デッサンが楽しい♪ ~紙と木炭と時々色で遊ぶ ~ 神戸

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絵具の退色について(5)

2012-08-17 | 画材の話

久し振りに絵具の退色実験の続きです。

前回は1年程前 → こちら

半年程だと色の変化がはっきりとわからない事と

丁度その頃、私自身が忙しくて実験の最終報告ができませんでした。

では、透明水彩絵具から

201277suisai

スタートが2010年7月、右から2年、1年半、1年の変化です。

2年間光が当っていた赤系の色ははっきり退色がわかります。

ウインザーレッドは薄いピンクに、クリムソンはベージュになっています。

それに比べるとその上のカドミウムレッドは変化が少なく若干薄く感じる程度です。

プルシャンブルーもよく見ると2012/7に境目があるようですが

階段状の色の変化は無く、ある程度退色するとそれ以上は変化が少ないようです。

その他の色は特に退色は感じられません。

結構、堅牢な絵具のようです。

*** では、次はアクリル絵具です、

201277

こちらのスタートは2011年2月、左から1年半、半年の経過です。

色の変化がはっきりわかるのはオレンジイエロー、明らかに薄くなっています。

画面ではわかり難いかも知れませんが、

それぞれの境目(青い◆のところ)がくっきりしています。

カドミウムイエローライトも微妙に色が明るくなっている感じです。

前回も書きましたがカドミウム系の色は堅牢だと思っていたので意外です。

退色し易いオレンジ系の色が僅かに入っているのでしょうか?

他の色は、どう目を凝らしてみても変化はありません。

透明水彩絵具で退色が激しかった赤系の色も変化は見られません。

顔料に違いがあるのでしょうか?

それともアクリル樹脂の影響があるのでしょうか?

***

実験場所は南向きのベランダのサッシ、

直射日光が当たる事はありませんが、夏はベランダの照り返しもあります。

アクリル絵具の方はイラストボード、水彩絵具の方は水彩紙です。

どちらの紙も日焼けはありませんでした。

安価なお絵かき帳などは閉じて置いていても、端から茶色くなるので

値段はウソをつかないという事なのかと思いました。

これで退色実験は終わります。

このような事をしなくてもホルベインさんは色の堅牢度を書いた本を出していますので

今後、必要な時はそれを参考にしたいと思います。


絵の具の退色について(4)

2011-09-22 | 画材の話

1年ほど前から始めた絵の具の退色実験の経過報告の4回目です。

前回1月のブログ→こちら

<実験環境>

色を塗って一部を覆ったパネルを南に面したベランダに向けて吊しています。

ガラス越しに反射光が当たります。

アクリル絵の具(ホルベイン・ゴールデン・リキテックス)と

透明水彩絵の具(ウィンザー&ニュートン)の2種類で作成

Taishoku1n_2 ●透明水彩絵の具

画像でもわかりますが、ウィンザーレッド(上から5段目)、

クリムソン(上から6段目)にはっきりと退色が見られます。

カドミウムレッド(上から4段目)、プルシアンブルー(上から11段目)

にも薄っすらと変化があるように見えます。

ウィンザーレッド、クリムソンは2段階の変化があり、日を追って退色が進む事がわかります。

カドミウムレッドも肉眼ではうっすらその様な変化があるようです。

プルシアンブルーはその様な階調は見られません、

ある程度退色するとそれ以上の退色はあまり無いか、かなりゆっくりなのでしょう。

Taishoku2a  ●アクリル絵の具(殆どホルベイン社のアクリラ)

これは1年前に作成したものは色ムラがあって、変化がわかり難かったので

2月初旬に作り直しました。

透明水彩は水彩紙を使っていますが、

こちらはイラストボードに色を塗り3分の2ほどを覆ってありました。

さて、半年を経過して、画像でわかるでしょうか?

オレンジイエロー(上から3つ目、アクリラガッシュ)に境目があります。

堅牢だと思っていたカドミウムイエローライトに僅かな変化があるように見えます。

意外です。

大きな変化ではなく何となく明るい黄色になった感じです、気のせい?

