逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

分けないことにはわからないが分けてもわからない

2012年08月28日 | 軍事、外交

『世界はファジーに出来ている』

分子生物学者福岡伸一の『生物と無生物のあいだ』の最後にある、『世界は分けないことにはわからない。しかし、世界は分けてもわからない』という禅問答のような言葉は、今まで自分を取り巻く世界を『分ける』ことで理解しようとしてきた近代科学の持っている致命的な欠陥の重要な指摘である。
世界を丸ごと理解する事は、理解する人間側の能力の限界により極めて困難であり難しい。
近代科学の黎明期のルネッサンスの巨人レオナルド・ダビンチを最後に世界全体を検証、理解できるマルチ人間は消滅して仕舞う。
難問を一挙に解決したのが近代科学の『世界を分ける』手法である。
ダビンチ後は、限定的なパーソナリテイを発揮する沢山の近代科学者の集団が生まれ正しく検証、理解する。
今では科学者による『部分』の研究が飛躍的に進み、昔に比べれば随分『わかる』ようになって来た。
ところが一見万能にみえる『科学』にも弱点はあり、近代科学の『分ける』でわかるのは部分であり全体ではない。
現在のような『分けて、わかる』近代科学の発展の弊害として考えられるのは、全ての物事が『分ける』ことが出来るし、分けて『わかる』と錯覚したことでしょう。
分けてわかる真理は部分(真理の小さな欠片)であり、真理全体(真理の体系)とは全く違う。
手段だった『分ける』が主客転倒、目的化してすべてを部分部分に『分ける』が、全ての物事には必ず境界線上のファジーな『分けれない』部分がある。
簡単に『分けれる』と思える生物と無生物のあいだにも厳格には分類出来ないウイルスのような曖昧なものが存在し、科学の発展が脳死のような生と死の曖昧な領域を生み倫理的な議論を呼ぶ。
何かの境界線にはファジーな『どちらでも有り、どちらでも無い』曖昧な部分が少数は必ず残る。

『意識的にファジーだった日本国の境界』

神と人など全てが厳格に断絶している一神教の世界観をルーツに持つ西欧近代科学は、『分ける』ことに何の疑問も感じないが、そもそも我が日本国は人も神も動物も並立的であり『分けれない』と考える一神教とは一番遠い位置にある。
『内と外』『自己と他者』が厳格に分かれている世界基準(グローバルスタンダード)では戦争終結後の一番最初の、最需要な仕事とは基本的に国境線の確定(明確に分ける)である。
日本国は正反対に『分ける』を終戦後67年も経つのに厳格に行わず、曖昧な『どちらでも有り、どちらでも無い』ファジーなままで長年済ましてきたが、今回何故か北方領土、尖閣諸島、竹島と一挙に噴出して大騒ぎになる。
自主外交権が無かった占領時代の1951年に吉田茂全権が全千島放棄のサンフランシスコ講和条約を結ぶ。
その後『白馬は馬に非ず』とばかりに『国後択捉の南千島は千島ではない』と北方領土返還を主張するが、これでは世界に通用しない。
日本が北方領土返還を要求するには順番として千島放棄のサンフランシスコ条約破棄が先なのだが、勿論そんな危険なことは金輪際する気がない。
日本政府は一番肝心な問題点の先送り(棚上げ)で境界線(国境)をファジーにする。
1965年の日韓条約でも竹島は『解決しないことで、解決する』と、問題点の先送り(棚上げ)を行った。
超日本的な『時間がすべてを解決する』とのファジーな命題であるとでも思ったのだろうか。
1972年の日中国交回復、1978年の日中平和友好条約でも今までの先例に習い尖閣を棚上げする。
『分けない』ファジーな曖昧解決が『何人も尖閣には上陸させない』だった。
悪い不都合なことでも『人の噂も75日』過去を水に流して無かったことにする日本的には何の問題もない最善の解決策ではあったが運悪く相手は日本人ではない。厳格に『分ける』ことを原則としている世界基準の外国であった。
当時の日韓や日中の国力には桁違いの圧倒的な差があったので世界基準でない超日本的な解決策も可能だったが、今では彼我の力関係が拮抗している。
これでは揉めないはずがない。
今起きている騒動は厳格な一神教的な世界基準(明確に分ける)VS曖昧で多神教的な日本基準(分けないで先送りする)との根本矛盾の噴出とも捉える事が出来ます。

