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映画公開前、結構な酷評を受けた本作ではあるが、実際に映画を見た人からの口コミ影響だろうか、映画動員数はじわじわと盛り返してきているようだ。私が鑑賞した時も、公開4週目にして8割方席がうまっているほどの盛況ぶり。「アバター」なみのロングランは無理かもしれないが、ここにきてなかなかの粘り強さを見せている。
「南極料理人」「のんちゃんのり弁」など、フードコーディネーターに「かもめ食堂」の飯嶋奈美を起用した似非グルメ作品がここのところ連続していたが、吉岡なんちゃらという聞きなれないコーディネーターを起用した本作の方が、出てくる料理が断然うまそうにみえる。料理を食べている役者の演技力にもよると思うが、明るい原色を多用する富岡まいの絵面が、食い物映画のテイストにはまっていたのかもしれない。
賛否両論の格差がはげしい小川糸の原作は読んでいないので何ともいえないが、他人の本をはじめて撮ったにしては上々の出来ではなかろうか。この冨永まいという女流監督の名前を、サンダンスで評価された「ウール100%」で知ったのだが、毛糸やクレヨン画を駆使したゴンドリー風のアニメーションに独特のセンスを感じる佳作であった。「ウール・・・」の脚本はオリジナル、今回は(一応はベストセラーの)他人の本ということでかなりの気遣いもあったことだろう。
「バベッドの晩餐会」を思わせる薄暗い厨房で作り出される数々の料理は確かにおいしそうに見えるが、冒頭のざくろカレーや漬物はともかく、料理修行をしたこともない倫子(柴咲コウ)が一流シェフ顔負けのフレンチやワインを提供できる理由がいまいちよくわからない。ラストの満豚?全席についてはもっとわからない。原作がそうだからしょうがないといえばそれまでだが、インド人の元カレやおばあちゃん以外に料理を習ったことがない倫子の作り出す料理に、なぜ人を幸せにする力があるのかの説明も極めてあいまいである。
家を飛び出した自分勝手な娘を快く迎え入れてくれるルリ子(余貴美子)にしても、(私からいわせらば)はなっから優しいいいオカンにしか見えず、「何すねてんだ、このガキ」と逆に石を投げつけたくなるくらいだ。そんな脚本(あるいは原作)には処々の問題が散見されるものの、幸せいっぱいのCG合成シーン、エルメスとのテレパシー通信等、料理以外の演出にも光るものがないわけではない。ブタ&ハトを見事にたいらげてしまうシーンなどは、特定動物のみを愛護するシーシェパードの狂信者軍団に是非とも見せて欲しいと思う、時事ネタ的にもタイムリーな1本である。
食堂かたつむり
監督 富永 まい(2010年)
〔オススメ度![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/buta.gif)
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〕
「南極料理人」「のんちゃんのり弁」など、フードコーディネーターに「かもめ食堂」の飯嶋奈美を起用した似非グルメ作品がここのところ連続していたが、吉岡なんちゃらという聞きなれないコーディネーターを起用した本作の方が、出てくる料理が断然うまそうにみえる。料理を食べている役者の演技力にもよると思うが、明るい原色を多用する富岡まいの絵面が、食い物映画のテイストにはまっていたのかもしれない。
賛否両論の格差がはげしい小川糸の原作は読んでいないので何ともいえないが、他人の本をはじめて撮ったにしては上々の出来ではなかろうか。この冨永まいという女流監督の名前を、サンダンスで評価された「ウール100%」で知ったのだが、毛糸やクレヨン画を駆使したゴンドリー風のアニメーションに独特のセンスを感じる佳作であった。「ウール・・・」の脚本はオリジナル、今回は(一応はベストセラーの)他人の本ということでかなりの気遣いもあったことだろう。
「バベッドの晩餐会」を思わせる薄暗い厨房で作り出される数々の料理は確かにおいしそうに見えるが、冒頭のざくろカレーや漬物はともかく、料理修行をしたこともない倫子(柴咲コウ)が一流シェフ顔負けのフレンチやワインを提供できる理由がいまいちよくわからない。ラストの満豚?全席についてはもっとわからない。原作がそうだからしょうがないといえばそれまでだが、インド人の元カレやおばあちゃん以外に料理を習ったことがない倫子の作り出す料理に、なぜ人を幸せにする力があるのかの説明も極めてあいまいである。
家を飛び出した自分勝手な娘を快く迎え入れてくれるルリ子(余貴美子)にしても、(私からいわせらば)はなっから優しいいいオカンにしか見えず、「何すねてんだ、このガキ」と逆に石を投げつけたくなるくらいだ。そんな脚本(あるいは原作)には処々の問題が散見されるものの、幸せいっぱいのCG合成シーン、エルメスとのテレパシー通信等、料理以外の演出にも光るものがないわけではない。ブタ&ハトを見事にたいらげてしまうシーンなどは、特定動物のみを愛護するシーシェパードの狂信者軍団に是非とも見せて欲しいと思う、時事ネタ的にもタイムリーな1本である。
食堂かたつむり
監督 富永 まい(2010年)
〔オススメ度
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