うーん、気のせいじゃないような。

その他の色は変化は感じられません。

アクリルの方は半年の変化なのでもう少し様子を見てみようと思います。


絵具について

2011-02-22 | 画材の話

最近読んだ本の紹介です。

書籍紹介の一覧にも入れました、ホルベイン工業、技術部編集の

「絵具の事典」

何度か絵具の退色について実験中という記事を書いていますが

この本には、油絵具、アクリル絵具、水彩絵具、パステル、カラーインク

絵具ごとに耐光性について書かれています。

それだけではなく、歴史や定義、組成など、

絵具を自作する際に参考になる話も書かれています。

私は、さすがに絵具の自作までは考えていませんが・・・(^_^;)

それぞれの絵具の歴史や色の由来などは面白い、

例えば、私の好きな「ウルトラマリンブルー」の名前の由来、

ウルトラマリン=「海を越えて」という意味で

合成顔料のできるまでラピスラズリが使われていて、

良質のラピスラズリが採れるアフガニスタンから黒海を経て

イタリアに運ばれた事からその名前がついたそうです。

ロマンだわ~~

他にもカドミウム系の絵具は堅牢ですが、有毒なので、布や紙で拭い

筆は容器の中で洗い、その水もそのまま流さないように布などに染込ませて

捨てるようにと注意書きがあります。

私、認識が甘かったです、反省しました<(_ _)>

それぞれの組成による特徴もちょっとご紹介します。

アイボリブラックは元々は象牙を焼いたもの、今は家畜の骨を焼いた物、

その主成分のリン酸カルシウムを栄養源としてカビが発生しやすいそうです。

それは水彩でも油絵具でも同様です。

あと、絵具によって厚塗りが適しているとか薄塗りにすると本来の色が出るとか

その様なことがたくさん載っています。

とても面白いです♪(^_^)v


絵の具の退色について③

2011-01-19 | 画材の話

毎日寒い日が続きます、テレビでインフルエンザのニュースをよく聞きますが

まだこの界隈ではそれほど流行っていないようです。

先日は北側の窓の結露が凍っていました、さっぶっ(+_+)

こちらに引越してきた十数年前はよく凍っていましたのであの頃の方が寒かったのですね。

さて、昨年7月に始めた絵の具の退色実験の結果です。
7月のブログはこちら

3ヶ月前に一度見てみましたが殆ど色の変化がありませんでした。
10月のブログはこちら

さて、半年経って・・・

Img_2434_2

↑ いつも使っているニュートンの透明水彩絵の具
画像ではわかり難いと思いますが、小さく矢印をつけた
ウィンザーレッド、クリムソンにハッキリと退色がありました。

退色し易いのは「赤」でした。

3ヶ月前、プルシャンブルーだけ変化があったのですが
さらに退色が進んだ感じはせず・・・
あれ?塗った時の単なる色ムラか??
うーん(-_-;)

Img_2435

↑ これはアクリル絵の具、殆ど変化がわかりません。

水彩紙にジェッソを一回塗ってから色を塗りました。
思いっきり色ムラあり。
水彩紙って表面に結構凹凸があるんですよね、
それが絵の具をのせた時にいい味わいになるのですが・・・
こんな実験には不向きです、トホホ。
南向きの窓際に置いていたので退色が進んで
少々塗りムラがあっても色が変わればわかるかなーと
思っていたのですが・・・

はぁー(-_-;)
アクリル絵の具の方は失敗かなー

退色し易いと思っていた水彩絵の具、赤系以外は殆ど変化がない感じ。
アクリル絵の具はさらに変化が少ないとは思いますが
納得できないのでもう一度キレイに塗って作り直そうかなー
色を塗って窓際にぶら下げているだけだし。

変化がわからないという事は、アクリル絵の具はかなり堅牢な証拠でしょうか。

もうひとつわかった事。
水彩紙が日焼けして色が変わってしまうのかと思っていたら
半年位じゃ全然大丈夫です。
日に焼けて色が変わってしまうには何年もかかるんでしょうね~

でも、紙とカバー用のアルミホイルを留めていたテープは3ヶ月で粘着が弱くなっていました。

この実験はもうちょっと続けてみるつもりです。

カバーをもう少しずらして南向きの窓にぶら下げ、半年後また見てみます。


色彩について②(補色混合)

2010-12-18 | 画材の話

引き続き、補色混合という課題もご紹介します。

これも以前、井上直久さんのホームページに紹介されていたものです。

↓ 補色同士を縦横に並べてグレーを作ります。右は白を混ぜています。

Hoshokukongo Shoshokukongo2

2つの色を混ぜる時、どちらの色にも偏っていないかを見ながら作ります。

きちんと出来ていれば対角線上は黒又はグレーになります。

右上になるにしたがって赤みのある暖かいグレーになり、

左下に向かって青味のあるグレーになります。

微妙な色調です、この課題のような微妙な色彩感覚を身につけると

雲や肌の影色などの美しい色の変化が作り出せるそうです。

この課題は、カットした紙のチップを使わず、

紙にマスキングテープを貼り、直接色を塗っています。

アクリル絵の具は乾くと色が濃くなりますので、

白を混ぜた方は明度をあわせる為に何度も塗り直しています。

面倒ですが、基礎体力のようなものだと思ってやってみました。

その効果が出てるかどうかは、、、よくわかりませんが(^_^;A

何かは得られたと思っております。


色彩について

2010-12-18 | 画材の話

11月15日の記事「デッサンについて」の続編です。

その時、デッサンだけでなく色彩や遠近法などについても学んだ方がいいという話を書きました。

その記事で紹介した画家・井上直久さんのホームページに

以前UPされていた色彩のついての課題を数年前に作っているのでこちらに紹介します。

完璧に出来ているわけではないのでご了承ください。

↓ ヨハネス・イッテンの色彩論にも同じようなカラーチャートが出ています。

Kadaits2

大きくてスキャナーで分割して取り込んだ画像を繋いでいるので

ちょっと色がおかしいですが・・・(-_-;)

