続・タグさんの風雪

あっこんなところに・・
という感じであちこちに生存の痕跡を残そうという儚い試みです。

苦戦

2010-06-04 22:53:40 | 日記

軽作業という派遣の仕事にも大学生の応募が殺到し始めているようで、元より勝ち目の無い競争に晒されています。



経理の管理会計、労務管理というのが専門分野と心得ているのですが求人には出くわしません。どの企業、組織にもそれと思しき重鎮が張り付いていて、まれに空席が出ても内部調達で用が足りてるのでしょう。



そりゃその方が組織は平和で安泰なのは確かですからね。



経理事務という職層の募集は結構多いのですが、求めているのは全て若き女性のようで、年配の男性が納まるのはとても無理なようです。企業組織の近代化が進んでいるとは言え、殆どの職場は役職と年齢がリンクする昔ながらの企業風景を維持しようとしているように映ります。



会計事務所や税理士事務所の求人も多く、いくつか当たってみたのですが、所員一名というのまであって、これは五科目合格の事務所開設組のようです。念願叶って独立を果たした若き税理士が何を夢見ているかは、電話をして「応募の件で・・」と言った瞬間に分かります。落胆した顔が電話の声色から読み取れます。



そう、世の中はそんなに甘くはない。



美人でテキパキと仕事をこなす若い女性は、所長と二人きりになってしまう小さな事務所で働きたいとは思わないものなのです。



どこかで手を打つのでしょうが、爺いのところまで譲歩するのは余程のこと以外にはないでしょうね。



勉強しながら別のことも頑張った人には最初からちゃんと女子事務員がいるのだが、これはこれで仕事に不向きな程ケバかったり、態度が妙に横柄だったりするから面白いね。



「ワード、エクセル堪能な方」と言うのが一種のキーワードになっているようで、実際に使えるかどうかはあまり重要なことではなく、年寄りではなく若いのが欲しいという隠語のようです。



年寄りの応募除けの護摩符のようなものだ。時々私のような「何でも出来ますよ」と平然と言ってのける年寄りが現れるから、万能札というわけにはいかないがそれなりに効果はあるのだろう。



それと大見出しのように「女性の方も大勢活躍中」とかあるのも、うちは女子しか採らないですよという意思表示になっているようです。



これも男女雇用機会均等法施行の副作用なんでしょうね。



応募する方もその辺をよく読み取って当たらないと無駄なカラ打ちをしてしまうようです。










経営者の孤独

2010-06-04 05:30:45 | 日記

経営者は孤独とはよく言われる言葉だ。



その前に人は皆孤独な存在ではあるのだが、経営者の孤独は経営という仕事に伴うものであるがゆえに尚更のように喧伝されることになるのだろう。



組織や事業体は拡大と成長の手段として発明され存在しているわけだから、その指揮官たる経営者は拡大成長の権化として振る舞い続けねばならないのは当然で、それが経営者の仕事の一つでもあるのだ。



もし会社や事業の業績が芳しくなくなって、やめてしまう決心をしてもそのことを誰にも悟られてはならないから、多くの場合そういう状態に陥って始めて経営者の孤独を味わうことになる。



大変だと騒ぎ立ててもうやめるかもしれないなどと漏らしたら、その瞬間にその人は経営者でなくなりただの人になる。



ただの人だからその人の孤独は経営者の孤独とは言わない。



周りに共感と同意を求めてそれが通じず、また違う意味の孤独を噛み締めることになるのだが、それはどちらかと言うと人としての孤独に近い。



経営者の孤独とはその人が経営者として存在した証のようなもので勲章とも言えるものだ。



売り上げが低調でも儲け損なったと怒ることはあっても、もうやっていけないと嘆いてしまったら、回りの人間はその人を経営者と見なさなくなり離れていく。



経営者の下にいる人々は生活の手段としてそこに居るのであり、生存を託すことができないと悟ると、夫々が夫々の利益を温存して生き残ることを考えて行動するようになる。



昔の王様なら、俺が死んだらお前達も死ぬんだぞと脅しながら統制することもできたが、会社ではそうはいかない皆自分の意思で自由に行動することができる。



従業員に組織の将来がないと思わせてしまったら、彼等が自分の意思で行う生きていくための行為は正義ということになり、経営者が組織の成長と拡大を追及している場合に、それは謀反であり悪となる。



収穫の可能性があるから鍬をいれることができるのであり、もし台風や津波の来ることがわかっていれば、耕して種を蒔く労働は愚かな行為になるのだ。



だから経営者はその日が来るまで、成長と拡大を信じる経営者を演じ続けなければならない。



「閉めること」が大きくすることの百倍難しいというのは、自分自身のメンタルの管理も含めてこの作業が生優しいものではないからだ。



所属員の殆どが明日は無いと考えるようになってしまったらもう組織は機能しない。盗賊の集まりのようになってしまうから衰退に拍車がかかる。



経営者自らが自分で自分の首を絞めていることが多いだが、そのことに気付いている経営者は少ない。経営者自身が早く潰してそこから逃げ去ってしまいたいのだろうが、経営者には逃げる場所はないのだ。



閉めてやめることを前提にした経営を上手くやり抜くには、人知を超越した狡猾さと、道を誤らない人徳や強い意志が必要になる。



一番の苦難は、それをやり遂げても誰も上手く閉めたと称えてくれず敗者の烙印を捺そうとすることだ。



経営者の孤独に割って入り手を貸すことなど誰にも出来ぬことなのだが・・