『大人気ない野田佳彦など松下政経塾の素人外交』

大統領の初めての竹島上陸に対して野田佳彦首相が送った抗議の『親書』を韓国側が外交手続き上の不備を理由にして受け取りを拒否する。
最高首脳同士の親書の内容は外交機密としては最高レベルであり大統領に届く途中での開封は厳禁である。
ただこれでは翻訳など色々不便なので首脳側近の事務方宛には親書のコピーを添付するとの外交慣例がある。
ところが今回の日本の野田佳彦首相の送った大統領宛の親書には複写の添付がない代わりに日本は事前にマスコミに内容を発表する。
これでは韓国ならずとも最高首脳の『親書』ではなく、国内向けの姑息な宣伝、広報か世論誘導であると誰でも思う水準である。
今回野田首相は外国の最高首脳に対して出した『親書』の形式を装って、実は国内マスコミや最大野党自民党向けのお粗末なパフォーマンスを行った。
しかも韓国側が一番嫌う『島根県竹島』とか『不法上陸』などの挑発的な言葉を最も慇懃で形式張った礼儀正しさが大切な外交で弄ぶ迂闊さ、幼稚さ。

『国内のお役所言葉とは180度違う外交用語』

野田佳彦首相らが喋る政治用語『前向きに検討する』の意味は(将来はわからないが)『今は何もしない』である。
国内限定のお役所言葉は軽すぎる。
ところが、外交用語では逆に言葉の意味が極端に重くなる。
『無関心でいることはできない』は『紛争に介入するぞ』という厳重警告であり、『重大な関心をもって見守る』なら『強硬姿勢をとるぞ』となる。
『わが政府は自らの利益を考慮しなければならない』『行動の自由を要求する』は、『関係の断絶を考えているぞ』という重大な威嚇である。
一見礼儀正しくみえる発言でも、外交では強硬で過激な『内容』となる。
物騒な話でも『冷静な雰囲気』を装い丁重な言葉で慇懃に語るのが外交の世界である。
それなら今回の野田佳彦首相の強硬で過激な『親書』は無茶苦茶。
受け取った側では真珠湾並みの宣戦布告なき奇襲攻撃と看做されかねない危険物だった。
非礼を怒った韓国が『親書』の受け取りを拒否、送り返して当然であったのです。
通常は全面戦争前夜でも起きない異例中の異例で、今回の野田親書以外に先例がほとんどない。
その後は、前代未聞の異常事態(珍事)が連続して発生する。
韓国大使館が『親書の返還』を連絡しても前例がないと拒否する。外務省に参事官が親書を持参しても『事前に予約がない』と建物に入ることさえ拒否する大人気ない態度。親書はその後郵便書留で日本外務省に送られるが丸っきり子供の喧嘩である。

『自力解決出来ない日本の政治力の限界』

22日の毎日新聞に元外務省分析官佐藤優が『二重基準のそしり回避を』と題して、日本が国際司法裁判所(ICJ)提訴で竹島問題の国際化しようとするのは、ブーメランのように尖閣問題で中国につけ入られるリスクが生まれると指摘している。
自分に都合が良いように世界を解釈、部分だけで全体を見ない国際感覚が欠如した今の野田佳彦や外務省とは違い、本筋の真っ当な見解である。
ICJへの共同提案を飲まない韓国を非難出来るなら、世界から見れば日本が尖閣でも同じことを提案しないと自家撞着、ダブルスタンダード。
欧州のような地続きなら終戦後の速やかな国境線の確定作業は安全保障の最大の要素で何よりも大事である。
日本のように国境線を曖昧にしたままで居られるのは、島国であるから出来る贅沢ですね。
アルザス・ロレーヌ地方やプロイセンなど大きく領土を削られた同じ敗戦国のドイツはオーデル・ナイセ線等の国境を42年も前に承認、確定させる。
戦後67年も経っても未だに境界線の確定が出来ない日本は、今後政治的に解決するどころか、野田佳彦のように隣国と子供の喧嘩を起こして余計に揉めるか、今までのように『先送り』する程度である。
日本の政治家が自分自身で解決出来ないなら、竹島も尖閣も北方領土も、全部まとめて国際司法裁判所に提訴して第三者に判断を仰ぐしか上手く解決する方法はないでしょう。