一番左に白から黒までのグレースケール、

見えにくいですが一番上の一列は白です、一番下は黒

3cm角の紙のチップに色を塗り、縦列は滑らかなグラデーションになるように

横列は明度が合うように置いていきます。

↓ こちらはその途中経過 

47tish_2

純色の位置を決めて、その色より明るいところは白を混ぜ、

暗い所は黒を混ぜて色を作ります。

13×13=169 のチップが最低必要ですが、少しずつ色を混ぜながらたくさん作るので

実際にはその3倍位のチップに色を塗りました。

赤や緑の明度が思ったより低い事がわかります。

色相と明度について理解するためにいい課題だと思います。

***

デッサンの会でも7~8年前に明度合わせの課題をやりました、

↓ これもかなり不完全ですがUPします。

Sikikousei

3段階の明暗に色を塗るという課題です。

それぞれの面で明度が合っていなければいけませんが・・・

合っていませんね~(^_^;A 未熟でスイマセン


絵の具の退色について②

2010-10-16 | 画材の話

3ヶ月前に始めた絵の具の退色実験の経過報告。

最初の記事はこちら

先日アルミホイルのカバーをちょっと外してみた、
あの夏の日差しでかなり退色してると思ったら
殆どの色で変化は無く
透明水彩のプルシアンブルーだけが少~し色が浅くなったかな?
と思うぐらいです。
画像の「↑」の辺りです。

紙に日焼けも無し。

Img_2410 ニュートンの透明水彩絵の具

Img_2411 アクリル絵の具、ホルベイン他

ただ、紙を貼り付けていたマスキングテープが粘着力を失い、
バリバリになってしまったので、糊のついた紙テープに変えました。

もう一度、アルミホイルでカバーをして
また、南の窓にぶら下げています。
3ヵ月後にまた見てみます。


ホルベインのワークショップ(4)パンパステル

2010-08-29 | 画材の話

ソフトやハードパステルは知っていますが、

このパステルは初めて使います。

***

続けて書いているので、ちょっと疲れました、休憩します<(_ _)>

***

ε=ε= 。。\(≧▽≦)丿休憩からやっと戻りました~~

では続きを

***

このパンパステル、女性が開発に加わっているとしか思えません。

化粧品のファンデーションとそっくりです、

まるでカラーのファンデーションです。

それを塗る道具も化粧品用のスポンジと同じ、

細かい部分を塗る筆もアイシャドウを塗るチップと多分同じだと思います。

粒子が細かいのでソフトにフワーと塗れます。

重ね塗りや画面上での混色もきれいです。

モチーフのりんごはステンシルのように型抜きしたシートを使いました。

こんな感じ↓

100829_000301

練り消しで色を取る事もできます→りんごのハイライト部分など

パステルは手が荒れるし、汚れるのがどうも好きになれなくて

パステルの粉が付いた手で違う色のパステルを使うのがどうも嫌で、

描いている間中、手を拭いたり、違う色で汚れたパステルを拭いたり

全然絵に集中できないんです。

なので、段々使わなくなってしまいました。

このパステルは直接手で擦らなくても、道具を使って描けるので

そのストレスがありません。

粉も殆ど飛び散りませんでした。

描いた感じはパソコンの描画ソフトの様なタッチになりました。

使い方次第で色々な表現ができる様に思います。

フランスで賞をもらった画材だとか、、、確か。

描き心地がいいのでちょっとお気に入り、買ってませんけどね(^.^)

