逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

東電メルトダウン発表で、メディアの「安全」宣伝もダウン

2011年05月16日 | 放射能と情報操作

『福島第一原発1号機は底抜けらしい』

福島第一原発で一番事故対策が進んでいると言われていた1号機ですが、1時間当たり8トンもの大量の水を入れても本来の燃料棒の水位に達しないような致命的な破損の程度なら、亀裂や穴どころか完全に圧力容器の底が抜けている可能性すらある。
この事実が明らかになったことで、東電も渋々『メルトダウン』していた事実を認めた。
2ヶ月前の爆発当時に分かっている最悪の事態を、今頃認めた東京電力ですが、縁起の悪いことに負け戦の頃の日本軍とそっくりです。
日本軍の負け戦と言えば、『大本営発表』の真っ赤な嘘を連想するが、今の日本のマスコミ各社も事故以来『大丈夫』『安全です』を繰り返す大本営発表とそっくり同じ状態だった。
その大本営発表だった日本もポツダム宣言受諾後には、今まで隠していた悲惨極まる恐るべき真実が徐々に明らかになる。
今回の原発事故でも同じで、何ヶ月も前の『メルトダウン』の悲惨な『負け戦』の事実を東電が嫌々認めたら、今まで発表されなかった悲惨極まる惨憺たる数々の事実が次々明らかになるつつあるが、それにしても『敗戦とは辛いものである』とつくづく思い知らされる。

『2000ミリシーベルトの驚異的汚染濃度』

東日本大震災:福島第1原発事故 1号機、最高の2000ミリシーベルト
 ◇地下に3000立方メートル汚染水
東京電力は14日、福島第1原発1号機の原子炉建屋1階で、毎時2000ミリシーベルトの放射線量を計測。
作業員の被ばく線量の上限(250ミリシーベルト)を約8分で超える値。
1号機では注水した冷却水が大量に行方不明になっていたが原子炉建屋地下1階で、3000立方メートル程度の大量の汚染水が見つかった。
注水した水の所在が分かったのは初めてだと言うが、東電は注水した水が都合よく何時の間にか無くなってくれるとでも安易に自分勝手に思っていたのだろうか。
入れた分だけ(蒸発部を除いた)汚染水が増えるのは当然である。
2ヶ月も毎時6トン~8トンも水を入れ続けて、今頃気が付くとは呆れ果てて言うべき言葉もない。

『津波で炉心損傷想定』
『07年度から警告』  毎日新聞5月15日

大津波がきっかけで起こる原発の炉心損傷を、経済産業省所管の独立行政法人『原子力安全基盤機構」が07年度から報告書の中で想定し、公表していたことがメルトダウンを東電が認めたら、すぐさま15日には毎日新聞朝刊が報道している。
東京電力福島第1原発の炉心損傷事故について、国や東電は『想定外の大津波が原因』と主張しているが、真っ赤な大嘘は明らか。
公的研究機関が進めていた研究成果が以前から公表されているにも拘らず、毎日新聞の記事では『公表していたことが14日分かった。』とお惚け。
事実は、『公表していたことを14日まで隠していた』か、あるいは『公表されていた事実を今まで知らなかった』であり、いずれにしても報道機関としての責任問題で、過失なら『恥』であり故意なら悪質な情報操作、世論誘導そのものである。
この原子力安全基盤機構の報告書は赤旗が既に3週間近く前の4月27日に報道している。
5月2日付け当ブログ記事『通産省「原子力安全基盤機構」7mの津波高で電源喪失、炉心損傷』でも、去年の12月に出した09年の『地震に係る確率論的安全評価手法の改良. に関する報告書』で、福島第一の1~4号機と同じ条件を想定した場合、波高7メートルで炉心損傷が100%確実に起きると推計している。

