菅直人政権の最大の懸案である11年度(11年4月~12年3月)予算・関連法案の年度内成立をめぐり、与野党で激しい応酬が展開され成立の目途が立っていない。
その為にマスコミで3月危機説や解散説まで出る有様であるが、日本の場合には肝心の予算法案自体は衆院で多数で可決され自動成立する仕組みですから、管直人政権『危機的状態』とのマスコミ解説の論調なら、年度内を遥かに過ぎても未だに予算本体が可決出来ないオバマ政権のことは『壊滅した倒壊状態』とでも呼ぶ心算だろうか。
『野党共和党、歳出削減へ攻勢』
医療保険・奨学金など暮らし直撃。(2011年2月22日付けしんぶん赤旗)
オバマ大統領は来年の2012財政年度(11年10月~12年9月)の予算教書を発表したばかりですが、米議会では今年9月までの2011財政年度の予算が未だに成立していません。
大幅な歳出削減を求める野党共和党とオバマ政権が対立。既に期限を過ぎて5ヶ月目に入っていますが、成立の目途は依然として立っていません。
政府機能は、昨年12月に成立した暫定予算を基に維持されていますが、それも3月4日で失効します。
本年度予算を成立させるか、再び暫定予算を組むかしなければ、1995年以来、政府機関が閉鎖に追い込まれる事態となります。
昨年11月の中間選挙の結果、下院で過半数を握った共和党は、大規模歳出削減を求めて攻勢をかけています。
下院本会議では2月19日、ホワイトハウスの要求額より歳出を615億ドル削減した2011財政年度予算を可決しました。
削減の中には、オバマ政権の改革の目玉である医療保険改革法の執行予算や奨学金支援策など、国民生活に直結するものが並びます。
上院で多数を占める民主党は、国民生活に犠牲を強いるものとして反対しており、両院間の調整は難航が予想されています。
一方、これまで軍事費を『聖域』視してきた共和党も、ベイナー下院議長があらゆる選択肢を排除しないと『自由な議論』を主導。
歳出削減の議論は軍事・外交分野にも及んでいますが、同氏自身が驚くような事態も起きています。
下院は16日、F35戦闘機の代替エンジン開発費4億5000万ドルの削減を議決しました。
同開発費もともと、国防総省が不要と主張したにもかかわらず、議会が計上していたもので、削除自体は政権の方針に沿うものです。
ところが同開発費の削減にベイナー氏は反対で、今回の事態は同氏も予想していなかったこと。
『聖域なき削減』を要求する共和党内保守派『ティー・パーティ』(茶会運動)の影響力の強まりを指摘する声もあります。
これを不安視するのが国防総省と国務省。
今回の経過から、今後は国防・国務両省が要求する項目も削減対象となる恐れが出てきたからです。
ゲーツ国防長官は14日、議会で進行中の議論について『真剣な考慮とは無縁』と危機感を表明。
クリントン国務長官も『安全保障にとって破滅的』などと共和党の議論を批判しています。
世論調査機関ギャラップ社の最近の世論調査によると、米国民は生活分野の大幅歳出削減に反対しています。
貧困対策では削減賛成が39%、反対が55%、教育分野の削減賛成は32%に対して反対は67%でした。
一方で、対外援助の削減は賛成が59%、反対が37%でした。
既に2011年度に入っている米国では、未だに以前の2010年度の暫定予算の下で連邦政府を運営しているが期限までに歳出法もしくは暫定予算を改めて延長する法律が成立しないと、政府機関は閉鎖に追い込まれる。
下院で2011財政年度(10年10月~11年9月)歳出法案を賛成235、反対189で可決したが、財政赤字削減を公約に、先の中間選挙で下院で圧倒的多数を獲得した共和党は、ほぼ全議員が賛成票を投じた。
一方、民主党は過剰な歳出削減は景気回復を損なうなどとして、反対票を投じた。
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