ちょっと専門的な情報になってしまうのですが、
生ごみ堆肥化にあたってのCO2削減について環境省の方に教えていただいた内容を
せっかくなのでアップしておきます。
脱温暖化推進員MLにも送ったところ、
勉強になった!
MLで共有してもらってありがたい!
などの声をたくさんいただきました(^^)
担当の方のお名前を伏せる必要はないのかもしれませんが、
一応念のため。。。
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広島県で脱温暖化推進員をしております、安藤と申します。
地域でのCO2削減プロジェクトとして生ごみをたい肥化する企画をたてているところです。現在、当市では生ごみは焼却ごみとして出すことになっており、たい肥化分の生ごみを焼却せずにすむことからCO2削減値を出したいと思っています。
つきまして、当市でのごみ焼却のCO2排出係数を出したいのですが、その方法を教えていただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。
また、各焼却施設ごとにCO2排出量を把握することは義務付けとはなっていないのでしょうか?その点も教えていただけましたら幸いです。
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安藤志保さま
環境省総務課低炭素社会推進室の○○と申します。
御質問いただきました、標記について、以下の通り御回答いたします。
生ごみのたい肥化による二酸化炭素(CO2)削減量について、お尋ねですので、
一般廃棄物の焼却に伴う温室効果ガスの算定方法について、説明いたします。
■焼却施設の温室効果ガス排出量の把握義務について
地球温暖化対策の推進に関する法律第20条の3において、地方公共団体には地方公共団体実行計画の策定が義務付けられています。当該計画の内容として地方公共団体の事務事業に伴う温室効果ガスの把握が含まれていますので、焼却施設から排出される温室効果ガスの排出量も含まれているかと思います。
また、同法第21条の2に基づき、事業活動に伴い相当程度多い温室効果ガスを排出する者(特定事業者)に対し、温室効果ガス算定排出量の報告が義務付けられています。地方公共団体についても、多くの温室効果ガスを排出し、特定事業者に該当する場合は、年に1回環境省への報告義務があります。
■焼却からコンポストへの変更による温室効果ガス排出量の変化について
□一般廃棄物の焼却に伴う温室効果ガスの算定方法
生ごみの焼却に伴う二酸化炭素排出量は、カーボンニュートラルの考え方から排出係数が設定されていませんが、一般廃棄物(一般廃棄物全体の排出係数です。生ごみ・廃プラ等が含まれます)の焼却に伴い、メタン(CH4)と一酸化二窒素(N2O)が排出されるため、次のとおり、焼却施設ごとに排出係数を定めています。
○メタン(CH4)の排出係数(排出ベース) 単位:[kgCH4/t]
連続燃焼式焼却施設:0.00095
准連続燃焼式焼却施設:0.077
バッチ燃焼式焼却施設:0.076
○一酸化二窒素(N2O)の排出係数(排出ベース) 単位:[kgN2O/t]
連続燃焼式焼却施設:0.0567
准連続燃焼式焼却施設:0.0539
バッチ燃焼式焼却施設:0.0724
□たい肥化に伴う温室効果ガスの排出
また、生ゴミのたい肥化(コンポスト化)に伴い、メタンと一酸化二窒素が排出されます。
我が国が温室効果ガス排出量を算定する際は、2006年IPCCガイドラインにより定められた、以下の排出係数を用いています。(温室効果ガスインベントリ報告書(NIR)2010年4月(P8-62))
たい肥化に伴う温室効果ガスの排出量は、その条件によって違いがあることは指摘されていますが、我が国においてそれらを確定させるだけの知見が現在において不足しているため、IPCCが定める排出係数を用いています。
実際の施設があるのであれば、そこでどれだけ排出しているかを把握するのが一番正確な値と言えます。
○メタン(CH4)の排出係数(乾燥ベース):10.0[kgCH4/t]
○一酸化二窒素(N2O排出)の排出係数(乾燥ベース):0.6[kgCH4/t]
□その他の留意点
なお、一般廃棄物からその一部の生ごみをたい肥化する場合、一般廃棄物の焼却とたい肥化に伴う温室効果ガスの差分だけでなく、収集運搬システムの変更に伴う変化(収集車のガソリンなど)や、一般廃棄物焼却量の減少に伴う変化(助燃剤の減少、電力(焼却炉・たい肥化施設)の増減、エネルギー回収量の変化(焼却炉で発電・熱回収している場合。たい肥化施設に排熱を有効利用する場合等)等の廃棄物処理システム全体を合わせて評価をすることが必要と考えています。
□地球温暖化係数
念のため、地球温暖化係数を合わせてご案内いたします。
上記の排出係数から算出したメタンと一酸化二窒素の排出量に、以下の地球温暖化係数を乗じて、二酸化炭素の排出量に換算できます。
○メタンの地球温暖化係数:21
○一酸化二窒素の地球温暖化係数:310
以上です。
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○○さま
お忙しい中、とても丁寧にご回答くださり、ありがとうございます。
堆肥化に伴う温室効果ガス排出のほうが、焼却の際の排出よりずい分多いようですが、回収・運搬や助燃材を考慮に入れなければ、堆肥化のほうが温暖化に寄与してしまうということになるのでしょうか?