『マグニチュード算出改良』毎日新聞5月15日

気象庁が通常発表するマグニチュード(M)は、気象庁マグニチュード(Mj)と呼ばれ、地震計で記録した最大揺れ幅と震源までの距離で決めているが一定以上の巨大地震ではマグニチュード(M)の数値が小さくなってしまう。
気象庁マグニチュード以外にも、地震でずれた断層の面積などで算出する『モーメントマグニチュード(Mw)』がある。
東日本大震災では、気象庁は発生直後、規模をM7.9(気象庁マグニチュード)と発表したが、その後気象庁マグニチュードの数値がM8・4と変わる。
次には発表がモーメントマグニチュードM8・8と変わりと、転転と変化したが、最終的に福島第一原発1号機が爆発したことが判ったあとの震災2日後にM9.0(モーメント・マグニチュード)と確定した。
東電がメルトダウンを認めるまで、このマグニチュードの数値の変化が、『算定基準自体の変化に因るもの』である事実は、日本のメディアで報道するところは一箇所も無かったのです。
この事実(印象操作の手口)は、4月20日の当ブログ記事『総がかりで福島第一原発事故を隠蔽する各省庁』に詳しく記述している。
気象庁が今までの旧基準値ではなくて、最新の地震学会の測定方法『モーメントマグニチュード』の使用に、震災直後に早々と切り替えた事実は当然であり評価したいが、今回の3・11大震災以外は、以前のままの気象庁マグニチュードのままの数値では比較検討が出来ない。
気象庁は今まで、巨大地震でより正確な数値のモーメント・マグニチュードを使用しない理由として、『過去の記録との一貫性』を主張していたのですよ。
今回毎日が報道するまで、気象庁は絶対に今回のM9・0が、実は以前の基準の表示ではM8・4である事実を決して発表しなかった。
気象庁やマスコミは、東電の『想定外の未曾有の地震だった』との責任逃れの印象操作に、今までは全面協力していたのです。

『福島県の汚染濃度はチェルノブイリの10倍超』5月11日付け毎日新聞

『原発北西セシウム高濃度』
チェルノブイリ原発事故では強制移住の対象となっていた汚染数値の10倍以上の高濃度の汚染地域地帯が、福島県飯舘村など原発の東北に帯状に広がっていた事実が文部科学省により、初めて発表される。
この恐るべき事実は、原発事故があって2ヵ月後に(第一面ではなくて二面の目立たないように小さな見出しで)やっ毎日新聞などで報道されている。
これも一号機の圧力容器の底抜けでの冷却水のダダ漏れ状態が2ヶ月以上続き、仕方なく今まで隠していたンメルトダウン発表を東電が行った事実と、無関係では有り得ないだろう。
これに対しては5月14日付け当ブログ記事『福島第一、飯舘村の汚染濃度はチェルノブイリの26・5倍から5・5倍』で解説しているが、今まで『悲惨極まる事実』を日本市民に隠し続けていた政府マスコミや無責任極まる態度は批判されて当然である。



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7 コメント

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地震の直撃で破壊されていた1号機 (宗純)
2011-05-17 17:52:33
まー君さん、コメント有難う御座います。

2ヶ月も経って隠し切れなくなって、やっと発表したのだとも解釈出来ますが、
2ヶ月もかかったが政府や東電も不都合な真実は決して『無かったことにする』(当初のやり方だった)ことは絶対に無理であり、何時かはかならず真実と向き合う時が来るものです。
日本国の管直人もとうとう、『ポツダム宣言受諾』の決心が出来たので、やっと『敗戦』の事実を認める決心が付いたとも解釈出来ます。
津波の到来前にすでに1号機では冷却水の配管が破断していて致命的な損傷を受けていたのですよ。
緊急炉心冷却装置を手動で止めたり動かしたりを繰り返した原因は早期の冷却水喪失が起きたからでしょう。
圧力の急激な低下とか、軽水炉では一番恐ろしい冷却水の喪失だったのです。
ベント解放以前に高濃度の放射能の汚染とは、この漏洩した冷却水が原因でしょう。
このときには既に原子炉は致命的な損傷を受けており、メルトダウンした燃料棒による高熱で穴の開いた圧力容器からの大量の放射能漏れが起きていた。
しかも40年も経過した老朽した機器が地震の直撃に耐えられず、1号機では全ての事柄が一度に連続して起きてしまう。
そんなことを予想していない現地の東電関係者はマニュアルに無い事態に周章狼狽、なすすべもなかったのでしょう。
致命的な人災に次ぐ人災の連続、人災の臨界が起きた。
このGM製のマーク1型沸騰水型原発には、基本的にこのような危険性があることが既に原発メーカーから報告書が出ているのですが、『安全神話』の真底嵌りこんで全く無視したか、あるいは勉強不足で読んでいなかったのです。
自分達が『神に近い力と、知恵。何ものにも動じない冷静さとそれとは相反する即決の乱暴にも見えるほどの決断力』が必要な、禁断の『プロメテウスの火』か、恐るべき『地獄の業火』を扱っているのだとの謙虚さが微塵も無かったのが悲劇の最大原因でしょう。
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>『NHKの内部告 (宗純)
2011-05-17 09:35:44
発岩下俊三さん、コメント有難う御座います。

