福富ストラット

「記者ときどき農夫」。広島の山里で子ども向け体験農園づくりにいそしむ、アラフォー新聞記者のブログ。

ダンディー社長のつぶやき

2019-09-24 07:00:34 | 日記
 「理想を追ってお金を儲けてるんじゃないんです。金を儲けてるから理想を追えるんですよ」。東広島市内のある社長さんは、日焼けした男前の顔でさらりと言った。隊員の勝手な所用でのアポなしの職場突撃も、ごく自然に受け入れてくれた。「私の事業だって、世間がイメージしてくれてる〇〇の方をやり続けられるのは、▽▽の方でお金が入っているから。それで〇〇の出費をまかなっているんだから」。ダンディシャチョーさんは終始、クールかつ正直に語り続けた。「企業秘密」的な要素も多かったので、内容はさておこう。
 隊員はちょうど先日、「金を稼ぐ柱」について、それぞれ働き方の違う友人たちと一緒にあれこれ考えたとこだった。会社勤め、会社経営、個人事業、投資―。稼ぎ方はいろいろあるけど、日本は会社員になること、会社員として働くのがとっても「やりやすい」社会だよな、というとこでは一致した。税金、保険料、諸契約、社会的信用。どれも会社員という立場、お墨付きが絶大に有利に働く。
 「会社員の人こそ、もっと思い切り会社の仕事でチャレンジしていいと思うんですよ。よほどのことがないとクビにならないんだから。僕は従業員がいるから失敗できない」。シャチョーの年齢を聞くと、隊員よりだいぶ年上だ。「え。若く見えますね!」。お世辞抜きで思わず言うと、「やりたいようにやってるから、生きる上での妙なストレスはないかな。ま、商売上の苦労は尽きないんですけど」とキリリと答えた。

福富マップ 締め切り迫る

2019-09-23 08:02:40 | 日記
 広島市内で活動する漫画家の「卵」さんの自宅兼アトリエを訪ねた。協力してもらっている福富のガイドマップの制作作業を、一緒に一気に進めてしまおうということになったのだ。
 自宅兼アトリエは、閑静な住宅街の中にあった。漫画家さんが事前に「クーラー壊れているんで、すみません!」と言っていたので、「いや、もう寒いじゃろ」と思っていたが、さすが広島市内。福富より数度は気温が高い。アトリエまで歩いてくる間に汗だくになっていた。
 玄関で出迎えてくれたご家族へのあいさつもそこそこに、扇風機がぐわんぐわんと回る部屋でガヤガヤと作業を始める。デザインの微修正、色の調整、店の配置、文字情報の更新。YouTubeで好きなアーティストの最新音楽を流しながら、「あーでもない、こーでもない」と作業する。やはり細かいところは一緒に作業できると早いし、アイデアも広がって楽しい。音楽は途中からなぜか、杏里、渡辺美里、ZIGGYなど80~90年代J-POPがループし始めた。「へ?誰ですか、これ」。一世代年下の漫画家さんが不思議そうに笑う。
 想定していた段階まで、なんとか終えて「よし!」。2人とも汗だくだくだ。漫画家さんのおかげで、とっても楽しい感じのマップに仕上がりそうだ。感謝! 隊員の残りの作業を急がねば。
 アトリエを後にして、台風が近づくタダナラヌ真っ暗な空の下、歩いて帰路につく。車の離合も難しいぐらいの細路地。小さな古い戸建て住宅が肩を寄せ合って並び、昔ながらの銭湯や個人商店がぽつりぽつりと現れる。初めて歩く街だったが、どこかなつかしさがわいてくる。ぐるぐると遠回りしてわざと迷子になりながら、細路地を抜けだした。おい、作業を急げって。

小さなライブ

2019-09-21 23:26:31 | 日記
  デスクワーク、町へ薬の調達、畑仕事、自治会の会合、お隣さんちで夕食―。我ながら何をしてるんだかよく分からない土曜日の締めくくりは、気持ちいい音楽で心身ともに弛緩した。アフリカの民族楽器「コラ」奏者のライブが今夜、福富のお寺であったのだ。
コラは、瓜の実に羊(ヤギだったっけ)の皮を張ったボディに弦が21本並ぶ。「ひょうたんハープ」とも呼ばれるそうだ。奏者の川岸宏吉さんは関東を拠点に、全国をツアーで巡っている。
 「アフリカ音楽は激しい打楽器を乱打」。隊員は、そんなきっぱりと乏しいイメージしか持っていなかったが、コラはポロロンポロロンと極めてやわらかい音色だった。川岸さんのオリジナル曲やビートルズのカバー、地元の「歌姫」小学生とのセッションなど、2時間ほどの気持ちいいステージだった。
こんな山あいのお寺で上質の音楽が聴けるとはぜいたくだなぁ。でも、ここまで来てくれるんだからすごいなぁ…。
 なんて一人で感心していたら、学生時代にモンゴルで知り合った日本人の馬頭琴奏者がふと頭に浮かんだ。首都ウランバートルのドミトリーで彼が練習していた馬頭琴の音色に惹かれ、「僕も弾きたい」と突如やけくそ気味に直訴。数日一緒に過ごすうち、モンゴル人師匠のレッスンに同伴させてもらえることになり、マイ馬頭琴もゲットさせてもらった。帰国後は、彼がよく弾いていた高田渡の「生活の柄」を必死で練習した。

