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大規模研究不正ふたたび〜医学界は自浄能力を示せるか
待たされた調査結果公表
いつ公表されるのか…。やきもきした調査結果が2021年5月28日、ようやく公表された。昭和大学の麻酔科に所属する上嶋浩順氏の論文に問題があることは以前から指摘があり、複数の論文が撤回されていた。
2020年7月の毎日新聞の報道では、「今月中にも結果を公表する。」とされていたので、ずっと待ち続けていた。それがようやく、10ヶ月遅れて公表されたのだ。
147報中117報に研究不正
昭和大学の資料によれば、調査対象はなんと147報に及んだ。上嶋氏と上司の大嶽浩司教授、部下2名の合計4名が調査対象になった。
その内訳は、原著論文12報、症例報告9報、「関連領域と話題」とされるのが1報、Letter to the Editor(掲載論文に対する意見や自らのデータを少数掲載した単報)が120報、Images in Anesthesiology(象徴的な写真に短い解説をつけた文章)が1報、出版前の原著論文が4報であった。
上嶋氏はこのうち原著論文9報、Letter to the Editor 74報、出版前の原著論文4報に捏造が、原著論文1報、症例報告1報に改竄を認めた。
さらに症例報告4報、Letter to the Editor 16報はデータがなく捏造認定。他にも症例報告1報、Letter to the Editor2報、症例報告1報、「関連領域と話題」1報、Letter to the Editor3報が改竄捏造と認定。研究不正が認定された論文が117報に及んだ。このほか「不適切なオーサーシップ」が131報認定され、上嶋氏は懲戒解雇、教授であった大嶽浩司氏が不適切なオーサーシップが認められ、降格。2名は学位取り消しとなった。
麻酔科医と日本人が上位独占?
117報以外にも、複数の「記載誤り」という論文がある。また、すでに6報の論文が撤回されている。今回の論文が撤回されることになれば、驚異的な論文撤回数となる。
論文撤回を監視するサイト「リトラクションウォッチ」は、研究者別の撤回論文数ランキングを作成している(リーダーズボード)。これによれば、2020年5月28日現在、トップ5は以下のようになっている。
1位 F氏(日本人麻酔科医) 183報
2位 ヨアヒムボルト氏(ドイツ人麻酔科医) 155報
3位 S氏(日本人医師) 103報
4位 I氏(日本人医師、S氏の共同研究者) 79報
5位 ナザリ氏(イラン人 材料工学の研究者)67報
100報を超える論文の撤回が行われると思われるので、上嶋氏と大嶽氏がトップ5に入ってくる可能性が高い。すると、1位から3位まで、あるいは4位まで麻酔科医が独占し、トップ5人中4人が日本人医師となる。トップ10まで広げれば、6人が日本人医師、5人が麻酔科医となる。
こうなれば、日本人、とくに医師はどうなっている、麻酔科医どうなっていると言われるのも当然だ。
今回のケースでは、Letter to the Editorが多いので、社会に与える影響という点で考えれば、サイエンス誌やネイチャー誌が大きく取り上げた、現在撤回数ランキングの第3位に位置しているS氏には及ばないだろう。S氏の研究は診療ガイドラインの根拠となるなどしており、撤回の影響は甚大だった。
"Tide of Lies"のその後:臨床研究の不正の影響は大きい
しかし、人事を歪め、無駄な研究に税金が使われ、研究を歪めたという点では、変わることはない。
大規模研究不正が起こる原因
今回どうしてこのようなことが起こったのだろう。
昭和大学の報告書によれば、上嶋氏の研究倫理意識の欠如、教授だった大嶽氏が上嶋氏の研究を確認しなかったこと、上嶋氏が高圧的で意見を言えなかったことが挙げられている。
一方、日本麻酔科学会は、もう一歩踏み込んだ指摘をしている。
業績に基づく組織運営体制
多くの大学と同様に、昭和大学においても、診療科や個人の評価には、臨床業務実績や研究業績が用いられている。上嶋浩順氏は、自身の昇進だけでなく、医局員の任期更新や医局員のリクルートのため、共著者としての論文提供が必要であった。そのため、研究への関与なく、筆頭著者、共著者となる習慣が医局内に認められた。麻酔科内の組織運営の責任者である大嶽浩司氏は、このような体制を知りつつ、その体制改善の努力を怠っていたことは、今回の研究不正が継続的に行われてしまった背景要因として大きい と考える。
非常に重要な指摘である。とくに「多くの大学と同様に」と記載している点が重要だ。
正直なことを言えば、このような業績に基づく体制をとっていない医学部の研究室を探すことはかなり難しいのではないか。
実際、上記の文章を読んだとき、既視感があった。
論文撤回数ランキング1位、183報もの論文を撤回したF氏の研究不正を日本麻酔科学会が調査したときの報告書だ。
論文業績は,筑波大講師や東邦大准教授に採用されるのに必須のものであった.公的研究費を獲得した.日本麻酔科学会学会賞にも 5 度応募したが選外であった.企業主催のセ ミナーの講師を 2 度務め講師謝礼を受け取った.