夜の10時から放送の2時間番組のNHKのETV特集ですが、昼間の『安全です』を繰り返す大本営発表のNHKとは、同じ名前だが別の放送局かと驚くほどの内容でしたよ。
ビックリすることに、この番組の中で、何と原子力安全委員会が政府に勧告したとされている20ミリシーベルトを明確に『安全委としては認めていない』と否定しているのですよ。
『それなら安全委としては何ミリシーベルトを安全基準としているのか?』との質問には答えず席を立っています。
それなら、悪質な御用学者の代表的人物だった小佐古内閣参与までが『認めれば学者生命は終わり』『自分の子供には・・』と涙を流しながら抗議して辞任した文部省が発表した児童生徒の20ミリシーベルトとは誰が出したのでしょうか。

非常に良いニュースです。
NHK編成センターによると、
ETV特集『ネットワークで作る放射能汚染地図 福島原発事故から2か月』
は沢山の視聴者からの再放送の要望にこたえて総合テレビで今週木曜深夜  20日午前1:30~再放送が決まったようです。
見逃した人は是非とも御覧下さい。

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冷静な判断 (まー君)
2011-05-16 16:26:21
中国は自分に都合の悪いことは「冷静な判断が求められる」と相手のせいにする。これを日本もまねて政治家がよく使うようになった。
最近の原発議論を見・聞いているとこの言葉を使う原発推進者や隠れ「推進者」が目につく。
「原発抜きでエネルギーの自給は不可能だし、原子力産業を廃業すれば経済に大打撃を与える。だから、福島原発の一例だけで原発廃止などと感情的にならず、より一層安全性を高め原子力を賢く活用するという冷静な判断が必要である。」という一見もっともらしい意見である。
だがちょっと待って欲しい。これまで冷静さを欠いてきたのはどちらなのか?机上の安全論と札びらで推進してきた推進派なのか、それとも安全論の陥穽や暴走の可能性を指摘し使用済み燃料の完全処理が出来ない事実を危惧してきた反対派なのか・・・。
今回の福島原発を見ていればどちらが冷静だったか一目瞭然なのだが・・・。
だから手前勝手な「冷静論」をぶつ人に言いたい。「あなたこそ冷静に福島原発で起きていることを見てほしい。暴発してしまったら東電が、政府が、原子力委員会が何が出来るか冷静に見てほしい。」
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Unknown (岩下俊三)
2011-05-16 16:08:36
ETV特集のディレクターは知己であります。良心的?学者を使って汚染地図を作るという「手法」は秀逸であります。これは政府筋(行政筋)があらかじめ知っていてワザと危険に晒したある種の犯罪であることを示唆しています。ということは、報道機関が報道していないことを意味し、あるいみNHKの内部告発とも読めます。彼らは巧妙な「確信犯」で僕の信頼する人間でもあります。巧妙でないとかってのETV「女性法廷」のように物議を醸し、結局「上」からの命令で10分もカットされるのです。おまけに飛ばされます。その意味で番組内容よりも巧妙な完全犯罪的手法に同じ世界のプロとして拍手を送ります。
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メルトダウンはいつ始まった? (まー君)
2011-05-16 15:48:35
事故直後は、関係者はあれだけ口をそろえてメルトダウンは起こしていないと言ってましたが、いよいよ認めざるを得ない状況になると、あれあれ・・・!地震発生後5時間後と推定されるなんて言い出した。どうやら認めるとすると早い時間帯の方が都合がいいらしいですね。つまり海水にしろ真水にしろ手当する暇もないほど早くメルトダウンが始まってしまっていたということで、冷却水の早期注入の決断遅れという致命的な「人災」をうやむやに出来ると言う事ですかね。
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米原子力規制委員会(NRC) (宗純)
2011-05-16 14:45:32
愚樵さん、コメント有難う御座います。

