ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ホルテンさんのはじめての冒険

2009年07月26日 | ネタバレなし批評篇
時間に正確無比な職業の代名詞、電車の運転士。ノルウェーのオスロからベルゲンを結ぶ特急運転士のホルテンは、明日で定年という日の晩に夜更かしをしてしまい翌日鉄道員人生はじまって以来の大遅刻をしでかしてしまうのだが・・・。

定年の日、目が覚めたホルテンは特にあわてる風でもなく、スキー・ジャンプの元選手だったという母親をたずねるが、認知症のせいかホルテンが誰だかわからない。その後、空港で迷子になったり、誰もいない深夜のサウナのプールで泳いだり、目隠しをしながら運転するのが趣味という変わった男とドライブにでかけたり・・・。

ひっそりと静まり返ったオスロの町はなんともうら寂しく、一人暮らしのホルテンの孤独感がしんみりと伝わってくる。時折コミカルな演出もなされているが、基本的には、人生手遅れになってしまった男のやり直し行脚が描かれているまじめな作品だ。

母親(監督ベント・ハーメルの実の母親がスキー・ジャンプ選手だったらしい)が見たかったであろう息子のジャンプ選手姿、定食家のおばさんとのロマンス旅行、鉄道員時代はかなわなかった夢を(遅れらばせながら)実現するホルテンの姿に、観客はほっと癒されることだろう。

しかし、その夢は○○の世界で実現されるという皮肉な結末は、この映画が単なるほんわかしたヒューマンコメディではない証拠。仲間が開いてくれた送別会の後、二次会の場所から締め出しをくったホルテンは、もしかしたらその時点ですでに○○○いたのかもしれない。オスロの幻想的な町の雰囲気が、そんな気にさえさせる1本だ。

ホルテンさんのはじめての冒険
監督 ベント・ハーメル
〔オススメ度 

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