前回の「初議会まとめ」の最後に書いたように、
地産地消を、地域内経済循環という視点で一般質問をしたいと考えていて、
そんな情報を色々探しています。
その流れで見つけて読んだ本がこちら↓
原発の再稼働に向けた安全審査申請のことがニュースになっていてタイムリーなので、
内容を紹介させていただきます。
◆原発が廃炉になると地域経済が破綻するのか?
安全確保(事故が起きないようにすること、事故が起きた場合の備え)は当然のこととして、
事故が起きる可能性があっても原発が必要だとされることの1つに、
原発の経済効果があげられます。
本の中では、いくつかの例が挙げられていますが、
その中の1つ、ホクギン経済研究所の2001年の試算では、
1997年度までの原発関連総投資額は2兆8500億円、
このうち、新潟県内への発注工事投資額は6890億円、
と推計され、県内への経済効果は24%です。
投資額の中には、三法交付金による公共事業費も含まれています。
敦賀原発1号機の例では、
原発の総建設費のうち、地元投下分は9.4%(34.5億円)とされています。
福島原発の例ですが、下記グラフのように、
原発サイトの大熊町、楢葉町の総生産額は高いものの、
その多くが町外へ流出しています。
※本書P.56より転載させていただきます。
地域経済が活性化、雇用が増えて、人口が増えるとも言われますが、
柏崎市域の人口は1995年から2010年の15年間で1万人近く減っており、
新潟県全体の人口減少率2.3%を上回る3.4%の減少です。
柏崎市商工会議所のアンケート調査をもとに、
市内事業者の取引状況をグラフにしてみました。
非会員へはアンケートが行われていないのと、
アンケートに回答していない事業者も多いので、
正確なところは分かりませんが、
取引があることが確認できる地元企業は6%ということになります。
その6%の企業について、
全売上に占める原発関連の売上比率はこうなっています。
柏崎商工会議所「平成24年度 景況・原子力発電所受注状況についての調査」
http://www.kashiwazakicci.or.jp/general/genpatsujuchu24/summary.html
商工会議所の会員以外については、柏崎民主商工会が行った調査で、
回答率23%で、回答のあった事業者66のうち、
原発と取引があると回答したのは14業者、
そのうち売上高費10%以下が半分、50%以上依存は2業者とのことです。
◆原発が廃炉になると、自治体財政は成り立たないのか?
本書P.102のグラフを転載させていただきます。
生データの確認をしていませんが、
柏崎市の、原発による市税収入の推移を表したもので、
1985年の1号機建設から、減価償却で税収が減少し、
追加建設の度に増収している事が見て取れます。
ピークとなっている1995年は127億501万円で、
市税収入の半分以上、一般会計歳入総額の28.6%を占めていることが記載されています。
1000kWh:375円(導入当時は85円)の電源開発促進税(電気代として払っている)は、
発電用施設周辺地域整備法に基づいて、立地自治体、周辺自治体へ交付されます。
この法律の経緯としては、
安全性に対する不安、公害問題等があり、ベネフィットを与えなければ電源開発は促進しない、
地元に対して直接的なメリットがない、
公共施設の整備に伴う地元の福祉の向上をはかってもらいたい等の発言が国会であり、
発電所の地域経済効果が乏しいことの埋め合わせとして、
1974年に電源三法交付金が施行され、原発推進が進んだと。
福祉の充実を謳う「収入ありき」の財源で豪華な公共施設が建設され、
また、固定資産税収入が減ることもあり、ハコモノの維持管理が大変になると
制度改正によって、対象事業の拡大や交付期間の延長が行われ、
2003年の改正では、地場産業支援、福祉サービス提供などソフト事業、
施設の維持運営費(三法交付金で建設されたものに限らない)などにも
あてられるようになり、限りなく一般財源に近いものになったのだそうです。
自治体職員の人件費まで賄われる実体となっています。
運転開始から15年、30年経過すると、
原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金の算定で、
発電電力量を加味した単価が加算され、
40年を経過すると1億円が交付され、
さらに、使用済み燃料の貯蔵量に応じて一定額が交付される・・・
ズブズブです。
危険な老朽原発も動かさざるを得ない状況に追い込まれていくわけです。
福島県の前知事、佐藤栄佐久さんがご著書「知事抹殺」で書いておられるけど、
「地域振興」とは名ばかりで、
ないと生きていけないようにする「麻薬」であるというのが、
本当によく分かります。
より危険な強いクスリに手を出してしまうよう、
プルサーマルのMOX燃料を受け入れた場合の交付金算定への加算(ウラン燃料の3倍とか)、
核燃料サイクル施設の設置に同意し、実際にMOX燃料が装荷されると最高60億円の交付、
これらには申請に締切まで設けられています。
本書P.128から、出力135万kWの原子力発電所新設の場合の、