F氏は,これらの論文業績を,学内での業績評価,大学教員ポストの獲得,教授選考への立候補,公的研究費獲得,本学会学会賞への応募等に利用していた.
つまり、今回のような大規模研究不正は、他のどの大学でも起こりうるということになる。
ブレーキのない車
日本人研究者が突出して研究不正を行なっているわけではない。問題は、今回の上嶋氏のように、研究不正を繰り返す人をストップさせるブレーキがないのだ。
医学部に顕著だが、論文の共著者は、業績が欲しいのもあって、内容をチェックしない人が多い。今回のケースも、名前を載せてもらっていた研究者たちのなかには、研究内容に関与しておらず、不適切なオーサーシップが認定された者が多くいた。名前が載っただけなので研究不正認定はされないというもどかしい状況だ。
上司も何もしなくても論文を勝手に書いて名前を掲載してくれる部下は使い勝手のよい「業績量産マシン」になる。
部下が研究不正に気がついたとしても、高圧的な態度や上位下達の雰囲気でとても意見など言えない。そもそも医学部では、身分を超えて意見を交換することは簡単ではないのだ。
こうした状態では、研究不正を行わないように止めるブレーキは、倫理観のみだ。多くの研究者は倫理観をある程度持っていると思うが、それがない人が暴走したときに、止めるのは難しい。今回のように、びっくりするほど不正論文の数が積み重なったときに、ようやく発覚する。だから、撤回論部数上位を日本人が占めるという、世界に恥ずべき事態となってしまう。
しかし、こうした事態を放置すれば、日本の医学研究の評判は悪化し続けるだろう。いくら「研究不正をしているのは一部ですよ」と弁解したところで、撤回論文数ランキングを突きつけられたら反論しにくい。
さらに言えば、論文調査に関わった方々の労力や時間、不正論文を作成するために使われたお金、不正論文を引用した研究に費やした時間が無駄になってしまう。
これらが与える損害はいったいどれくらいになるだろうか。
自浄能力に期待できない?
昭和大学の資料によれば、上嶋氏は公正研究推進協会のオンライン研究倫理教材を視聴したりするなど、一般的な研究倫理教育を受けていた。日本麻酔科学会も、学会員から撤回ランキングトップのF氏や、53報の論文を撤回しランキング7位に位置するS氏を出したことを深く受け止め、研究倫理教育には熱心だった印象がある。私自身、日本麻酔科学会の関西支部の講演会でお話しさせていただいたことがある。
しかし、こうして大量の研究不正が繰り返された。2度あることは3度ある、なのか、3度目の正直かは分からないが、教育を徹底します、指導を徹底しますだけで十分だとはとても言えないだろう。
業績主義という構造、上位下達、相互批判ができないカルチャー、構造にメスを入れない限り、暴走した研究不正者(リピートオフェンダー)を止めることはできない。
しかし、日本の医学界にそれができるだろうか。
ここでは詳しくは述べないが(文末リストに挙げた私の書いた過去の記事等参照)、繰り返される医師による研究不正と、不適切な調査、隠蔽など、この数年の状況をみると悲観的な気持ちになる。
諸外国にあるような、研究不正の調査を第三者的な立場で監督する機関の設立が、いよいよ求められているのではないか。そうした外部機関の介入を学問の自由に対する危機というのも理解はできる。しかし、いったいいつまで待てば、日本の医学界は自浄作用を発揮してくれるのだろうか。人々の期待は永遠ではない。
(抜粋)
2016年07月08日 | 社会 プリンセス小保方晴子の栄光と蹉跌
そう言えば理研のSTAP細胞特許詐欺に巻き込まれ失脚したプリンセス小保方のハーバード大の共同研究者も麻酔科医
麻酔ですが10万人に1人の割合で死ぬほどの大きな危険性があり『全身麻酔を1回受けると、寿命が6年縮む』との怖ろしい伝説があるくらいだが、実は麻酔が何故人体に対し効くかの科学的な説明は定まっていない。
驚くべき事実があるが、麻酔薬の作用機序、つまり『どのようにして麻酔がかかるのか』、『なぜ麻酔薬を投与されると、人は意識や感覚を失うのか』というメカニズムは、未だに完全には解明されていないのである。
つまり医者たちは『今までも効いてきたから、大丈夫だろう』という経験則にもとづいて、全身麻酔を行っているにすぎない。死に至る失敗例に関しても、正確な原因は藪の中というのが実情であるという。(今まで報道されているバカンティ氏の基礎科学の研究者として不可解な言動も、麻酔科の現役医師としてみればそれほど違和感が無い)
近代科学で一番遅れている分野が医学
今の科学は「科学者はすべて分かっている」と思っている人は多いが、それは高校の理科の教科書レベルの話で、そもそも「分からない」から科学者が必要なのである。(すべての謎が解明されても優秀な教師は必要だが、科学者は一人もいらなくなる)