『当事国同士の話し合い解決が本筋』

原則的に隣国との揉め事は当事国同士の話し合いが基本であり、国際司法裁判所(ICJ)での解決は『次善の策』である。
ましてや今回の野田佳彦のような当事国同士の『話し合い』を省略して、いきなり国際司法裁判所(ICJ)へ持ち込むのは隣国との領土紛争では邪道中の邪道で、今回のICJ提訴は解決を目指したものでない。
『国際的なアピール』が目的で、日本政府は、世界に向かって『竹島』という『領土紛争があるぞ!』と言いたい。
日本のICJ提訴の趣旨は、香港活動家の尖閣強行上陸の大人気ないパフォーマンスと同じである。
唯一の違いは、日本は一番権威や責任がある日本政府の公式の方針で、香港の方は権威もないし責任も無い個人の自己顕示欲の跳ね上がり。
心底情けない。
両方とも『解決する』ための行為ではなくてその逆。わざと騒動(領土紛争)を起こそうと努力しているのですから、何とも困った話です。
玄葉外相が、『韓国が不法占拠している竹島』との表現を今回復活させたが、これも全く同じ趣旨で『解決する』ためではなく逆。無責任に相手を怒らせて紛争をエスカレートさせている。
決して冷静な話し合いを欲しているものの態度ではない。
外交では、『一人勝ち』は出来ないし、たとえ出来たとしても決してすべきでない。
自分が利益を得たければ、相手にも何らかの利益を与え双方のバランスをとらないと駄目なのです。
外交交渉で礼儀が大事である理由は、自分が何らかの実利を得る為には必ず相手にも名誉とか面子など名目的な利益を与えてバランスをとる必要があるからで、『不法占拠』などという倹飩な言葉で、相手の面子を潰すなど最悪である。
解決を目指す提訴なら、日本が実行支配している尖閣の方が先でしょう。
竹島とは違い尖閣問題では日本が提訴して、もしも中国側が提訴に応じなければ『領土紛争はない』との日本側の今までの言い分が正しいと世界に向かって証明(アピール)出来る。
佐藤優は『竹島を提訴して尖閣を提訴しないのはダブルスタンダード』と言っているが、これは間違いか勘違い。
順番が違う。
まず日本としては尖閣をICJに提訴して実績を作り、その後に竹島とか北方領土も同じ手法での解決を図るべきでしょう。
当時者同士の『話し合い解決』が基本なのは間違いないのですが、歯舞色丹の二島返還で合意した鳩山一郎首相を例外に日本には政治解決出来る(目指した)政治家が一人もいない。
国際司法裁判所(ICJ)のような第三者に解決を委ねるなど邪道なのだが、それ以外は多分無理で、今の政治家に解決を期待するのは無いものねだりである。
67年間も無理だったのですから今後100年待っても余計に悪くなるだけで解決は無理ですね。