立地自治体、周辺自治体、都道府県にもたらされる財源を示したグラフを
転載させていただきます。
環境影響評価開始後4年目に着工、10年目に運転を開始、運転期間40年想定です。
環境影響評価を始めた翌年から(建設が正式には決まっていなくても)運転開始まで、
電源立地等初期対策交付金として年間5.2億円が交付されます。
ちなみに、原発建設計画のある山口県上関町の高齢者保険福祉施設は、
要対策重要電源立地推進対策交付金によるものです。
ということで、
原発がないと自治体財政が成り立たない、
財政維持のためには増設するしかない状況になっていると言えます。
自治体が気概をもって、原発交付金で本当の地域振興策を行っていれば、
違う結果になっているのでしょうけれども。
本書では、柏崎市の
バイオマスタウンに向けた取組や、食の地産地消推進条例などなども紹介されています。
枝廣淳子さんも、柏崎でのワークショップなどされていて、
ちょっと注目しているところです(^^)
三原市も、合併特例期間内で行うはずの財政改革達成が危ぶまれるので
がんばらないといけません
あ~~~~~
財政のことは、知れば知るほど、
政府の巧妙さと搾取される地方という構図が見えてきて、
本当にイヤになります。
がんばって、地域の経済圏をつくっていきましょう!!!!!
「原発に依存しない地域づくりへの展望」もぜひお買い求めください!
本のリンク先がアマゾンのページになっていますが、
地域経済のためには、お近くの書店をご利用くださいませ(^^)
関連情報もリンクしておきます。
◆「明けの明星」ブログ内記事:「幸せの経済学」を見て
http://blog.goo.ne.jp/the_morning_star/e/e165d9cdacc12ff372d51e04182776e0
◆「明けの明星」ブログ内記事:国際協同組合年
http://blog.goo.ne.jp/the_morning_star/e/a0967827dcd65c7e5e14fdf6e5c4bb63
◆細る原発マネー(朝日新聞2008.9.17)
http://www.gns.ne.jp/eng/g-ken/doukan/agr_454.htm
◆パイオニアの不満 恩恵に落差 細る財政 (福井新聞2010.5.25)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowermoney/21682.html
◆原発依存のままでは「炭鉱の町」になる 「原子のクニ」 原発マネー(朝日新聞2013.3.8)
http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2013030100007.html
地産地消を、地域内経済循環という視点で一般質問をしたいと考えていて、
そんな情報を色々探しています。
その流れで見つけて読んだ本がこちら↓
原発の再稼働に向けた安全審査申請のことがニュースになっていてタイムリーなので、
内容を紹介させていただきます。
◆原発が廃炉になると地域経済が破綻するのか?
安全確保(事故が起きないようにすること、事故が起きた場合の備え)は当然のこととして、
事故が起きる可能性があっても原発が必要だとされることの1つに、
原発の経済効果があげられます。
本の中では、いくつかの例が挙げられていますが、
その中の1つ、ホクギン経済研究所の2001年の試算では、
1997年度までの原発関連総投資額は2兆8500億円、
このうち、新潟県内への発注工事投資額は6890億円、
と推計され、県内への経済効果は24%です。
投資額の中には、三法交付金による公共事業費も含まれています。
敦賀原発1号機の例では、
原発の総建設費のうち、地元投下分は9.4%(34.5億円)とされています。
福島原発の例ですが、下記グラフのように、
原発サイトの大熊町、楢葉町の総生産額は高いものの、
その多くが町外へ流出しています。
※本書P.56より転載させていただきます。
地域経済が活性化、雇用が増えて、人口が増えるとも言われますが、
柏崎市域の人口は1995年から2010年の15年間で1万人近く減っており、
新潟県全体の人口減少率2.3%を上回る3.4%の減少です。
柏崎市商工会議所のアンケート調査をもとに、
市内事業者の取引状況をグラフにしてみました。
非会員へはアンケートが行われていないのと、
アンケートに回答していない事業者も多いので、
正確なところは分かりませんが、
取引があることが確認できる地元企業は6%ということになります。
その6%の企業について、
全売上に占める原発関連の売上比率はこうなっています。
柏崎商工会議所「平成24年度 景況・原子力発電所受注状況についての調査」
http://www.kashiwazakicci.or.jp/general/genpatsujuchu24/summary.html
商工会議所の会員以外については、柏崎民主商工会が行った調査で、
回答率23%で、回答のあった事業者66のうち、
原発と取引があると回答したのは14業者、
そのうち売上高費10%以下が半分、50%以上依存は2業者とのことです。
◆原発が廃炉になると、自治体財政は成り立たないのか?