『このコントロール成功は、誰に利益をもたらすのか』ですが、今の日本政府や首相官邸を牛耳って原発事故の指揮をとっているのは、護憲左翼系のブログ記事に良く見られるような日本の『官僚』でもないし、枝野官房長官でも無いと思っています。
ましてや全くの無知、無力、無教養、無責任であることが暴かれた原発に対して目暗同然のマダラメ安全委員会委員長に代表される東京大学工学部原子力学科出身の『安全村』の住民でもない。
丸太並みの管直人首相で無いことはもっと確かです。
このような敗戦の様な未曾有の国難では、日本では最高責任者には原則、責任はないのですよ。
ましてや、これも66年前の敗戦と同じで、産経や経団連も原発に対しての言動は、いまや信用度はゼロであり、動かす力は何も無い。
当事者の東電ですが、原発はフルターンキーで東芝など原発メーカーに丸投げなのですが、その東芝もマダラ目と同じ『安全村』の住民なので、矢張り無理、無教養、無責任の三重苦で全くの無力であることが露呈している。
それなら誰がこの国を動かしているのか。?オバマ大統領は早朝4時に首席補佐官にたたき起こされ原発第一原発事故の速報を3月11日中に聞いて即座に米原子力規制委員会(NRC)のスタッフを日本に派遣しているのですが、この連中が首相官邸で全ての指揮をとっている可能性があるのですね。
日本にも一応は議会も政府(吉田茂内閣)は存在しても、全ての指令は政府のもっと上のマッカーサー司令官のGHQから出ていた全面占領下の体制が今正に復活している。
原子力規制委員会(NRC)のヤズコ委員長が3月末に米上院エネルギー委員会で証言して福島第1原発から約20マイル(約32キロ)以上離れた場所なら安全、と言った意味とは日本政府の決めた30キロ圏の屋内退避のことを指していると思われる。

例によって産経などは、アメリカ側半径50キロからの退避を勧告したが管政権が拒否したとなっているが『為にする』報道で意識的な誤報の可能性が高いでしょう。
昨日のNHK教育テレビでの福島第一原発事故での放射能汚染での2時間ものETV特集放送を行っているのですが、実に興味深い内容でした。
マスコミの常連の東大系の御用学者以外の、今までの放送では滅多に出ない原発懐疑派の学者達が原発周辺の汚染地図を独自に作る様子が描かれているのです。
原発から北西方向の30~40キロ地点で、10キロ圏の退避区域以上に何倍も汚染されたホットスポっトを発見しているのですが、何と日本の文部省は飯舘村など危険地域の汚染を知っていたのですよ。
ところが『風評被害を防ぐ』との理由で地名を黒塗りで隠してホームページで公開していた。
地名抜きなら危険地域は原発の近くだと誰でもが勘違いして『遠いので安全』だと思います。
地名が黒塗りの機密だったので、退避地域の自宅の何倍も汚染された危険地域にわざわざ不便な避難性生活を送っていた人々がいたのですね。
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メルトダウンはしたが (愚樵)
2011-05-16 04:33:28
京大の小出助教の話では、メルトダウンしたとようやく発表された一号機は、すでに小出助教が危惧した最悪の想定を通り越していたらしい。最悪の事態とは、まだ残っている核燃料がメルトダウンして水と反応し水素爆発・水蒸気爆発を起こすこと。ところが幸いなことに、その段階はもはや通り過ぎていたというのですね。

政府や東電へのメディアの反応もこれとよく似ています。安全宣伝はメルトダウンした。が、危惧された大爆発を起こす段階はやり過ごすことが出来た。安全と宣伝しつつ危険な情報を徐々に漏洩させ、急激な反応で爆発することは避けることが出来た。メルトダウンをコントロール出来たんですね。バカで適応能力が高すぎる国民はもはやメルトダウンなど織り込み済みで、いまさら発表しても爆発的な反応を示さない。

このコントロール成功は、誰に利益をもたらすのか。国民でないことは間違いないですね。
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