『竹島騒動の本当の震源地は米軍』

大統領の初めての竹島上陸や天皇の戦争責任発言の原因ですが、自衛隊と韓国軍が軍事物資や情報を共有する協定の締結寸前に野党側に発覚し大騒動に発展、批准日時が決まっていた協定は無期延期で責任者は引責辞任する。
日韓軍事協定はマレン第17代統合参謀本部議長が推進したが発覚すれば必ず韓国では大問題となる危険な代物。
基本的に無茶苦茶なのです。
窮地に陥った李明博大統領としては、竹島上陸や天皇謝罪発言で『反日』を演出して自分に愛国心があるところを国内にアピールする何とも致し方ない必要性があった。
日本としては何とも迷惑な話である。
ところが今回の竹島騒動で一番肝心な『火付け役の米軍』を日本の報道機関が伝えない。
なるべく『人々が気がつかによう』に隠しているとしか思えない。
対米従属が国是の日本は今回の日韓竹島騒動の原因が『アメリカの軍事方針に根本的な問題点があった』とは、事実であればあるほど、不都合すぎるので絶対に認めたくない。
福島第一原発事故の原因は天災ではなく、東電や保安院が自分達に都合の良い情報だけを信じて、悪い方を無視した為に起きた典型的な人災です。
味方の敗走を知らせた兵士を処刑するようでは、近い将来の敗戦は確実である。
危機管理とか安全保障で一刻を争うのは『悪い情報』の方で、一番大事に思える『良い情報』はいくら時間がかかろうと何の問題も起きない。
ところが今の政府とかマスコミは竹島や尖閣など外交問題で日本の皆んなが喜ぶ情報だけを出して、不利な方はなるべく出さない。
これは危機管理の鉄則の正反対ですよ。
これではますます騒動が拡大して当然でしょう。
日本は竹島は純粋な領土問題ですが、韓国は歴史問題と関連付けて捉えている。
これに関しては8月15日にネオコンに近いアーミテージなどアメリカの超党派の提言で、『日本は歴史問題と向き合え』と言っている。
例によって産経など右翼マスコミはアーミーテージ提言の都合の良い部分だけを摘み食いして『中国の軍事力増強』だけを強調、『日本の歴史問題』は完全無視する。
アーミテージの『日本の歴史問題』の具体的な中身とは従軍慰安婦など日本の戦争犯罪ですよ。(従軍慰安婦自体が、韓国ではなくてアメリカが震源地である可能性が高い)
李明博大統領や韓国が今回えらく強気なのもバックにアメリカが付いている(勝てる)と信じているからでしょう。

『何人も尖閣に上陸させない』

日本が実効支配する尖閣の不思議『何人も上陸させない』ですが、竹島や北方領土でもよく似た同様な方針なのです。
北方領土は旧島民の墓参などビザなし渡航は認めるが、正式なビザを取得しての渡航は原則禁止している。
『相手国の実効支配を認めることになる』と説明するが、論理が一見合っているようで全く世界基準と合っていない。
国境付近の領土紛争は世界中にあり戦闘で危険な地域を除き普通は日本とは逆に自国民の上陸や居住を奨励する。
理由は相手国が実効支配する紛争地でも長い時間をかけて自国民の居住の方が圧倒的な多数派になれば有利になり覆すことが可能になるからで、日本は長年世界標準の方針の正反対を行っている。
不思議の理由(原因)は日本は表向きの『取り戻す』は建前であり本音では無いのではないか。
安倍晋三が拉致問題で頭角をあらわし次期首相になる小泉時代に、暗黙の了解事項だった尖閣諸島への日本人上陸禁止の方針が公式な政府通達へより厳格化され、今では例え研究者でも上陸が出来ない。
戦後レジームからの脱却の安倍晋三が6年前の2006年から言い始めた『韓国やロシアが不法占拠している』との日本政府の外交慣例を無視した非常識な超強硬発言も同じで、一見強気に見えるが、実質は地道に『取り戻す』との考えが無くなった(諦めた)からである。
今の日本政府の隣国にたいする『不法占拠』発言ですが通常は交戦国に対して使うか、国交断然を念頭に置いて使用する『最後の言葉』である。
日本政府やマスコミのように安易に使うべきではないが今無頓着に常用しているのですから何とも摩訶不思議な話である。

『外交権が無かった朝鮮、中国、日本の悲劇』

歴史問題として見れば尖閣、竹島、北方領土は良く似た同じ次元の話である。
野田佳彦首相は24日の記者会見で『竹島は歴史認識の文脈で論じるべき問題ではない』と語るが不見識の極み。
歴史が分からないか『理解しようとしない』態度では何が一番問題であり相手が何を怒っているかが分からない。これでは解決のしようがない。
北方領土は日本が第二次世界大戦敗北で軍事占領され外交権が無かった時代に千島放棄を無理やり飲まされた歴史問題である。
同じことが竹島にも尖閣にも当てはまる。
境界線が不明確だった尖閣諸島が1895年に日本に編入されるのは日清戦争の敗北で中国が半植民地化される過程で起き、外交権が行使できる条件が無かった。
同じく不明確だった竹島が島根県に編入される1905年は日露戦争の勝利で朝鮮が植民地化される過程で外交権を剥奪された時期に起きており外交権自体が無かった。
千島列島放棄後に独立を果たし外交権を復活させた日本は失われた千島列島(北方領土)返還の主張を行いだして現在に至っている。
日本の北方領土返還要求が歴史的に正当であるならば、世界から見れば自動的に竹島や尖閣に対する韓国や中国の主張も同じレベルで、『歴史的に根拠があり正当である』と判断できる。
何れも戦争と関連している歴史問題であり、何れも一方の当事者が外交権を失っていた。

