年ごとに重みいよいよ増してゆくそのかみに母呟きしこと 丹人
としごとに おもみいよいよ ましてゆく そのかみにはは つぶやきしこと
しんぼうする木に花が咲く
書:あかひと
印:「文男之印」
(大古翠鳳氏刻)
ちいさい母のうた
サトウハチロー
ちいさい ちいさい人でした
ほんとに ちいさい母でした
それより ちいさいボクでした
おっぱいのんでるボクでした
・・・
・・・
きれいな声の人でした
よく歌をうたう 母でした
まねしてうたう ボクでした
片言まじりの ボクでした
・・・
・・・
毎晩祈る人でした
静かに つぶやく母でした
寝たふりしているボクでした
なんだか悲しい ボクでした
・・・
・・・
夜なべをしている人でした
よくつぎをあててる母でした
ときどきのぞく ボクでした
よくにらまれる ボクでした
・・・
・・・
・・・
ああ
思い出の中
その中で
こっちをむいている ちいさい人
ちいさい母
ああ 思い出の中
その中で
なお甘えている ちいさいボク
ちいさいボク
ちいさい
ちいさい
むかしの
むかしの
むかしのボク
ちいさい・・・・・・ボク
ちいさい・・・・・・むかしのボク
山並みもいで湯も海も何ならん母ありて帰るふるさとの家
やまなみも いでゆもうみも なにならん ははありてかへる ふるさとのいえ
みづうみもいで湯も我に何ならん母ありて帰るふるさとの家 四賀光子
山並みもいで湯も海も何ならん母待つ家にしくものぞなき 丹人
*画像:1956.12 撮影
*書:2009.2.28