見出し画像

意思による楽観のための読書日記

インナーアース 小森陽一 ***

いくつかの物語が組み合わさり、同時進行でストーリーが展開、最後にどんでん返しがある、というSF小説。メインとなるのは、地下20Kmという人類未到達の場所に発見された巨大な地下空間に向けた調査探検。サブテーマが、会社組織で情熱を持って働くメンバーたちの熱い思いと団結力。

全国の地図を作って提供するというゼンリンを思わせる会社「メイキョウ」に働くメンバーに、ケイビングが趣味だという若手女性社員の駒木根晶、その上司鷹目課長、同期の仲間天沼、広報室の辛口マドンナ桃田などが、地図づくりに燃える熱い社員たちを演じる。「地底地図を作らないか」と持ちかけたのは謎の会社社長蛍石、海外のスポンサーともつながるやり手の若手経営者。地底探検のための掘削機ロボットや機器を開発したのは、ロボット工学専門家の女性技術者森稲葉。

入念な準備作業と訓練を経て、地底探検に臨むが、メンバーたちはあるときからお互いにギスギスした雰囲気になってしまう。メンバーのなかでも森稲葉は、自分たちが実験材料として地中に送り込まれたのではないかと考えるようになるが、地上で見守ってくれているはずの誰がそんなことを仕組んだのかを疑っている。探検メンバーの一人駒木根晶は地上にいて信頼できる桃田に、地図情報に忍ばせた暗号で、自分たちが抱いた疑念を伝える。桃田はその謎をとき、地上で司令する天沼が蛍石と仕組んだ、将来の金星探検を見込んだストレス実験であることを天沼から聞き出す。

天沼はそのことを地下にいる鷹目はじめメンバーに伝え、探検メンバーたちは動揺するが、鷹目がメンバーを鼓舞するように提案する。「ここは、俺達が地上のみんなを見返してやろうじゃないか。金星探検よりももっと現実的な価値がある、地下に眠る資源を見つけることだ」と宣言。地上にいる駒木根晶の師である日長博士のアドバイスを得ながら、見事、レアアース鉱脈を見つけて、蛍石と天沼を見返すことになる。物語はここまで。

高杉良、江上剛、少し池井戸潤、というミックスされたような会社小説に地下探検のSF要素が入っている。面白いので一気に読んでしまう。
 

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「読書」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事