ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ラスト、コーション

2008年02月12日 | ネタバレ批評篇
『インファナル・アフェア』や『少林サッカー』とはちと違う、上流階級の中国語(上海語)を堪能できる作品だ。『インファナル・アフェア』などは、その重厚な映像とは相反して、日本人からすれば調子ハズレ(?)なイントネーションが作品の雰囲気を壊す元凶ともなっていたが、この『ラスト、コーション』では全く違和感を感じることなく、流麗な中国語が映像の中に見事に溶け込んでいた点は評価できる。

しかし、あの賛否両論別れる問題作(米国ではやたらパロディのネタにされた)『ブロークバック・マウンテン』以降、アン・リー作品の方向性がヤバイ方向に傾いていると思うのは気のせいか。本作品にはAV男優も真っ青のS男を演じたトニー・レオンが、さまざまな体位で新人のタン・ウェイちゃんをなぶりまくるシーンが数多く登場する。(隣の席で熟睡していた老人がそのシーンだけはしっかり目を開いていたのには笑えた)

抗日組織に操られる女子大生ワンと親日組織の犬として権力を享受しているイーという関係の中で、<SEXのみが真実>というテーマに貫かれた本作品の、要するに見所は二人の濡れ場のみであり、女スパイが結局レオンのテクにほだされてしまうお話なのだ。後年、あの名匠ベルトリッチが〝色ボケ〟して作品のキレを失っていったように、アン・リーもまた同じ轍を踏まないことを祈りたい。

監督 アン・リー(2007年)
〔オススメ度 


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