ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

誰が電気自動車を殺したか

2009年07月02日 | ネタバレなし批評篇
いわゆるアメリカ社会の暗部を暴く社会派ドキュメンタリーということになるのであろうが、マイケル・ムーア作品のような“毒”がないため「まじめすぎて、つまらない」というのが第一印象。1990年代、カリフォルニア州でリース販売されていた「EV1」という電気自動車がいつのまにか姿を消した。チャーミングな元販売員、EV1愛好家、エコロジストたちが結束してその黒幕を暴くというストーリー仕立てになってはいるが、結果は大方の予想どおり。石油産業と政府筋(共和党)・そしてGMがグルになって将来有望な電気自動車の普及をつぶしたという結論を導いている。

「そんなのわざわざ説明されなくても、大体想像つくわい」という内容のシークエンスがつらつらと続くために、普段からニュースの裏側に隠された陰謀を研究している人にとっては面白みの少ない1本だ。時期的にタイムリーなドキュメンタリー作品のようにも思えるが、将来有望な「EV1」部門を手放したことがGM破産の直接原因と短絡的に結びつけるのは大きな間違いなので注意が必要だ。

トヨタのプリウスやホンダのインサイトが現在日本でバカ売れしているのも、けっしてユーザー側の環境意識が高まったからではなく、補助金が出て安く買えるというのが最大要因であろう。いわゆるエコロジーという大義名分が、帝国資本主義に悪用されているといった形容の方があてはまるのではないか。映画の中でEV1擁護のわざとらしいコメントを発しているトム・ハンクスやメル・ギブソンよりも、ハマーを乗り回して環境破壊車の宣伝に一役買っていたシュワ知事の方がよっぽど(こっけいで)わかりやすいのである。

誰が電気自動車を殺したか
監督 クリス・ペイン(2006年)
〔オススメ度 

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