最近数百年の動向を分析して「地球はこのままでは破滅的温暖化に向かう」と主張するIPCCに真っ向から反対、地球の歴史を分析すれば宇宙からの宇宙線や太陽の働きのほうが強い影響をあたえ、数億年の地球環境変化を捉えてみると、今後は寒冷化に向かうと考えるべき、というのが筆者の主張。
太陽黒点が減少すると太陽風が減少して、地球に降り注ぐ宇宙線を跳ね飛ばす機能が低下、地球への宇宙線量が増加する。その結果地球上では雲の発生が増えて太陽熱を反射、寒冷化する。宇宙線の増加は、火山活動活性化、浅発地震増加にもプラスの影響を与え、飢餓や社会不安増加も危惧されるという。地球気温の最大影響要素は二酸化炭素ではなく雲の発生であり、その原因となる太陽活動こそが地球気温を左右しているという主張。
地球は過去、氷河期を経験し、全球凍結も2回経験、全球凍結の際には地球上の生命の多くが壊滅的な影響をうけてきている。氷河期の到来に関しては、地球軌道の太陽からの離心率と地軸の傾きから数十万年単位で発生、現在は間氷期だが過去40万年を見れば約10万年単位で同様のパターンで氷河期と間氷期を繰り返している。約41万年前には5万年かけて平均気温は摂氏8度低下、その後気温は上昇し、再び10万年かけて低下するというパターンを3度繰り返している。最近では約15000年前に気温が急上昇、14000年前には一度7度も低下するが、12000年前に再び上昇、現在まで温暖な気候が継続している。このサイクルをミランコビッチサイクルと呼ぶ。
このミランコビッチサイクルを詳細に分析すると、間氷期は2万年程度継続するので、寒冷化までにはまだ5000年程度の猶予があるが、寒冷化は一度起きると50年程度で7度の下降が起きてもおかしくないという。
人類は人口増加による飢餓と石油資源枯渇によるエネルギー危機という大きな資源問題をどのように解決していくのかを真剣に考える必要があるという警告である。
温暖化によるCO2削減だけではないのだよ、という筆者の指摘、極めてまっとうな指摘だと思う。