡豊渓里(フンゲリ)で初めて地下核実験を行ったが爆発規模がTNT換算で最小0.5キロトン、最大で15キロトン程度と異様に小さくて謎が多い物となっている。(20キロトン以下の小型核兵器は開発が困難だったので失敗したとか、TNT火薬の爆発による偽装説などがマスコミが喧伝する)
核兵器は普通に爆発させるとヒロシマナガサキと同じ規模になるので、北朝鮮が(アメリカやとロシアなどの核の先進国と同じ)制御爆発の高度な技術を最初から持っていたことになるが、通常は有り得ないのである。ただインドやパキスタンのような国土に砂漠を含む広大な地域が無い朝鮮半島で実験するなら、『小さい爆発規模』は絶対条件だった。(6回目の水爆実験後にはフンゲリ周辺で地盤の崩壊とか山崩れが続発しているらしい)
北朝鮮の核開発はパキスタンのカーン博士の闇市場(ウランの濃縮)の様な怪しい話では無くて、米国のような核兵器先進国からの支援が考えられるが、その目的とはトランプ大統領の『すべての選択肢がテーブルの上にある』であるらしい。半世紀前の策士キッシンジャーのやったベトナム戦争終結と同じシナリオで、朝鮮戦争を終わらせる隠密作戦であった。(普通に考えられる緊張緩和を進めて戦争を終わらす正攻法では無理で、逆の、思いっきり戦争を煽って緊張感を高めることで戦争を終わらせるとの、詐欺か手品のような超高等戦術)
北朝鮮の核実験は2006年2009年2013年と3年~4年おきだったのに最近は2016年1月2016年9月2017年9月と超短期間に変化した。
同じく去年には失敗続きだった北朝鮮のミサイル実験がトランプ政権成立からは連続して成功し、しかも格段の飛躍的進歩を遂げていることは誰の目にも明らかである。(北朝鮮への経済制裁の効果とは180度逆の結論になっている不思議)

★注、『11年前は数発だったのに、倍々ゲームで増えて今は100発の矛盾』

11年前の2006年に初めて核実験を行った当時ですが、北朝鮮が持つ原子炉の規模から保有するプルトニウムは核兵器数発分だと言われていたのです。
ところが、数発分だった北朝鮮のプルトニウムの備蓄量からすれば2倍近い6回もの核実験自体が驚きなのに、今のマスコミは100発以上の核兵器を保有しているなど桁違いに増しているが、これではほぼ世界一危険なイスラエル状態である。
何も小出裕章でなくても、普通の記憶力があれば当然11年前のマスコミが大宣伝していた事実ぐらいは覚えているので、『何かの偽装とか、報道されていないトンデモナイ事実』が隠されていることが推測されるのである。

(資料)

『小出裕章さんからのメッセージ』2017/9/5 
                                    
朝鮮民主主義人民共和国の核の件、皆さん冷静にならなければいけません。
朝鮮には熱出力で25メガワットのごく小さな原子炉しかありません。
京大原子炉実験所の原子炉は熱出力で5メガワットでした。
日本でも世界でも標準的な原子力発電所は100万キロワットです。
これは電気出力で、熱出力は300万キロワット、メガワット単位で示せば3000メガワットです。
つまり、朝鮮が持っている原子炉は、日本の原発の原子炉の100分の1以下という小さなものです。その原子炉を動かしてどれだけのプルトニウムができるかについては、昔計算して書いたことがあります。もう20年以上前のものですが添付します(注「核兵器に反対する物理学会の会準備会通信」第2号、1994年6月26日)
仮に朝鮮が原爆を作れたとしても、その数は知れています
朝鮮戦争は1953年の休戦協定が結ばれただけで、未だに終戦していません。
その一方の当事国である米国は気に入らない国があれば、地球の裏側までも攻め込んで政権を転覆させる国であり、米国を相手に戦争中である国はハリネズミのようになるしかありません。俺は強いんだぞ、攻撃してくるならやっつけてやるぞと言うしかありません。
朝鮮が原爆を作ったということすら、私はいまだに懐疑的です。でも、マグニチュード6.1の地震をもし爆弾で引き起こすとすれば、通常の爆弾では無理です。本当に、先日の地震が自然のものではなく、人工的なものだとすれば、原爆だろうと思います。水爆を作るためには重水素が必要ですし、起爆剤としての原爆も必要です。そうした材料や技術を朝鮮が持っているとは、私は思いません。
 ただ、問題は、そんなことではなく、朝鮮半島の分断を終わらせ、平和を回復することです。
お互いに敵を威嚇することなどやってはいけません。朝鮮の分断に誰よりも責任のある日本は、まずそのためにこそ力を払うべきです。それなのに、米国の尻馬に乗り、「あらゆる選択肢がある」などと安倍さんは言うのですから気が狂っています。
また、本当に危機だというなら、日本国内の原発をまず停止すべきなのに、地下鉄をとめてみたり、迎撃ミサイルを配備してみたり、警戒警報を出して見たり、ひたすら危機を煽ることだけやっています。ひどい国ですし、ひどいマスコミだと思います。