そして「分からない科学」の中でも飛び抜けて「分からない」分野が医学で、その理由も実は極簡単で科学進歩とは科学者相互の批判と実験(検証)で出来上がっているが旧日本軍石井部隊のような医学での人体実験は厳しく制限されている。近代科学の発展では対象物をミクロの段階まで小さく分解して検証する作業が主流なので経済学や気象学などは非科学的で野蛮極まる占星術や錬金術まがいの偽科学が横行するのである。(★注、今回の摩訶不思議な新コロワクチンでは「緊急事態だ」「これは戦争だ」との理由で世界規模で安全審査を無視した731部隊のような人体実験を行っているのですから無茶苦茶)
1年も前の古い不正事件が・・・
そして今回の昭和大学医学部の研究不正の記事で一番大事な事柄とは最初の1行「いつ公表されるのか・・・やきもきした調査結果が・ようやく公表された」に尽きるのである。たぶん、1年半前から日本だけではなく世界中を巻き込んだ正体不明、奇妙奇天烈摩訶不思議な新コロ(SARS-CoV-2)騒動と連動しているのである。もちろん前代未聞空前絶後の8000万票のアメリカ大統領選の「郵便投票」の不正選挙とも連動していることは明らか。今まで隠していた不可解で醜いトンデモナイ恐ろしい出来事が全部まとめて浮上してきているのである。
今回の1年遅れの遅すぎる昭和大学医学部の恥ずかしい論文不正事件ですが、もちろん今世間が大騒ぎする新コロ非常時代宣言下の東京オリンピック開催の馬鹿騒ぎに便乗することで少しでも世間の風当たりを小さくするとのセコ過ぎる動機が考えられる。
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探査車「パーサヴィアランス」(Perseverance)と小型ヘリ「インジェニュイティー」(Ingenuity)の概要(出典:NASA)
火星で史上初のヘリコプター飛行に成功 NASA
小型ヘリ「インジェニュイティー」(創意工夫の意)が飛行したのは1分未満だったが、史上初の、他の惑星での制御された動力飛行の成功に、NASAの管制室はわきかえった。
飛行成功は、火星の周囲を回っている人工衛星からの映像送信で確認された。(抜粋)
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ペンス副大統領(左端)など全員が両手を揃えて起立している米大統領記者会見 一人だけ腕を組んで不満を露骨に表現するアンソニー・ファウチ米アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長
新型コロナ「研究所流出説」容認へ、フェイスブックが方針転換
5月28日 AFP】新型コロナウイルスの起源をめぐる議論が再燃する中、交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブック(Facebook)は26日、研究所流出説の投稿を禁止する方針を撤回した。
フェイスブックは公式ウェブサイトで、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の起源に関して進められている調査と、公衆衛生専門家らとの協議を踏まえ、同ウイルスが人工的に作られたとする主張について、今後は当社のアプリから削除しないことにした」と述べた。「同ウイルスの進化に対応するため、保健衛生の専門家らと協力を続け、新たな事実や傾向が判明次第、方針を定期的に更新していく」
誤ったコンテンツや潜在的に有害なコンテンツを根絶する一方で、議論の余地を残すというフェイスブックが直面する課題が浮き彫りになった。フェイスブックは2月、世界で300万人以上の死者を出した新型ウイルスに関する誤った主張や、根拠のない主張を削除する方針を発表していた。
ジョー・バイデン米大統領は、同国の情報機関に対し、中国で最初に確認された新型ウイルスの起源が動物由来なのか、研究所からの流出なのか、調査報告を行うよう指示していた。
研究所流出説は当初、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米政権がとりわけあおっていたが、政治的な主張として否定されていた。しかし、米国では支持されるようになってきている。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は米情報機関の調査結果として、中国が謎の肺炎の流行を公表する1か月前の2019年11月、武漢ウイルス研究所の研究員3人にCOVID-19に似た症状が出たと報じている。
5月28日 AFP
問答無用で永久追放したのに・・・事実上「トランプが正しかった」と認める
今後の成り行きしだいでは、ファウチ博士逮捕との壮大な世界規模のビックリ箱(★注、トカゲのしっぽ切り)も十分に考えられる。そもそも「研究所流出疑惑」自体が丸々トランプ大統領の主張なのですからバイデンのアメリカ情報機関への調査指示報道が???これは「トランプが正しかった」と言っているのと同じなのである。
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