ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

神童

2009年06月05日 | 激辛こきおろし篇
成海璃子激太り前の稀少な作品。映画の中で同年齢(撮影当時13歳)の天才ピアニスト・成瀬うたを演じた成海だが、まだ声変わりもしていない男子の中に混ざると、まるで中学生に見えないから不思議である。そんな天性の女優オーラを発している成海ではあるが、NTTdocomoのCMなどにおける昨今の激太りはいかんともしがたく、この映画の美少女のイメージを重ねると横からはみだすほどに顔つきが変っているのが残念でならない。

そんな成海璃子が主演のこの映画、さそうあきらの原作の出来がそもそも悪かったのかもしれないが、何を主軸に描きたかったのかが最後までボケボケでわかりづらい。主人公のうたと、和音(松山けんいち)、音楽そのもの、ピアニストの父親、その他もろもろの関係性がすべて並列にならべられているだけで、物語にまったくクレッシェンドが無いのが気になるところ。「のだめカンタービレ」発端のクラシック・ブームにのっただけの底の浅いストーリーが、まったく共感を呼ばないのである。

劇中演奏される音楽も誰もが知っているミーハー楽曲ばかりで、世界的ピアニストがコンサート当日に代演を頼むなんてことは、ちょっとクラシックをかじっている人に言わせれば100%ありえないのである。そんな素人見識が蔓延しているこの映画は、「映画屋風情がうかつに手を出すもんじゃありませんぜ」というクラシック通人のバッシングを受けそうな1本である。

神童
監督 荻生田宏治(2007年)
〔オススメ度 

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