ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

パニッシャー:ウォーゾーン

2010年04月13日 | ネタバレなし批評篇
レイ・スティーヴンソン演じる“パニッシャー(仕置き人)”ことフランク・キャッスルという主人公のオヤジがかなりヤバイ。その昔マフィアに愛する家族を殺されて以来、アフィアに対する情け容赦なしの私刑を執行する復讐鬼の暴れブリがハンパではないのだ。自慢のイケメンをメチャクチャにされパニッシャーに怨恨を抱く悪役が一応登場するのだが、パニッシャーの残虐非道ぶりに比べれば赤ちゃんのいたずらのようでかわいいもの。殺戮シーンだけ見ればどちらが悪役が判別するのは難しいだろう。

(殺しに明け暮れているため)基本的に稼ぎのないパニッシャーに対して、(よせばいいのに)銃火器を提供するする協力者がいる。その協力者からもらったでっかいベレッタを至近距離からぶっぱなすと、当然悪人の頭がふっとび周囲に脳漿を撒き散らす。相手を気絶させればすむような場面でも、わざわざでかい拳骨をふりあげて顔面をグシャリ。すでに死んでいる悪人の首を踏みつけへし折ってから次の場所に移動するこのオヤジ、いかれレベルでは歴代ハリウッド・ヒーローの中でもMAXをきわめているのではないか。

しかし本作が他のダーティ・ヒーローものに決定的な差をつけているのは、まさにそういったお仕置きシーンであることは間違いない。誤って殺してしまった○○○の家族をワルどもから守ろうとする変に善人ぶったところなどは、このヒーローのいかれぶりからすると、とってつけたようにしか見えずむしろ違和感を覚えるくらい。モラルの境界をとっくの昔に超えているこのフランク・キャッスルにとって、正義とか悪とかいった仕訳すらもはや不要な気がするのだ。

気にいらない奴はすべてぶっ殺す。法規制の及ばないはるか彼方まで突き抜けてしまったこのダーティー・ヒーローに歯止めをかけるのは一体何なのだろうか。今回、映画の中でちらりと垣間見せた(友情よりも家族愛を優先する)子煩悩な弱点だったとしたらとんだお笑いぐさで、それではパニッシャーによって地獄送りとなった悪人たちもうかばれないと思うのだが。

パニッシャー:ウォーゾーン
監督 レクシー・アレクサンダー(2008年)
〔オススメ度 

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