***

以上、4種類の画材を試したワークショップでした。

大変有意義でした、神戸でもやってくれないかな~


ホルベインのワークショップ(3)水彩紙

2010-08-29 | 画材の話

水彩紙の比較

水彩画を描く者にとって、この紙が一番大事です。

絵具や筆も確かに大事なのですが、私は紙がよければ何とかなると思っています。

新しく発売されたアヴァロンと以前からあるウォーターフォードです。

ウォーターフォードは私も以前よく使っていました。

自然な白さと適度なドーサで気に入っていましたが

他にも色々な水彩紙を試したかったので久し振りです。

100829_000001

上がアヴァロン、下がウォーターフォード

私は普段「ドーサ」と呼んでいますが、「サイジング」とも言うらしいです。

画材屋さんが言うぐらいですから「サイジング」が主流なんでしょうね。

では、ここでは絵具屋さんに合わせましょう。

アヴァロンはサイジングが強めで絵具の乾きがゆっくりのタイプです。

絵具を乗せた後でもティッシュで拭き取れば雲の形が描けます。

リンゴの背景の雲はその様にして描いています。

にじみを試す為に赤を薄く塗った所へ黄色をチョンチョンとたらすと・・・

いい感じに滲みます。

赤をもう少し強くしたいのでリンゴの真ん中辺りにさらっと赤の筆でさわってみる。

いいね~

上のリンゴのハイライトは後からティッシュで拭いました。

***

同じ絵具を使っているのに発色が微妙に違います。

家にたくさん水彩紙があるのですが

『紙が風邪を引いたらどうしたら・・・?』とお尋ねしました。

※紙が風邪を引くとは・・・サイジングの際に使うドーサ液が湿気でダメになってしまう事

風邪を引いた紙は、半紙のように絵具が染込み、絵具の発色がとーっても悪くなります。

回答は

もう、元には戻りません。

ドーサ液を塗ってもムラができて、なかなか難しい。

諦めてください。でした(-д-;)ショック!!

湿気のないところで保管しないと紙は傷んでしまうのですね・・・(ノT-T)ノ

帰り際にスケッチブックのいい保存方法は?とお尋ねしました。

買った時に入っていた透明の袋に入れておくとあまり湿気を吸わずに保存できますよ

とお返事を頂きました。

あの袋、これからは捨てずに取っておこうと思います。


ホルベインのワークショップ(2)水彩絵具

2010-08-29 | 画材の話

水彩絵具といっても色々ありますよねー

私が普段使っているのは透明水彩のチューブまたは固形絵具です。

学生の時はポスターカラーをよく使いました。

娘が小学生の時はサクラ絵具、これは不透明水彩ですね。

*アクリル絵具も水で溶けますから水彩絵具の一種でしょうけれど

溶剤の種類が違うので、同じ素材からなる透明・不透明水彩の絵具で比較

以前、友人から透明水彩と不透明水彩の違いについて訪ねられた時に

不透明水彩は折り紙、透明水彩はカラーセロハンみたいなもんよと返事をして

とっても納得してもらったけど、内心、不透明水彩を薄く溶いたものと透明水彩絵具

どう違うの?と思っていました。

実際、私が最初に習った水彩画の先生は同じようなモンですと言っていましたし・・・

さて・・・

100828_235901

リンゴの下書きがあります、

下から3分の1のところは先に水で濡らして色を置いていきます。

上の段は透明水彩、左からチューブ・パンカラー・ケーキカラー

下の段は不透明水彩、左からガッシュ・ポスターカラー・ケーキカラー

透明と不透明の違いは顔料と糊(アラビアゴム)の比率の違いだそうです。

***

水彩画の教室によってですがチューブの絵具をパレットに出して

乾かしたものを使うように指導している所があるようですが

チューブは大量に絵具を溶く時に便利にできているので

使い方としてはちょっと違っているそうです。

固形水彩絵具もチューブのものと素材は同じですが

ただ水分を抜いているだけではなく、高圧プレス。

水溶けがいいようにも工夫されているそうです。

(確かにチューブの絵具を固めたものより水溶けがいいと思っていました。)

途中までの工程は同じだと説明文にあります。

小さいのに少しお値段が高いのはチューブの濃縮版だから、という事。

ケーキカラーは上記に比べると工程を簡単にした廉価版。

使い心地は・・・

普段慣れているチューブ入りがさらっと描けていい。

パンカラーは絵具の伸びがいい、水溶けもいい。

ケーキカラーは伸びがちょっと悪いかな?

***

不透明は顔料が多くて糊(アラビアゴム)が少な目で被覆力が強い。

普通に描いてもコテッと絵具が乗っかってる感じです。

ガッシュとポスターカラーの違いは・・・

顔料以外の増量剤を入れて、お値段を抑えたものだそうです。

学生が使いやすいように廉価版になっているんですね。

ポスターカラーの方が明度が高いので色が鮮やかな気がするのですが

顔料がしっかり入っているガッシュの赤は深みがあります。

不透明のケーキカラーは手軽だし、スケッチや絵手紙などで

しっかり色を置きたい時にはいいかも。

***

で、先の疑問、

不透明も薄く溶けば透明水彩絵具と同じように使えるか?

担当の方の回答

同じ顔料ですが、不透明絵具は糊が少ないので

透明性や固着力が違ってきて全く同じ様にはなりません。

でした。ほほぅ~~