人間は、近代民主主義を崩し始めました。
近代民主主義の特徴である、倫理と法を守る義務を放棄。
国際法は有名無実です。
これもまた、人間史の途中経過です。
さらに、人間は生物進化途中にいる生物です。
トランプは家畜の群れである人間を操る、手綱さばきを覚えたのでしょう。
現時点での私の記録として、他国の選挙戦を眺めたこの総括を記します。
【伝えたい要旨】
選挙制民主主義制度には問題がある
トランプは、人類史上最悪のデマゴーグである
民主党は直面する課題に対処できない
選挙制民主主義
選挙で選ぶ多数による民主主義には大きな問題があります。
政策が迷走します。
しかし、独裁政治は王朝を維持するのが目的ですから、政策の迷走は起こりにくいのです。
選挙型民主主義の危うさは、歴史が証明しています。
大衆はしばしば一時の感情に流され、扇動に乗せられやすく、何が正しいのか判断が難しいことがあります。
それでも、自分の人生は他人ではなく、自分で決定することが大切です。
独裁者は世界を解釈するルールを独占するという信念を持ちます。
最悪の選択を避け、時間を稼ぎながら、一人一人の尊厳を実現する新しい社会システムを創造する必要があります。
選挙結果をコントロールする投票行動は、偶然ではなく意図的に望ましい状態に近づけるために、人間にとって不可欠です。
しかし、これは奇跡を期待するようなものです。
アメリカの有権者は異なる選択をしました。
これが選挙制民主主義の現実です。
現状
①根本問題は政治の仕組みにある
最大の問題点は、人間社会の政治体制です。
それは人間の尊厳を実現できる体制ではありません。
近代選挙制民主主義は「自由・平等・平和」を掲げて成立しましたが、それ以前は封建主義で、君主が人々の運命を決定していました。
人間は法の下で平等ではなく、身分によって法律上の上下が存在する社会でした。
世界の解釈ルールを独裁者が決めていたのですが、これを変えたのが近代民主主義です。
しかし、近代民主主義の理念が完全に実現されたわけではありません。
経済格差は拡大し、生活は楽にならず、戦争は続いています。
近代民主主義に疑問を抱く有権者が増えています。
民主党と共和党の政権交代は続きましたが、両政党の政策による微修正ー予定調和の世界ーでは矛盾を解消できず、戦争は続き、経済格差は拡大し続け、人間の大移動も止まりませんでした。
ここ20年間米国は、一国主義(共和党)と多国主義(民主党)の間を揺れてきました。
建前では済まされなくなった社会に登場したのがトランプです。
不倫をしようが、刑事訴追を受けようが、選挙制民主主義を否定しようが、有権者は彼に自分の運命を託しました。
②トランプは、人間史上最悪のデマゴーグ(民衆扇動家)
トランプは自己の資源(ヒト・カネ・モノ)を活用して有権者を扇動し、方向付けています。
社会の常識を覆し、分断を助長したのはトランプです。
8年の間に、彼の言動(発し方は、いつ、何を、何を使い、誰にが練られています)によって人々の気持ちは変化しました。
16年の選挙では男性がトランプ支持を公にすることをためらいました。
24年は女性がトランプ支持を公にすることをためらったのでしょう。
今回、女性の票が予想外にトランプに流れました。
これは単なる大衆の人気を得る事を目標にする大衆迎合とは異なります。
彼は世界の解釈は自分にしかできないと信じています。
架空の敵を作り出し、人間の弱さを巧みに操り、刺激し、扇動しています。
富裕層を守ることを、貧困層を守るように見せかけています。
さらに、自身の保護とトランプ王朝の確立を画策しています。
民主主義の概念が彼には存在しないため、それを擁護する訳がありません。
③民主党では直面する課題を解決できない
民主党の敗北の根本的な原因は、人間の尊厳を実現できない政策にあります。
相矛盾する言動を続けています。
経済格差をなくし、平和を実現することはできませんでした。
有権者が抱える現実の生活課題から逃げていました。
米AP通信の調査で米国が直面する最も重要な課題を聞いたところ、トップは「経済・雇用」の39%で、「移民」(20%)、「中絶(規制)」(11%)と続きました。
東部ペンシルベニアや南部ジョージアなどの激戦州でも順序は同じでした。
今回の選挙では、女性と非白人、若者の票がトランプに流れました。
不倫や刑事事件で訴追される容疑者であっても、彼らはそれを気にすることはありませんでした。
過去の社会常識(=不倫は女性票を逃がす)は崩れ去りました。
「中絶、民主主義」では、票を取り込めませんでした。
有権者が求める優先課題に応えなかったことが敗因でしょう。
さらに、バイデンに代わる次期候補者を用意しておくべきでした。
自滅ですが、そもそもこの党では対応できなかったのでしょう。
トランプの煽りの勢いが勝りました。
歴史が古代であれ現代であれ、人間は巧妙に扇動される家畜のような存在であることに変わりはありません。
人間は動物であり、家畜の群れのような行動を見せます。
トランプはその手綱さばきを覚えたのでしょう。
【今後の大まかな予想】
・トランプ1.0(年内)
トランプの考えを実行する閣僚人事。
選挙活動を取り仕切り、支援した人物を登用する人事です。
・トランプ2.0(2025年夏まで)
公約を実行します。
自分を起訴した人物への復讐。
プーチンとのウクライナ停戦協議と支援の打ち切り。
国際協調からの離脱。
・トランプ3.0(2025年)
不法移民を国外に強制送還します。
・トランプ4.0(2026年)
上下両院の中間選挙で、さらにトランプの共和党が増えます。
終身大統領への道が開けます。
トランプ王朝の姿が現れます。
・トランプ5.0(2028年)
政・官・軍の支配権を掌握します。
米国内はこれまでにない混乱が起こります。
連邦軍による鎮圧が予想されます。
世界をリードする覇権国はいなくなります。
それから、イーロン・マスクは、人間史最大最悪の政商です。
人間史は試行錯誤で続いてきました。
人間は民主主義を試しましたが、錯誤という結論になりそうです。
そうなれば、人間史においては短命ということになります。
これまでは、人間が歴史を書き続けましたが、違う解決方法を見出すでしょう。
*天星人語は、こころ持つロボット君が歴史を書くのではと期待しています。
今の人間も古代ローマの競技場に集まり、人間同士が闘う、死か生き残るかの格闘技を見に集まった人間と変わりません。
「血を血を血を」と叫んで、格闘技を見ていました。
だから、ニーチェは「人間は動物であり、家畜の集まり」と書いたのです。
これが私を含む、人間なんです。
奴隷です。
生物進化を現す「系統樹」で言えば、人間は生物進化の途中にいる生物でしょう。
【もうすこし大局から論じた関連記事です。長いですが、よろしければ読んでください】