『全ての隣国と紛争を抱える「全方位紛争」の日本外交』

今後の解決策ですが世界基準の『明確に分ける』ではなくて、政治問題(国境線)を棚上げして経済優先で共同開発など日本的な『分けない』ファジーな状態にする(昔に戻す)のが双方が満足する唯一の方法だろう。
無人島の竹島や尖閣どころか辺境地域ではあるが日本人住民が沢山住んでいる対馬や琉球などを徳川幕府の承認のもと、日本と朝鮮、中国とファジーな両属関係において経済を維持、発展させ双方の関係者全員が満足して、長いあいだ隣国と平和な関係を維持して来た。
厳格に『分ける』世界基準を明治の新政府が採用した結果が、今起きている竹島や尖閣の領土紛争の原因であり、経済にまで波及して悪い影響を与えている。
『分ける』だけが解決策ではない。
今までは『分ける』事が基本だった欧州では、独仏両国の境界線にあり石炭や鉄鋼の産地のアルザス・ロレーヌ地方をめぐり何回も領有権争いで戦争を繰り返していたが、第二次世界大戦後にはヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)を作りヨーロッパ経済共同体(EEC)から、その後今のEUが出来上がる。
ドイツ系のアルザス人が住むアルザス・ロレーヌはフランス領となるが、中心都市のストラスブールは以後EEC欧州議会や欧州人権裁判所など主要な機関が設置され欧州統合の象徴的な地域となっている。
世界大戦を二度も引き起こした欧州は、今までの常識だった(自分だけ良い)『分ける』ではなくて(日本国が150年前まで行っていた)ファジーな『分けない』方が(自分自身を含め)全員のためには良いとやっと気がついたのでしょう。
今回の竹島や尖閣など日本を巡る隣国との騒動の勃発では、周辺国すべてと紛争を起こしている日本国の異常に、ファイナンシャル・タイムズやニューヨーク・タイムズなど世界中のマスコミの関心が集まっている。
珍しすぎるのです。
世界に『全方位外交』はあっても、日本のように遠い太平洋の彼方のアメリカだけと同盟して近い隣国全て争う『全方位紛争』は世界に例がない。
不思議な『全方位紛争』ですが、そもそも日本国は対米従属を国是としていて『外交』をアメリカに丸投げして済ましている。
世界に例がない日本の『全方位紛争』は外務官僚程度が決めれるレベルではない。
何故か国策となっている『全方位紛争』の存在理由とは何か。
日本が隣国と仲良くなる分だけアメリカに対する依存度が低下するので、今の方が米国の国益に叶うのである。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 尖閣、竹島、北方領土 67... | トップ | 再燃する従軍慰安婦問題 ア... »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ちょっとお調べ賜度 (ましま)
2012-08-25 14:08:32
尖閣棚上げは小平が言っている。棚上げ論は日本より中国に有利に働きました。

吉田全権はサンフランシスコの講和条約でソ連が参加しなかったことにより4島が解決しなかったことを指摘、遺憾の意を示す受諾演説をしたと記憶していますが。
返信する
「決められない」日本を誘導するアメリカ (宗純)
2012-08-25 16:42:17
ましまさん、コメント有り難う御座います。

