
むかしから、「ネコは死ぬときには姿をかくす」とよくいわれます。
昔はネコは外飼いがふつうで、家に閉じ込めておくことはなく、自由に家の内外を行き来していました。それと、昔の日本家屋には縁の下があり、そこにネコは自由に出入りしていました。
ところが、ネコが急に具合が悪くなったとき、ネコは本能で、人目に付かない、できるだけ敵に見つからない安全な場所に隠れます。当時は、縁の下がそのような場所だったわけです。
ネコ死期を察して身を隠すようなことはしません。具合が悪いので安全な場所でじっとして、治そうとするわけです。ところが、病状が重く、治るどころかどんどん悪くなり、そのまま死んでしまう事が多かったのです。
ネコが死ぬのを悟って身を隠したのではなく、具合悪く、じっとしていれば治ると思って身を隠して、そのまま死んでしまったのです。
今は、外に出さない家飼いのネコが圧倒的に多く、死ぬときも飼い主に看取られて死ぬので、このような言い伝えは死語になってしまいました。