TAZUKO多鶴子

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『伝承形式』とは…

2008-10-10 | TAZUKO多鶴子からの伝言
近代社会になった現在、
文化や伝統を『伝承』していく必要性がある事が
近年特に論じられています。
『伝承』…つまり古くからの技術やしきたりを
受継いで伝えて行く形式『伝承形式』には、
『完全相伝』と『一子相伝』の二つの種類があるそうです。
前者は師匠が持つ情報の全てを弟子に伝える形式で、
後者は親が持つ情報の全てを一人の子供にのみ伝える形式。
つまり更に詳しく説明すると
『完全相伝』とは、技術やしきたり等の師匠が蓄積した情報の全てを、
継承を望む弟子の中からそれに見合った力量の者に伝授する形式で、
弟子全員に伝授されることもあれば、
ほんの数人から一人、
場合によっては無しということさえもありえます。
また、伝授された情報を、
そのままの形で伝承することを強制されないため、
伝承そのものの裁量権も与えられます。
つまり、全てを継承者に授け任せる形です。
次に「一子相伝」ですが、
これも「完全相伝」と同じく、
特定の力量の継承候補者に情報の全てを伝授するのですが、
そこに「家職」としての限定条件が加わります。
ここにおける「師弟」は、
「親子」であり、
人数は一人のみ且つゼロは不可となります。
つまり、読んで字の如く、
一人の子供に相い伝える訳です。
また「家職」のための情報である以上、
継承者個人は常に中継者としての責任が圧し掛かります。
このため、
情報に私見を挟むことは出来ても、
伝承事態の裁量はまかされません。
この「伝承形式」は「茶道」に限ったことではありません。
技能・芸能等の中で、
個人の個性に評価の重きを置く種類以外の技の伝承は、
皆この二つの内のどちらか形をとります。
では、何故この二つの形式に分かれるか、
その違いは何なのでしょうか。
それは、伝承される情報の価値に起因します。
つまり前者のそれは、
どんなに高度なものでも
既に相当量の人間の間に知られている事であり、
後者のそれは、
同時期に僅かな人数しか知り得ない事であるため、
独占による価値の発生が、
その違いになったと言えます。
特許制度の無い昔や、
それの及ばない種類の事柄においては、
『一子相伝』こそが、
一家一族を養うのに余りある程
高価値な財産情報である「秘伝」「奥義」を守る
有効なシステムと考えてよいでしょう。
逆に、利害の関わらない事の場合は、
多くの人に広めたい気持ちが作用して、
自然と『完全相伝』を選ぶのということになります。
このようにして私たちの文化伝統は
受け継がれ守られて来ました。
しかし時代の流れと共に
少しずつこの形式は変化し失われつつあるようです。
昔から伝統の職人が育つ為には
10年20年30年と多くの月日を費やします。
ところが近年は専門職に付く為には
大学や専門学校を卒業し、
一流企業に勤めて数字を出しさえすれば
入社直後でも一人前以上に認められる場合があり、
気の長い月日を費やすまでの努力を必要とする伝統分野は、
余りにも忘れ去られていくのは当然なのかもしれません。
…ただ…今後…それでは
TAZUKO多鶴子は危機感があります。
世界のマーケットで活躍されている
ある方が私に教えて下さった事が今も心に残っているのです。
「日本が今後世界の中で生き残っていくには伝統や文化しかない…」と…
はたして…今の時代の流れのままでいいのでしょうか…。


参考資料:『茶道事典』

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