本書P.102のグラフを転載させていただきます。
生データの確認をしていませんが、
柏崎市の、原発による市税収入の推移を表したもので、
1985年の1号機建設から、減価償却で税収が減少し、
追加建設の度に増収している事が見て取れます。
ピークとなっている1995年は127億501万円で、
市税収入の半分以上、一般会計歳入総額の28.6%を占めていることが記載されています。
1000kWh:375円(導入当時は85円)の電源開発促進税(電気代として払っている)は、
発電用施設周辺地域整備法に基づいて、立地自治体、周辺自治体へ交付されます。
この法律の経緯としては、
安全性に対する不安、公害問題等があり、ベネフィットを与えなければ電源開発は促進しない、
地元に対して直接的なメリットがない、
公共施設の整備に伴う地元の福祉の向上をはかってもらいたい等の発言が国会であり、
発電所の地域経済効果が乏しいことの埋め合わせとして、
1974年に電源三法交付金が施行され、原発推進が進んだと。
福祉の充実を謳う「収入ありき」の財源で豪華な公共施設が建設され、
また、固定資産税収入が減ることもあり、ハコモノの維持管理が大変になると
制度改正によって、対象事業の拡大や交付期間の延長が行われ、
2003年の改正では、地場産業支援、福祉サービス提供などソフト事業、
施設の維持運営費(三法交付金で建設されたものに限らない)などにも
あてられるようになり、限りなく一般財源に近いものになったのだそうです。
自治体職員の人件費まで賄われる実体となっています。
運転開始から15年、30年経過すると、
原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金の算定で、
発電電力量を加味した単価が加算され、
40年を経過すると1億円が交付され、
さらに、使用済み燃料の貯蔵量に応じて一定額が交付される・・・
ズブズブです。
危険な老朽原発も動かさざるを得ない状況に追い込まれていくわけです。
福島県の前知事、佐藤栄佐久さんがご著書「知事抹殺」で書いておられるけど、
「地域振興」とは名ばかりで、
ないと生きていけないようにする「麻薬」であるというのが、
本当によく分かります。
より危険な強いクスリに手を出してしまうよう、
プルサーマルのMOX燃料を受け入れた場合の交付金算定への加算(ウラン燃料の3倍とか)、
核燃料サイクル施設の設置に同意し、実際にMOX燃料が装荷されると最高60億円の交付、
これらには申請に締切まで設けられています。
本書P.128から、出力135万kWの原子力発電所新設の場合の、
立地自治体、周辺自治体、都道府県にもたらされる財源を示したグラフを
転載させていただきます。
環境影響評価開始後4年目に着工、10年目に運転を開始、運転期間40年想定です。
環境影響評価を始めた翌年から(建設が正式には決まっていなくても)運転開始まで、
電源立地等初期対策交付金として年間5.2億円が交付されます。
ちなみに、原発建設計画のある山口県上関町の高齢者保険福祉施設は、
要対策重要電源立地推進対策交付金によるものです。
ということで、
原発がないと自治体財政が成り立たない、
財政維持のためには増設するしかない状況になっていると言えます。
自治体が気概をもって、原発交付金で本当の地域振興策を行っていれば、
違う結果になっているのでしょうけれども。
本書では、柏崎市の
バイオマスタウンに向けた取組や、食の地産地消推進条例などなども紹介されています。
枝廣淳子さんも、柏崎でのワークショップなどされていて、
ちょっと注目しているところです(^^)
三原市も、合併特例期間内で行うはずの財政改革達成が危ぶまれるので
がんばらないといけません
あ~~~~~
財政のことは、知れば知るほど、
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がんばって、地域の経済圏をつくっていきましょう!!!!!
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関連情報もリンクしておきます。
◆「明けの明星」ブログ内記事:「幸せの経済学」を見て
http://blog.goo.ne.jp/the_morning_star/e/e165d9cdacc12ff372d51e04182776e0
◆「明けの明星」ブログ内記事:国際協同組合年
http://blog.goo.ne.jp/the_morning_star/e/a0967827dcd65c7e5e14fdf6e5c4bb63
◆細る原発マネー(朝日新聞2008.9.17)
http://www.gns.ne.jp/eng/g-ken/doukan/agr_454.htm
◆パイオニアの不満 恩恵に落差 細る財政 (福井新聞2010.5.25)
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/nuclearpowermoney/21682.html
◆原発依存のままでは「炭鉱の町」になる 「原子のクニ」 原発マネー(朝日新聞2013.3.8)
http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2013030100007.html
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