原子炉は発電目的ではなく原爆目的で開発された(資料)

2011年06月28日 | 軍事、外交

『朝鮮の核問題』2003年6月14日小出 裕章(一部省略)

Ⅰ.『はじめに、核と原子力の基礎知識』

ウランには『燃えるウラン』と『燃えないウラン』がある。
『燃える』とは『核分裂する』ことを意味し、質量数235 番のウランが燃え、質量数238 番のウランは燃えないが、天然ウランのうち『燃えるウラン』はわずか0.7%。
ただ、『燃えないウラン』は中性子を吸収しても核分裂しないかわりに、プルトニウムに姿を変える。
プルトニウムにも『燃えるプルトニウム』と『燃えないプルトニウム』があり、質量数239 番と241 番が燃え、その他は燃えない。
米国は第二次世界戦争中、原爆を作る極秘のマンハッタン計画で、合計で5万人の科学者・技術者を動員、総額20 億ドル(85 億円、1940 年の外国為替レート23.437$/100\で換算)もの費用を原爆開発だけに投入。
当時日本の一般歳出が1940年が59億円、1945年で215億円であった。
ベルリン郊外のポツダムで米英ソ三国が日本への降伏勧告を協議する『ポツダム会談』を開こうとしていた1945年7月16日の朝、アリゾナ州の砂漠アラモゴルドにおいて人類初の原爆が炸裂。
原爆成功の報を受けたトルーマン米国大統領は、同席しているスターリンには内緒で、英首相に知らせ、3週間後の8月6日に広島、8月9日に長崎に原爆投下、この世のものとは思えない地獄を現出させたのであった。

『ウラン原爆』

1945年(世界大戦終結時)米国は3発の原爆を完成させていた。
その1つがアラモゴルの(最初の)トリニティー(三位一体)、残りの2つが広島(リトルボーイ)と長崎(ファットマン)の原爆であった。
うちリトルボーイだけがウランで、トリニティーとファットマンはプルトニウムで作られていた。
天然ウランは、燃えるウランは0.7%しか存在していないが、一気にウランの核分裂反応を進行させる原爆では、燃えるウランの濃度を93%以上に高めなければならない。
純度を高める作業を『濃縮』と呼ぶが、厖大なエネルギーを必要とする。
リトルボーイの爆発力の推定値はTNT火薬換算で1・6万トン分。
約30kgのリトルボーイの高濃縮ウランを得るために『濃縮』作業で使ったエネルギーは、TNT火薬5万トン分に相当。
原爆は圧倒的に強力な兵器であり、どんな犠牲を払ってでも手に入れる価値がある。
しかし、ウランで原爆を作ることはエネルギー的にいえば実に馬鹿げたことであった。
(得られるエネルギー量の3・1倍以上のエネルギーを生産段階で浪費)