重ねての質問で恐縮ですが、教えていただけましたら幸いです。
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安藤志保様
環境省総務課低炭素社会推進室の○○と申します。
御質問に対し、以下の通り御回答いたします。
御推測のとおり、カーボンニュートラルの考え方を前提とし、生ごみの焼却そのものからはCO2は発生しないと考えているため、現在日本国で採用している排出係数を用いて焼却とたい肥化のみを比較すると、堆肥化に伴う温室効果ガス排出のほうが、焼却の際の排出よりも多くなる可能性があります。
なお、たい肥化に伴う、メタン、一酸化二窒素の排出係数は、乾燥ベースです。含水率(生ゴミであれば80%程度からそれ以上)を考慮することで、生ゴミの廃棄物量(重さ)は、大きく減少しますので、その分メタン、一酸化二窒素の排出量も減少することに御留意ください。
また、メタン、一酸化二窒素の排出係数は、IPCCガイドラインのデフォルト値(先進国も、途上国もまったく同じ係数であり、実測した値よりも、大きな値となることが多い。)を用いており、実際に実測することができれば、排出量(排出係数)は、少なく(小さく)なる可能性があることも、ご留意いただければと思います。
以上です。
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生ごみ堆肥化にあたってのCO2削減について環境省の方に教えていただいた内容を
せっかくなのでアップしておきます。
脱温暖化推進員MLにも送ったところ、
勉強になった!
MLで共有してもらってありがたい!
などの声をたくさんいただきました(^^)
担当の方のお名前を伏せる必要はないのかもしれませんが、
一応念のため。。。
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広島県で脱温暖化推進員をしております、安藤と申します。
地域でのCO2削減プロジェクトとして生ごみをたい肥化する企画をたてているところです。現在、当市では生ごみは焼却ごみとして出すことになっており、たい肥化分の生ごみを焼却せずにすむことからCO2削減値を出したいと思っています。
つきまして、当市でのごみ焼却のCO2排出係数を出したいのですが、その方法を教えていただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。
また、各焼却施設ごとにCO2排出量を把握することは義務付けとはなっていないのでしょうか?その点も教えていただけましたら幸いです。
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安藤志保さま
環境省総務課低炭素社会推進室の○○と申します。
御質問いただきました、標記について、以下の通り御回答いたします。
生ごみのたい肥化による二酸化炭素(CO2)削減量について、お尋ねですので、
一般廃棄物の焼却に伴う温室効果ガスの算定方法について、説明いたします。
■焼却施設の温室効果ガス排出量の把握義務について
地球温暖化対策の推進に関する法律第20条の3において、地方公共団体には地方公共団体実行計画の策定が義務付けられています。当該計画の内容として地方公共団体の事務事業に伴う温室効果ガスの把握が含まれていますので、焼却施設から排出される温室効果ガスの排出量も含まれているかと思います。
また、同法第21条の2に基づき、事業活動に伴い相当程度多い温室効果ガスを排出する者(特定事業者)に対し、温室効果ガス算定排出量の報告が義務付けられています。地方公共団体についても、多くの温室効果ガスを排出し、特定事業者に該当する場合は、年に1回環境省への報告義務があります。
■焼却からコンポストへの変更による温室効果ガス排出量の変化について
□一般廃棄物の焼却に伴う温室効果ガスの算定方法
生ごみの焼却に伴う二酸化炭素排出量は、カーボンニュートラルの考え方から排出係数が設定されていませんが、一般廃棄物(一般廃棄物全体の排出係数です。生ごみ・廃プラ等が含まれます)の焼却に伴い、メタン(CH4)と一酸化二窒素(N2O)が排出されるため、次のとおり、焼却施設ごとに排出係数を定めています。
