27歳の旅行代理店勤務の坂脇恭一は、地方都市の支店勤務、本社から左遷されてきた支店長の下でつまらないサラリーマン生活を送っている。さえない男性後輩の吉島は薄給なのに遊びをやめられず、サラ金から200万円ほど借金をしていた。それでも遊びをやめられず、支店のレジから2万円、3万円と現金を抜き取ることを続けていた。
ある時、吉島が市原のカモになる、吉島は坂脇に助けを求めた。助ける義理はない坂脇であったが、レジがあわない犯人が吉島ではないかとうすうす気がついていた坂脇は、こんな騒ぎを終わらせたくて吉島に代わってやくざの市島の待つ部屋に出向いた。そこで待っていたのは市島と圭子。やくざの市島は勢いはあるが喧嘩は強くはない、坂脇は市島を殴り殺してしまう。市島から逃れたくてたまらなかった圭子は、市島を山に埋めて知らん顔をしていれば、やくざの組織にもばれないと坂脇に持ちかける。そして、圭子は坂脇の部屋にかくまってもらう生活を始める。
一方、レジが合わないのを社員の仕業と考えた支店長はレジが合わない日に勤務している社員と非勤務日の社員の一覧表から吉島を犯人と割り出す。吉島は会社を辞めるが、圭子がレイプされたことの恨みを果たす必要があると考えた坂脇は圭子にやくざ事務所からクレイジー・ヘブンと現金を盗み出すことを提案する。何でそんなこと、と考える圭子だったが坂脇の説得とかたをつけるという坂脇の考え方に共感、襲撃の作戦を考える。夜中の2時に事務所に入った二人はまんまと現金300万円とクレイジー・ヘブンを盗み出すが、そこに組員で圭子をレイプしたやくざが入ってくる。とっさにその男の頭を殴り倒す圭子であったが、この男まで殺してしまう気にはならない。坂脇と圭子はこの町から逃げ出すことを決める。
なんだか、濃厚すぎるセックス描写が多出するため、嫌悪感をもよおす読者もいるだろうが、破滅的、出たとこ勝負的な坂脇の考え方に憧れ感を抱く青年読者もいるかもしれない。坂脇にやられっぱなしのやくざであるが、現実ではこんなことにはならず、ひどい目にあわせられるか、警察のお世話になることになるだろう。この現実からの浮遊感に快感を覚えるのが読者であろう。
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