『プルトニウム原爆』

そこで、プルトニウムがにわかに重要性を帯びてくる。
原子炉の中で『燃えるウラン(ウラン235)』を核分裂させ、そばに『燃えないウラン(ウラン238)』を置いておけば、核分裂で生じた中性子を『燃えないウラン』が捕獲してプルトニウム239 に自然に姿を変える。
今日では、原子炉といえば発電に使う道具のように思われているが、もともと、原子炉とは原爆用のプルトニウムを作り出すために開発された。
プルトニウムを効率よく作るためには、原子炉の中にある燃えるウランの量に比べて燃えないウランの量が多い方がいい。
今日の日本の原子力発電所(軽水炉)では、燃えるウランを3%から5%程度まで濃縮して使っているが、プルトニウムを作る目的の炉では、天然ウランをそのまま使ったほうがいい。
また、原子炉の中でウラン 235 が燃え、ウラン238 がプルトニウム239 に変わるが、そのプルトニウム239 をそのまま原子炉の中に入れておくと、中性子で燃えないプルトニウム(プルトニウム240)になるので、核兵器用にプルトニウム239 を作ろうとする場合、できたプルトニウム239 を原子炉の中から速やかに取り出したい。
そのために、原子炉を運転中でも燃料を出し入れ出来る特性を持った原子炉として開発されたものが、いわゆる『ガス冷却炉』で、ごく特殊な場合には「重水炉」であった。

Ⅱ.『朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮) 核=原子力施設』

朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮と記す)には1986 年1 月に稼動を始めた電気出力5MW、熱出力は25MW の研究用原子炉がある。
私が所属する京都大学原子炉実験所にもKUR という原子炉があり、その出力は熱出力で5MW であるから、単純に比較すれば朝鮮の原子炉はKUR の5 倍である。
また、今日標準的となった原子力発電所は電気出力が100 万kW すなわち1000MW であり、熱出力は3000MW。
朝鮮にある原子炉は標準的な原子力発電所の原子炉と比べれば100 分の1 以下というごく小さなものである。
ただし、朝鮮の研究炉はプルトニウム製造に適したガス冷却炉である。
重水冷却炉はガス冷却炉と同様、天然ウランをそのまま燃やせるし、運転中に燃料を交換できる。
日本にはガス冷却炉もあったし、重水冷却炉もあった。
日本で最初に動き始めた東海1 号炉は、英国がまさに核兵器製造用に開発したマグノックス型と呼ばれるガス冷却炉である。
また、今年3 月に停止した『ふげん』は、世界一のプルトニウム燃焼実績を誇る重水冷却炉であった。
東海1 号炉は電気出力166MW、熱出力587MW、ふげんのそれは、それぞれ165MW、557MW である。
米国は、朝鮮の研究用ガス冷却炉がプルトニウム生産目的のものだとして経済制裁を加えてきた。
また、新たに朝鮮が作ろうとしていた発電用のガス冷却炉の建設を停止させ、その代わりに軽水炉を提供するとともに、それが完成するまでの間重油を供給すると約束したのが、1994 年の枠組み合意であった。
ところが、米国はブッシュ政権になった2001 年6 月6 日、『北朝鮮政策見直し』を発表、重油の供給を停止するとともに、軽水炉すら核開発につながるとして一方的に枠組み合意を破棄した。

本来『北朝鮮には原爆が作れない』仕組みだった

プルトニウムは原子炉の使用済燃料を再処理しなければ取り出せないが、朝鮮には再処理施設がない。1956 年に建設された放射化学研究所には強い放射能を取り扱うための『ホットセル』と呼ばれる設備がない。1985 年着工1996 年完成予定であった放射化学実験室(RadiochemicalLaboratory)が再処理開発を目的とした実験施設であることは朝鮮自身も認めているが、1994 年(米朝)枠組み合意時に建設が凍結された。
したがって、(IAEAの査察を受けている限り)朝鮮はプルトニウムを取り出すことができないし、もちろん原爆を作ることもできない。
朝鮮の研究用原子炉は燃料交換を運転中でなく、炉を停止させてから行う仕様、他のどの国の原子炉もそうであったように、運転開始当初は予想通りには動かなかった。
1994 年の枠組み合意時までずっと初装荷燃料のまま運転されてきて、その燃料はIAEA の立会いの下、つい先日まで8000 本の燃料棒すべてがIAEA の監視下にあった。
(米朝合意の代替軽水炉は2003年までに稼動する約束だったか守られず、2002年12月に重油供給も停止。
北朝鮮はこれ対応して1993年3月、核兵器不拡散条約(NPT)脱退を表明、IAEAの査察を拒否。6月の米朝協議で北朝鮮はNPT脱退中断と揺れ動く)
ただし、この原子炉は1989 年に100 日ほど運転を休止した時に原子炉から破損した燃料を取り出し、建設途上の放射化学実験室でミリグラム単位のプルトニウムを抽出したと朝鮮は認めているが、これでは原爆製造は無理。
朝鮮が使用済燃料の全量を再処理して原爆を作った場合には、最大で約20kg のプルトニウムが得られることになる。
長崎型の原爆を作るためには約8kg のプルトニウムが必要といわれており、20kg のプルトニウムではいくら頑張ってもせいぜい3 発の原爆しかできない。
爆発力にすれば、約50 キロトンである。