○メタン(CH4)の排出係数(排出ベース) 単位:[kgCH4/t]
連続燃焼式焼却施設:0.00095
准連続燃焼式焼却施設:0.077
バッチ燃焼式焼却施設:0.076
○一酸化二窒素(N2O)の排出係数(排出ベース) 単位:[kgN2O/t]
連続燃焼式焼却施設:0.0567
准連続燃焼式焼却施設:0.0539
バッチ燃焼式焼却施設:0.0724
□たい肥化に伴う温室効果ガスの排出
また、生ゴミのたい肥化(コンポスト化)に伴い、メタンと一酸化二窒素が排出されます。
我が国が温室効果ガス排出量を算定する際は、2006年IPCCガイドラインにより定められた、以下の排出係数を用いています。(温室効果ガスインベントリ報告書(NIR)2010年4月(P8-62))
たい肥化に伴う温室効果ガスの排出量は、その条件によって違いがあることは指摘されていますが、我が国においてそれらを確定させるだけの知見が現在において不足しているため、IPCCが定める排出係数を用いています。
実際の施設があるのであれば、そこでどれだけ排出しているかを把握するのが一番正確な値と言えます。
○メタン(CH4)の排出係数(乾燥ベース):10.0[kgCH4/t]
○一酸化二窒素(N2O排出)の排出係数(乾燥ベース):0.6[kgCH4/t]
□その他の留意点
なお、一般廃棄物からその一部の生ごみをたい肥化する場合、一般廃棄物の焼却とたい肥化に伴う温室効果ガスの差分だけでなく、収集運搬システムの変更に伴う変化(収集車のガソリンなど)や、一般廃棄物焼却量の減少に伴う変化(助燃剤の減少、電力(焼却炉・たい肥化施設)の増減、エネルギー回収量の変化(焼却炉で発電・熱回収している場合。たい肥化施設に排熱を有効利用する場合等)等の廃棄物処理システム全体を合わせて評価をすることが必要と考えています。
□地球温暖化係数
念のため、地球温暖化係数を合わせてご案内いたします。
上記の排出係数から算出したメタンと一酸化二窒素の排出量に、以下の地球温暖化係数を乗じて、二酸化炭素の排出量に換算できます。
○メタンの地球温暖化係数:21
○一酸化二窒素の地球温暖化係数:310
以上です。
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○○さま
お忙しい中、とても丁寧にご回答くださり、ありがとうございます。
堆肥化に伴う温室効果ガス排出のほうが、焼却の際の排出よりずい分多いようですが、回収・運搬や助燃材を考慮に入れなければ、堆肥化のほうが温暖化に寄与してしまうということになるのでしょうか?
重ねての質問で恐縮ですが、教えていただけましたら幸いです。
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安藤志保様
環境省総務課低炭素社会推進室の○○と申します。
御質問に対し、以下の通り御回答いたします。
御推測のとおり、カーボンニュートラルの考え方を前提とし、生ごみの焼却そのものからはCO2は発生しないと考えているため、現在日本国で採用している排出係数を用いて焼却とたい肥化のみを比較すると、堆肥化に伴う温室効果ガス排出のほうが、焼却の際の排出よりも多くなる可能性があります。
なお、たい肥化に伴う、メタン、一酸化二窒素の排出係数は、乾燥ベースです。含水率(生ゴミであれば80%程度からそれ以上)を考慮することで、生ゴミの廃棄物量(重さ)は、大きく減少しますので、その分メタン、一酸化二窒素の排出量も減少することに御留意ください。
また、メタン、一酸化二窒素の排出係数は、IPCCガイドラインのデフォルト値(先進国も、途上国もまったく同じ係数であり、実測した値よりも、大きな値となることが多い。)を用いており、実際に実測することができれば、排出量(排出係数)は、少なく(小さく)なる可能性があることも、ご留意いただければと思います。
以上です。
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