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宇宙バクテリアに対抗する原核細胞を取り込んだ進化人類が、“ジェイコブス・ラダー”を使って別次元の宇宙へ移住する、って話ではない。じゃあこの映画のいいたいことは何って話になるんだけど、それを紐解く鍵が“MKウルトラ計画”。
兵士の戦闘能力を極限まで高めるために使用されたBZガスの影響で同士討ち事件が発生、仲間に腹部を銃剣で切り裂かれた主人公ジェイコブ・シンガー(ティム・ロビンソン)が死に際見た“夢”が描かれている。ここまではいいよね。
地獄のような戦場経験がその夢に影響しないわけがない。浮浪者のコートから触手らしきものが👋😃してたり、恋人が👿にZ/Oされたり、友人の車が突如💥するなんて幻覚も当然まざってくるんだよね。『サイレント・ヒル』のクリーチャー・デザインにも影響を与えたと言われる悪夢の描写がマジでヤバい作品でもあるわけ、いい。
じゃあそれ以外のパート、奥さんサラと別れなぜか同棲しているジェシー(エリザベス・ペーニャ)との💓💏💓シーンや、整体師ルイ(ダニー・アイエロ)による椎間板ヘルニア施術シーンは一体なんだったのってことになるんだけど、ここからがこの映画の隠されたネタなの。よくわからなかったら見方を変えろってこと、いい。
みんな、マコーレー・カルキンがまだグレる前に演じた息子ゲイブが、大天使ガブリエルの生まれ変わりだってことは直ぐにわかるよね。じゃあジェイコブに「天使にも悪魔にも見える」と言われた整体師ルイと言えば?“元大天使長堕天使ルシファー”。神に反乱をおこして地球にとばされたのがそのルシファー、これこの映画のポイント記憶に留めておいて。
そして、夢の中でなぜかジェイコブと同棲している女ジェシーはと言えば?(字面からして間違いなく)“神の子イエス”。神の言葉を伝えるジェシーの仕事が郵便局員ってとこがミソ。きたきたきた。パンドラの箱あけちゃうよ~。つまり、この映画、反戦の裏にこっそり宗教ネタを仕込んだかなりヤバい作品だってこと。いい、アンテナ高くしとけー。
瀕死の重症を負っているジェイコブが(現実世界で)死にそうになる度に、ルイが施術で痛みをやわらげ、(隣人)愛を語るジェシーは発熱したジェイコブを氷風呂(洗礼)に入れて(そんなことしたら普通死んじゃうよね?)一命をとり留めさせる。つまり、ユダヤの父ジェイコブを現世の“生”に縛りつけているのがこの2人ルシファーとイエスだって言ってるわけ。
手術が成功してジェイコブが生き返れば、またあの科学者のように(口を封じるために)戦場に送り込まれるわけで、見方によっては反戦の名を借りたアンチ・クライスト・ムービーでもあるわけ。いい。「死を受け入れれば悪魔も天使に見える」ってことは、つまり、この世は死を受け入れない限り地獄だってこと。
信じるか信じないかはあなた次第です。
ジェイコブス・ラダー
監督 エイドリアン・ライン(1990年)
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