『日本はすでに充分な核を開発した』ことになる

日本は大量のプルトニウムをすでに保有している。
日本はこれまで再処理をフランスとイギリスに委託、プルトニウムは日本に返還され、現在は「もんじゅ」など核燃料サイクル開発機構の施設を中心に約7トン保有している。
まだイギリス・フランスに留め置かれている分も含めると40トンを超えるプルトニウムを既に持っている。
これで原爆を作った場合、すでに数十メガトンという単位の原爆を作ることが出来る。
広島の原爆は16 キロトン、長崎の原爆は21 キロトンの爆発力だったが、すでに日本はメガトンという単位の原爆を作るだけのプルトニウムを持っている。
その上、「もんじゅ」が潰れても尚且つ日本は高速増殖炉開発を続ける姿勢を変えていない。
高速増殖炉はエネルギー源にならないが、『核開発』の中では大変重要な役割を持っている。
日本の原子力発電所の軽水炉だが、その使用済み燃料中に生まれてくるプルトニウムの場合、約7割しか『燃えるプルトニウム』が含まれておらず、高性能な原爆を作るには適さない。
原爆を作るためには燃えるプルトニウムが90 数%含まれていなければいけない。
ところが、高速増殖炉には炉心の周りにブランケットと呼ばれる領域があり、そこに劣化ウランを置いておくと、中性子で自然に燃えないウラン238 が超優秀な燃えるプルトニウムになる。
この超優秀なプルトニウムの獲得こそ、高速増殖炉を開発するための最後に残る、そして最高の動機である

Ⅲ.『朝鮮をめぐる情報の不均衡』

『核開発と原子力開発』
『Nuclear Weapon』は日本語では『核兵器』である。ところが、『Nuclear Power Plant』は日本語では『原子力発電所』となる。
英語には『Nuclear』という単語しかないが、日本では『核』と訳す場合と、『原子力』と訳す場合の2つが使い分けられてきた。
今、朝鮮が『核開発』をしていると報道されているが、英語で書くと『NuclearDevelopment』。
米国と日本は朝鮮が『ウランを濃縮しようとしている、再処理をしてプルトニウムを取り出そうとしている、怪しからん国なので、経済制裁する』と言う。
ならば問う。
日本には原子炉はないのか? ウラン濃縮はしていないのか? 再処理をしていないのか? 日本には現在52 基の原子力発電所が稼動中であるし、研究炉だって大小あわせて10 基を超える。
その上、巨大な濃縮工場があるし、再処理工場も東海村で動いている。
さらに今また青森県六ケ所村で巨大な再処理工場を作ろうとしている。
ところが、それらすべては『核開発』ではなく『原子力開発』なのだという。
そして、『原子力開発は文明国にとって大変大切なものであって積極的に推進する。ウランは濃縮して原子力発電に使うし、再処理してプルトニウムを取り出し、原子力の燃料として利用する』と言い続けてきた。
では、なぜ、朝鮮は文明国になるために必要な『原子力開発=Nucleardevelopment』をしてはならないのか?勿論、米国には巨大な濃縮工場もあれば巨大な再処理工場もある。
勿論プルトニウムもあれば、膨大な核兵器だってある。
自分の気にくわない国がやる場合には『核開発』というレッテルを貼って大変悪い国だと宣伝し、自分や自分の仲間がやるならいいことだというのである。
日本のマスコミもそうした主張を流すだけで、彼我の不均衡を問おうとしない。