🎵歩き疲れては夜空と陸との
隙間にもぐり込んで
草に埋もれては寝たのです
所かまわず寝たのです
(「生活の柄」)

 隊員の馬頭琴はすっかりインテリアとしての地位を確立しているが、彼は高知を拠点に今も、全国の気分のいいカフェなどで馬頭琴とホーミー(2つの音程を同時に発声するモンゴル伝統歌唱法)のライブを続けている。数年前、広島市内のライブを聴きにいき、十数年ぶりに再会した。モンゴルの宿で出会ったときと変わらず、風のような雰囲気でかっこよかった。福富で彼の演奏を聴きたいな。


輪廻

2019-09-20 21:11:52 | 日記
 その昔、私が若かったころの話なんだけどね―。そんな問わず語りの映画のワンシーンが始まりそうな、やわらかく落ち着いた空間だった。
 福富町のはずれにある洋食屋さんを訪ねた。いま、知り合いの漫画家の卵さんや同僚隊員とひっそり、かつ猛ダッシュで制作中の「福富ガイドマップ」の取材のためだ。店の目印は、道沿いに立つ小さな小さな看板だけ。「ほんとに、やってるのかな」。半信半疑で駐車場に車を止めると、木々に囲まれたこじんまりとしたお店があった。

 扉を開けると、うっすらとドミグラスソースの香り。窓ガラスの向こうに、野趣あふれる庭が広がっている。テーブルには、食べ終えたばかりな様子の焼き皿が二つ。「ごっ、ごめんくださぁぁい」。夏風邪に喉をやられている隊員が声を絞り出してみると、厨房から「はぁい」と女性の上品な声がした。

 声にふさわしい上品な身のこなしの女性は、店のオーナーであり、シェフであり、ウエイトレスだ。訪問の趣旨を告げると、「まあ、お座りになって話しませんか」と洗い物の手を休め、大きな甘いブドウを出してくれた。
 国内外を目まぐるしく引っ越しながら生きてきたこと。偶然が重なり、60歳を過ぎてから店を始めたこと。ホールだけを担当していたが、見様見真似でシェフにトライしたこと。好きで通ってくれる人たちが、お店の手伝いや飾りつけをしてくれること。有名な某音楽家が毎年、店でコンサートをしてくれるようになったこと。店の行く末で考えていること…。ひとつひとつのエピソードを愛おしむように、ゆっくりと話してくれた。

 ジブリアニメ「魔女の宅急便」に出てくる、孫にニシンのパイを焼くおばあさん。貧しく楽しいイタリアでの青春時代を振り返る作家・須賀敦子さん。そんなイメージが勝手に膨らむ。
 とにかく、時間も世間も立ち入れないような、ほっとする空間だった。ここ数日、体調を崩した上に気ぜわしい時間が続いていたので、いっそう落ち着くひとときだったな。今度は、ゆっくり食事にこよう。

動画ミーティング

2019-09-19 00:56:57 | 日記
 大阪でテレビカメラマンとして働く友人が、福富のわが家にやってきた。「動画を使って一緒に何か楽しいことができないか」というSNS上の「思いつき」で盛り上がり、「ならば視察に」という運びになったのだ。うーん、勢い勝負。
 到着が夕方だったため、町内の案内はささっと終了。同じく「何か楽しいことしたい」と息巻くもう一人の友人も新幹線駅に出迎え、わが家でのミーティングへとなだれ込んだ。3人で会うのは、ひょっとすると大学時代以来かもしれない。今考えていること、仕事の先行き、生活の将来像、ならば明日から何ができるか。それぞれ熱く、軽く語り合った。不覚にも隊員は喉風邪を引き、ほとんど声が出ない状態だったが!
 さすがプロのテレビカメラマン。「見られるコンテンツ」「映える映像」の理論&アイデアが豊富だ。勉強になります!
 何事もいつもぶち当たるのは、アイデアの収れん。3人とも別々の地で働きながらのトライでもある。まあ、楽天家の3人は「どう転んでいくか分からんけど、やってみよっか」に落ち着いた。YouTubeチャンネルも勢いで開設(コンテンツ未作成だけど!)。詳しいことはさておき、「地球となかよく暮らす」をキーワードにとりあえず3人で動き出してみることにした。アナログ文字&静止画で生きのびてきた隊員の行く末は!?