『尖閣棚上げは日本より中国に有利に働いた』のは事実ですが、これは尖閣を実効支配する日本政府が同じように竹島を実行支配する韓国政府のようには『専有を強化する努力』を怠ていたからですよ。
韓国ですが、尖閣と同じように日韓交渉時に『棚上げ』されていた『竹島』の実効支配を少しずつ少しずつ大騒動に発展しないように地道に強めていったのです。
ところが、逆に日本政府の方は、実効支配を強めるどころかその反対。
忠実に忠実に『棚上げ』を実行した。
『尖閣の棚上げ』の方針を、最初の暗黙の了解事項から政府通達に格上げして、原則にしてしまったのですから、ますます曖昧にファジーになる(実効支配していない中国には有利)のは致し方ない成り行きです。
この政府方針ですが摩訶不思議で、国際基準の正反対ですね。
この不思議の理由ですが、1972年の日中国交回復時の総理はあの豪腕の田中角栄ですが、彼はロッキード社の副社長の超法規的な司法取引(免責)のコーチャン証言で逮捕され失脚している。
そもそも逮捕理由の民間航空の機種選定は首相の職務権限ではないので、賄賂の認定は無理筋です。
田中角栄ですがブレジネフとの日ソ首脳会談でも北方領土返還で買取用の札束を用意した位ですから、尖閣問題でも同じ態度だったはずです。
北方領土は無理でも、当時の日中の経済格差や誰も住めない絶海の無人島である尖閣諸島の重要度の低さを考えれば、田中角栄流の強引な手法が成功していた可能性が高いのですよ。
決めれる政治家はアメリカにとっては危険分子です。何とかして排除したい。
ロッキード事件で田中角栄が失脚していなければ多分今のような尖閣棚上げ論は出てこなかった。
これは政治資金収支報告書の記載ミスで目の前にあった首相の椅子を失した小沢一郎や、普天間で失脚した鳩山由紀夫と同じ手法であり、典型的な『決められない日本』の見本です。
鳩山一郎首相がソ連と歯舞色丹返還合意での平和条約締結に対しては『4島一括返還でないと日本に沖縄を返さない』と強く圧力をかけて断念させたのもアメリカである。
日本が隣国と仲良くなると、その分アメリカに対する依存度が低下するので、今のように『棚上げ』で紛争の種を残しておく方が米国の国益に叶うのです。
返信する
吉田茂全権の千島放棄の受諾演説 (宗純)
2012-08-29 10:50:54
『吉田全権はサンフランシスコの講和条約でソ連が参加しなかったことにより4島が解決しなかったことを指摘、遺憾の意を示す受諾演説』ですが、この問題は外交問題として見ればは簡単明瞭です。
争いの余地がまったくない。
吉田茂全権は、南千島の国後択捉は正当な日本領だったことを演説で説明している。
ところが、日本は全千島列島の放棄も(渋々)受諾するとも、同時に言っているのですよ。
ですから千島列島の領有権争いでは、日本側には勝ち目がないのです。
それで仕方なく地名抜きの『北方領土』の返還なのです。地名を言いたいのだが言えないのですよ。
南千島は千島には含まれないとの主張は、『白馬は馬にあらず』との無茶苦茶な馬鹿馬鹿しい詭弁の話なのです。真面目な外交の話ではありません。
日本は竹島を西方領土とは絶対に呼ばない。
尖閣も南西領土とは呼ばない。
必ず具体的な地名を付けるから領土紛争と言えるのですが、世界で唯一の例外が日本の北方領土。
吉田全権の受諾演説ですが、下世話な例にたとえれば、
『結婚式はみんなに祝福され結婚届けは正当であり長いあいだ生活していた。今でもか変わらぬ愛情がある』が、嫌々ながら『正式な離婚届に署名捺印した』哀れな男の話ですね。
自分が書いた離婚届を『間違いだった』とか『強制であり本心ではない』と撤回しない限り、
『あの女は昔に俺と結婚していたので、離婚した今でも自分のものだ』
と主張する未練たらしい、諦めきれない情けない話です。
卑怯未練で感傷的なだけで、主張に一貫性も整合性もないので、これでは誰もまともに相手にしないでしょう。
囲碁や将棋では、いくら名人の最善手でも手順前後では絶対に勝てませんが、日本の場合には手順前後どころか、まるっきり正当な手順(千島放棄条項の破棄)を踏んでいないのです。
これでは絶対に勝てません。
返信する

コメントを投稿

軍事、外交」カテゴリの最新記事