例えば不登校。「不登校の子どもを支える」視点とは別に、「新たな不登校を生まない」「不登校傾向を深刻化させない」ための教育のあり方を考えるというものだそうだ。
「日本の『不登校対策』って、もっぱら最後の1割の子たちをサポートすることで成り立ってきた。もちろんそれは不可欠。でも、真ん中の6割の子どもたちに寄り添う視点が抜け落ちています」。男性は説いた。
男性は、自身がこれからやりたいことを熱く語ってくれた後、「子ども農園」構想へのアドバイスもくれた。農作業だけでなく、遊びや料理、講座などの「プラスアルファ」が効果的なこと。農園までの交通手段のサポート。地元の協力者へのフィードバックが持続的活動につながること―。
スクールが入る一軒家の2階で話を終えた後、1階にある教室も見学させてもらった。子どもたち4人がそれぞれ、問題集を解いたりパソコンと向き合ったりしていた。中学生の男の子は「勉強、苦手なんです」と大声で言い切り、戦国時代の武将や三国志のうんちくを生き生きと語る。いきなりたまげたが、隊員も元戦国オタク。大人げなく張り合う。
歴史ネタから芸能ネタまで、話題豊富な男子生徒。ただ、表情はどこか落ち着かない。「体でかいね。何かスポーツやってんの?」と聞くと「やってません。あ、不登校っていう活動はしてますけど」といたずらっぽく笑った。
温かく迎えてくれたスクールを辞した後、市内で不登校の子の学習支援をしている元教諭やスクールソーシャルワーカーたちのミーティングにもお邪魔した。事前の感触から、「カタイ場になるかな」と思っていたが、なんのなんの。人生経験豊富な方々の自由奔放な意見を浴びた。現場の声はひたすら勉強になる。