ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

フィアレス

2022年05月29日 | ネタバレなし批評篇

飛行機墜落事故に遭遇した男が奇跡的に助かり、脳からのドーパミン異常放出により無双感に浸りきり、ビルの屋上で仁王立ちになっても、車を猛スピードで走らせて壁に突っ込んでも、まったく恐怖心を覚えなくなってしまうベトナム帰還兵士のようなPTSD患者のお話・・・・・ではおそらくないでしょう。

“LESSERAFIM”という韓国アイドルグループをご存じだろうか?何のこっちゃと思ったあなた、まだ首を傾げるのは早すぎます。本作の英題“FEARLESS”となんとなく語感が似ているというか、ほぼほぼアナグラムになっている気がするのです。意味は熾天使(してんし)。天使の中でも最上位に属するお偉い天使さまたちだそうなのです。

その中の一人ラファエルという名の大天使が守護している対象が、旅人や精神障害患者だそうなのです。何をいいたいかと申しますと、LESSERAFIMの日本人メンバーが可愛いとかそういうことではなく、本作の主人公ジェフ・ブリッジス演じるマックスが大天使ラファエルの化身である可能性が非常に高いのです。(ちなみに、マックスにつきまとう少年バイロンは智天使ケルビムあたりをイメージしているのかもしれません)

事故で赤ちゃんを失いショックでなかなか立ち直れないロージーを外に連れ出し、精神的に立ち直らせようとするマックスの姿はまさに大天使ラファエルそのもの。しかしロージーが精神的に立ち直ってしまうと、天使としての役目を終えたマックスの方がおかしくなってしまうのです。神の目を描いた絵画や、映画ラストの神秘的な事故再現映像は、マックス=ラファエルを印象づける演出だったのではないでしょうか。

親の七ひかり女優イザベラ・ロッセリーニの大根演技が若干足を引っ張っていた感は否めませんが、それを補ってあまりあるブリッジスのハイな演技は一見の価値があるでしょう。マックスがラスト苺アレルギーを再発したことから察するに、大天使ラファエルはマックスの身体を本人に返してあげたのかもしれません。苦を感じることそれすなわち“ALIVE”であることにマックスは最後に気づいたのです。

フィアレス
監督 ピーター・ウィアー(1993年)
オススメ度[]


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« この庭に死す | トップ | グレイン »
最新の画像もっと見る