☆♪☆ 鉄のみゅーじしゃん ☆♪☆

作編曲家・ギタリスト塩塚博のブログ。
近年は駅メロディの作曲で知られています。

アンドレ・プレヴィンを語る

2010年01月16日 20時46分22秒 | クラシック音楽
昨夜、指揮者・ピアニスト・作曲家として今なお活躍する現代の巨匠プレヴィンの特番、
「アンドレ・プレヴィン80歳・~モーツァルト 音楽 そして日本~」
がNHK教育テレビで放送されました。



僕はしっかり見て録画もしました。

日本とも関わりが深く昨秋からNHK交響楽団(N響)の常任客員指揮者となったプレヴィンが、
自らの生い立ち、経歴、敬愛するモーツァルト、そして愛する美しい日本を語り、
N響との最新のライブ演奏を楽しむ前半と、
1976年、当時音楽監督だったロンドン響との演奏を楽しむ後半の二部構成。

プレヴィンは、僕も大好きなマエストロ。
この人は、若い頃は映画音楽の作編曲とジャズピアノで大活躍していたのに、
30代にして一念発起、モントゥーに弟子入りしてクラシックの指揮者の修行に励み、
その後指揮者・ピアニストとして成功、素晴らしい仕事を沢山残しています。

クラシックしか知らない音楽家ではない、というのが彼の強み。
クラシックファンしか楽しめない窮屈な音楽でなく、ジャズやポップスの好きな人でも楽しめる、
エンターテインメント性あふれる、シャレた、センスのいい音楽を作り出す人です。

前半の演目は、
モーツァルト/ピアノ協奏曲・第24番(プレヴィン/ピアノと指揮、N響)
モーツァルト/ピアノ四重奏曲(プレヴィン/ピアノ、N響抜粋メンバー)
プレヴィン/自作最新オペラから歌曲

モー先生のPコン24番は彼の得意曲。
84年のウイーンフィルとの録音はこの曲の僕の愛聴盤のひとつであり、
2007年9月にNHKホールでN響とこの曲をやった時は僕もライブで見ています。
そもそもこの曲(の、第三楽章)は僕的にはモー先生の曲の中で一番好きな、
思い入れのある曲なのです。

プレヴィンは、自分も作曲をするので、作者モーツァルトに敬意を表してか
音符のフェイクはほとんどないのがいいですねえ。
(ルービンシュタインやゼルキンはクラシックなのに結構フェイクやアドリブが入って、
ハズレが多くて困ります。)

協奏曲には「カデンツァ」と呼ばれる、オーケストラが停止して
ソリスト一人に任された部分がありますが、作曲家プレヴィンはここで真髄を見せてくれます。
モーツァルトのメロディーを自在に変奏し、
ついには原曲を離脱してオリジナルなプレヴィンワールドへとたどり着く。
ジャズの香りもほのかに漂うモダンでディープなモーツァルトショウへといざなわれる。
これほどオリジナリティ豊かで味わい深くしかも長いカデンツァは、
プレヴィンの独壇場でしょう。

80歳になったプレヴィン、ミストーンもなく上手いけど、
やはり以前よりリズムのキレや音符のツブ立ちが弱くなりましたね。
しかし、繊細でリリカル、色気があるピアノは余人の真似できるものではありません。
ユダヤ人であり残酷な戦争を体験した少年時代、
ルックスもカッコよくて何度も結婚離婚を繰り返した波乱の人生が、
すべて芸の肥やしになっているんでしょうか。

1976年、47歳のプレヴィンも面白かったですよ。
曲目は、モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番(弾き振り)
ラヴェル/スペイン狂詩曲。
時代が時代なので、プレヴィン、ロックミュージシャンみたいに長髪。
楽団員も長髪やヒゲの人が多くて、ちょっと笑ってしまいました。
でも演奏内容は、緊張感のある素晴らしいもの。

僕はこれからもプレヴィンを追っかけていきます。
N響との演奏会にも足を運びます。もしよかったら一緒にいかがですか。


コメント
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