クリントン政権8年を「肉声」で再現 江沢民氏は「強硬で傲慢」…
【ワシントン=山本秀也】クリントン元米大統領(63)が、1993~2001年の在任中、79回にわたる私的なインタビューで語っていた「本音」の集成が、米国で出版され反響を呼んでいる。各国首脳への個人的印象やホワイトハウスの女子実習生との不倫をめぐる心境など「孤独な指導者」の横顔を人間臭く描いたことが、人気の秘密のようだ。
707ページにおよぶ「クリントン・テープス」を出版したのは、ピュリツァー賞を受賞した歴史ジャーナリスト、テイラー・ブランチ氏(62)。クリントン氏から「在任中の記録を残してほしい」と依頼を受け、深夜のホワイトハウス内の公邸でインタビューを進めたという。
ワシントンの米国立公文書館でこのほど行われた講演でブランチ氏は、「インタビューは中断が多かった。(一人娘の)チェルシーさんが宿題を抱えて割り込んできたり、マケイン上院議員が『ソマリアから撤兵すべきだ』と電話してきたりした」と振り返った。
録音テープの原盤は、クリントン氏が居室の靴下入れに保管。開示請求を避けるため、テープはこれまで門外不出とされてきた。ブランチ氏は、取材の直後に記憶している内容を自ら吹き込んだ“複製テープ”を元にこの本を執筆した。
この本は、クリントン政権の8年間を指導者の肉眼、肉声を通じて描く手法を取っている。このため、ボスニア紛争(95年)への軍事介入など、政権の政策を客観的に記録することより、クリントン氏の考えや交渉相手となった外国指導者とのやり取りを再現することに主眼が置かれている。
各国指導者のエピソードでは、95年に訪米したロシアのエリツィン大統領(肩書当時、以下同じ)が、泥酔したあげくに迎賓館「ブレアハウス」前の路上で、シークレット・サービスに身柄保護された話が、本の発売前から話題となった。
中国への接近政策を取ったクリントン氏だが、江沢民国家主席については、「強硬で傲慢(ごうまん)」「古代王朝の継承者」と表現するなど、よい印象は持っていなかったようだ。
93年のシアトル会談で、江沢民氏は、薬物乱用など米国社会の抱える問題を並べ立て、「あなた方は自由だ富だというが、それが一体何なのだ」と米国を批判した。日本についても、江氏が北京での会談で、「『日本軍に父親を殺された』と苦々しく回顧していた」と記憶するなど、反日感情を示す中国高官の多さに驚いている。
むしろ、クリントン氏は、台湾の李登輝総統に個人的な共感を抱いたようだ。母校の米コーネル大学訪問を目的とした95年の訪米では、「気の毒な李氏は、IRA(アイルランド共和軍)のように大それたことをしたわけではないのだ」として、中国の「常軌を逸した過剰反応」に嫌悪感をにじませた。
日本の歴代首相については、「味のあるユーモアからアーカンソー州の俗語まで解する英語力」(宮沢喜一氏)、「ブラシのように大きな眉」(村山富市氏)と、印象を表現している。
一方、自身に関する記述には濃淡があり、女子実習生モニカ・ルインスキーさんとの不倫については「本当に壊れてしまっていたんだと思う」と振り返るだけで、経緯には触れていない。
ただ、ゴア氏の大統領選出馬にあたり、クリントン氏は自身が「不道徳なクズ野郎だと思われている」と選挙戦への影響を懸念しつつ、ゴア氏とペアを組む副大統領候補にヒラリー夫人(現国務長官)を当てることが、「民主党に最善の選択」と考えていたという。
Source来源:http://sankei.jp.msn.com/world/america/091020/amr0910201853006-n1.htm、http://sankei.jp.msn.com/world/america/091020/amr0910201853006-n2.htm、http://sankei.jp.msn.com/world/america/091020/amr0910201853006-n3.htm。
ほか:http://sankei.jp.msn.com/column/1521/clm1521-t.htm