『ロケットとミサイル』

朝鮮は1993 年5 月「ノドン」と呼ばれる射程1300km のロケットを発射した。
その後、1998 年8月には「テポドン1 号=白頭山1 号」(射程1500km)を打ち上げ、日本海、日本列島を飛び越えて太平洋にまで飛んだ。
朝鮮自身は「白頭山」は運搬用ロケットで人工衛星「光明星1 号」を軌道に乗せたと発表した。
もちろん純粋技術的に言えば、それは弾道ミサイルにもなりうる。
しかし、ロケットを使って人工衛星を打ち上げることが悪いことなのか? 日本はすでにH2 ロケットをはじめ多くのロケット開発をしてきたし、いくつもの人口衛星を打ち上げている。
いうまでもなく米国は無数の軍事用人工衛星を打ち上げ、無数の大陸間弾道ミサイルも持っている。
しかし、米国(日本政府)はほんのわずかのロケットを打ち上げた朝鮮を『ならず者国家』と呼び、それを理由にさらなる軍拡を進める。
そして、日本はその腰巾着となって、朝鮮の脅威をあおる。
兵器で金儲けをしている国はどこか?また、朝鮮がイエメンにミサイルを売ったら、公海上で他国の船を「臨検」し、けしからん国だと言う。
では、軍事産業で金儲けしているのはどこの国なのか? 最高の売り上げを誇る米国企業の売上高は180 億ドル、2兆円を超える。
一つの国家をも越えるような軍需企業があり、20 傑のうち11 までは米国である。
圧倒的な軍需企業を抱え、軍事で金儲けをしている国、すなわち『悪の枢軸』とは米国そのものである。

『朝鮮の歴史と日本の責任』

日本のマスコミなどは、米国発表をそのまま流すだけであるが、そもそも朝鮮に関する歴史の流れを理解していない。
朝鮮は1910 年の日韓併合以来、日本の植民地支配の犠牲となり、創氏改名、朝鮮語の禁止、天皇の崇拝などを強制された。
1945 年の日本の敗戦は、多くの朝鮮人にとっては大日本帝国からの解放と受け止められた。
しかし、日本と米国との戦争は、悪逆非道の日本と正義の米国との戦争であったわけでは決してない。
それは世界の覇権を狙う両帝国同士の戦争であり、圧倒的な力の差の下に米国が日本を完膚なきまでに打ち破った戦争であった。
しかし、米国は当時の共産主義との確執を前に、日本や朝鮮を東洋における共産主義の防波堤にしようとした。
そのため、日本では天皇はその戦争責任を問われないまま温存されたし、朝鮮でも日本統治下の役人がそのまま政権に居座ることが許された。
そのため、本来であれば日本の植民地から解放され、晴れて独立を果たすはずであった朝鮮は、血を血で洗う内戦へと導かれて、南北に分断されたのであった。
1948 年に大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が相次いで独立を宣言し、1950 年6 月にはついに朝鮮戦争に突入。
38 度線で膠着した戦争は、1953 年に停戦協定に至った。
その後、すでに半世紀の時間が流れたが、朝鮮と米国の間では依然として停戦協定があるだけで、戦争状態が続いているのである。
その一方の当事者である米国は核兵器、生物兵器、化学兵器、大陸間弾道ミサイル、中距離ミサイル、巡航ミサイル、ありとあらゆる兵器を保有し、自らの気に入らなければ、国連を無視してでも、他国の政権転覆に乗り出す国である。
そうした国を相手に戦争状態にある国が朝鮮であり、武力を放棄できないことなど当然であるし、核を放棄するなどと表明できないことも当然である。
ちなみに、日本はベトナム特需とともに、朝鮮特需をもって、戦後の経済を立て直したのである。そして今なお、米国につくのが国益だと、戦争を放棄したはずの憲法も無視して、弱いものいじめに荷担する。

Ⅳ.『差別と抑圧の世界への抵抗』

『9・11とアフガニスタン』
9・11 の攻撃を受け、米国は「テロ」を根絶するとしてアフガニスタンへの攻撃を始めた。
いったいアフガニスタンが何をしたというのであろうか? 米国から9 月11 日の攻撃の首謀者とされたオサマ・ビンラディン氏はアフガニスタンにとっては長年の客人であり、引き渡せと言うなら証拠を示せと、ごく当然の要求をしたに過ぎない。
証拠を示すことなく、容疑者の引き渡しを求めるなどどんな国際法、国内法に則っても違法であろう。
そして、交渉の用意があるとまで言っていたアフガニスタンに、「問答無用、言うことを聞かなければ攻撃する」と言って、米国は攻撃を始めた。
いったい悪いのはどちらなのか?アフガニスタンは貧しい国である。
多様な民族を抱え、ソ連、中国、インド、パキスタンそしてアラブの国々に囲まれ、他国の思惑に翻弄され続けてきた。1980 年以降は、ソ連の支配を嫌って内戦も起こり、中央アジアでの天然ガスと石油の利権をねらった米国はソ連と闘うタリバーンに肩入れした。
アフガニスタンは世界全体の阿片の4 分の3 を生産し、米国のCIAがそれを武器と引き替えて、戦闘を拡大させた。国土は荒廃し、食料すら乏しく、2100 万ほどの人口のうち、多い時は600 万人もが難民であった。
利用できるような統計的データすらないが、軍事費などは米国の1000 分の1にも満たない。その国を、米国だけではなく、米国に「同盟国」として認めて貰いたいという国々がよってたかって攻撃し、一方的な殺戮を繰り返してきた。
米国にとって、中央アジアのエネルギー資源はかねてから触手の対象であった。その米国は世界貿易センタービルを破壊されて、10 兆円に達する被害を受けた。しかし、中央アジア地域とアフガニスタンを支配下に置くことで、ついに中央アジアのエネルギー資源を手に入れる道筋を築いた。その上、こ地域に対するロシアの影響力を抑えたことで、蒙った被害をはるかに超える利益をすでに得たことになる。

『イラクへの一方的武力行使と米国の意図』

米国はイラクが大量破壊兵器を持っていると主張してイラクの政権を転覆させた。
国連を使って軍事施設も大統領官邸も隈なく調べさせ、それでも『大量破壊兵器』は見つからない。
見つかれば戦争。見つからなければ隠しているから悪い、だから戦争だと。
どっちにいっても戦争というむちゃくちゃな横暴さである。
イラクはサウジアラビアに次ぐ世界第2の石油の埋蔵量を誇る国で、イラクを自分たちの言うことを聞く政権にしたいということが今回の戦争、いや一方的な殺戮の唯一の目的である。
そのことは、米国のルーガー上院議員がハッキリ言葉にして言っている。
『もし、フランスやロシアがフセイン政権崩壊後の石油の分け前を欲しいなら軍事行動に参加すべきだ』。
『悪の枢軸』とは誰なのか。
大量破壊兵器とは核兵器・生物兵器・化学兵器であり、そのすべてにおいて米国が圧倒的多数を保有している。
そして、国際的にそれらの兵器の禁止条約を締結しようとする動きがある時に、それらすべてを闇に葬り去ってきたのも他ならぬ米国である。
その上、非核保有国への核攻撃をしないという消極的安全保障すら拒否し、さらなる核軍拡を進めながら、米国の正義が世界の正義であるとして世界中に支配の手を広げた。
一方、ソ連が崩壊して冷戦構造が終焉するや、今度は『ならず者国家』から米国を防衛するとの理由で、ミサイル防衛(MD)をはじめとする軍拡を進めている。
要するに、米国は自分だけが世界の覇者であり続けたいと言っているのである。
そのことは、大統領自身がドクトリン・教書でハッキリと明言している。
『米国はかってないほどの力と世界への影響力を持っており、この力は自由を希求する国々の力の均衡を推進するために使われなければならない。脅威が米国の国境に達する前に探知し、破壊することで、米国民とわれわれの国内外での利益を防衛する。米国は国際社会の支持を得るために努力を継続するが、必要とあれば、単独行動をためらわず、先制する形で自衛権を行使する。米国は、自分たちの意思をわが国とその同盟国に押し付けようとする敵のどんな試みも破る能力を維持する。米国と同等かそれ以上の軍事力を築こうとする潜在的な敵に思いとどまらせるに充分な、強力な軍事力を持つ。』
核戦争防止国際医師会議は長年、核兵器に反対し、1985 年にノーベル平和賞を受賞した。
その創始者であるバーナード・ラウンがいみじくも指摘したように、核保有国が一貫して言ってきたことは、
『我々がしている通り』ではなく、『我々が言う通りにせよ。』
『我々は核兵器を持って良い』が、『君たちは持ってはいけない。』
今世界で起っていること、米国がイラクに対して行ったこと、朝鮮に対して言っていることはまさにこのことである。

『星条旗が示す米国の成り立ち』

米国は「United States of America」というのが正式な国名である。
これを日本語に訳すと、日本では「アメリカ合衆国」と訳される。民衆が集まってアメリカという国を作っていると言うのである。
米国の国旗は星条旗であり、その横線は赤白で13 本ある。この13 本は、東部13 州が米国の独立宣言をした時の植民地=州の数を示す。その後、米国は西部に向かって開拓という名前で先住民を虐殺しながら土地を奪って行き、とうとう太平洋まで達した。
そしてアラスカを獲ってハワイを獲って、現在51州だということで星条旗の星の数は51 個になっている。
つまりこの星条旗というのは米国という国の成り立ち、州の数を端的に示している。
もちろん、正式な国名自身が示すように「State=州」が集まってできた国が米国であり、日本語にするならば、「アメリカ合州国」にしなければいけない。
ところが日本では「アメリカ合衆国」という訳しか使ってはいけなくされている。
完全な誤訳だと分かっていながら、「合衆国」という訳しか使わせない社会こそ歪んでいる。
朝鮮に対してだけでなく、情報もまた偏って、歪んでいる。
ワールドトレードセンターでたかが3千人が死んだからと言ってアフガニスタンで、そしてイラクで何万人もの人間を虫けらのごとく殺していく。
そのことは報道もされない。それ以前に、イラクで経済制裁という名の下にこれまでに何万人の人たちが死なねばならなかったのか、そのことの方が大事なことだと私は思うが、報道もされない。
言葉に尽くせないほど不均衡な世界である。徹底的な差別の世界になんとか抵抗するということが、今私たちがなさねばならない一番大切なことだと私は思う。





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大手マスコミとか政府によるフェイクニュース (宗純)
2017-11-29 09:26:31
ウラン型原爆は世界最初のリトルボーイ以外には一つも無い事実は小出裕章がはっきり指摘している。
あの金持ちのアメリカでも2発目を作れないほどの金食い虫で、エネルギーを大量に浪費するのですから、貧乏でエネルギー不足に苦しむ北朝鮮は作るなど馬鹿馬鹿しくて話にもなりません。
確かにアメリカがイランのウラン濃縮を核開発だとして経済制裁してたが、濡れ衣の見本のような悪事である。

今回のコメント内容ですが、それは、大手マスコミとか政府によるフェイクニュースの類ですよ。

小出裕章ですが、アメリカなど外国が北朝鮮に対して水爆などを提供したと、暗に指摘しているのですよ。
ただ、科学者なので明確な証拠がないので断定していないだけ。今回の緊急メールでは何時もの簡単明瞭な科学者小出裕章らしくなくて、明確ではない不明瞭部分があるのは、この為でしょう。

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核開発 (luna)
2017-11-28 20:37:58
小出裕章さんが懐疑的なのは、ヒロシマ型の核爆弾を開発しているとされているからです、ヒロシマ型は実験しなくても作れるが、ナガサキ型は実験を繰り返さなければ作れない、ヒロシマ型は膨大な費用がかかり北朝鮮のような国では不可能だからです。
北朝鮮とイスラエルはイランコントラ事件の時に深く結びつきそれ以来つながっています、最近ではシリアのISISが使用しているソビエト製戦車近代化改装キットが北朝鮮製で、イスラエルが供給している事が知られています。
しかし表では北朝鮮はシリア政府に軍事顧問団を派遣して支援しています。
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