松ちゃんの『やりっ放し やられっ放し』

あなたが気になりだしてから 世界が息づいてる(松任谷由実『緑の町に舞い降りて』より)

今どきの喧嘩~愛しさ余って憎さ10億倍~

2006-06-20 18:38:16 | dramas
なんばは虹のまち。男が女を振った後。振られた女の友達が振った男を問い詰める。

男「なんだよ、呼び出して。」
女「なんだよって、分かってんでしょ。」

男「…」
女「聞いたわよ、隊長から。」
男「ああ、その事か。てっきりマミコの事かと…」

女「勿論その事もよ。でも今は別。北朝鮮がミサイル撃った来てるこんな時に恋バナなんて二の次よ。」
男「まぁ確かに。」
女「出兵するんですってね。」
男「そうか。耳に入っちゃったか…」

女「あなた馬鹿じゃないの!?」
男「馬鹿じゃねぇよ。」
女「馬鹿よ…大馬鹿よ!【大場かよ!】って突っ込んでる訳じゃないからね。」
男「分かってるよ。」
女「大(だい)の馬鹿って事よ。」

男「分かってるって!…説明しなくてもいいよ。」
女「あなたを大場久美子とも思ってないし!」
男「しつけーよ!」
女「…。」
男「…。」
女「シ、シソ扱いなんて決して…」

男「うるせーよ!分かってるって言ってるじゃねーかよ。本題戻れよな。俺忙しいんだけど。」
女「本題に戻ります。」
男「イチイチ言わなくていーよ。」
女「とにかく!あなた馬鹿よ。別にあなたがすることじゃないじゃない。」
男「そういう考え方が駄目なんだよ。」
女「そういう考え方って何よ。」
男「何でも政府や自衛隊に任せて自分は関係ないみたいな。」

女「…」
男「いつまでも当事者意識を持てないのが日本人の悪いところだよ!」
女「あなたも日本人じゃない。」
男「だから俺が先頭に立ってやんだよ!日本人の意識を、革命家の俺が変えるの!!」
女「どうせ何も出来やしないわ。口だけよ。」
男「口だけじゃねーよ。」
女「だってあなた、自主出兵でしょ。聞いたことが無いわ。」
男「前代未聞って理由でやめてたら革命なんて出来やしねーよ。前例に無いことをするのが…」

女「あなたの仕事って言いたいんでしょ?」
男「分かってんじゃねぇか。」
女「自衛隊に入ればいいじゃない。」
男「憲法上機動的でないんでね…」
女「だから馬鹿なのよ!大体ね、あんたみたいな高がサバイバルで遊んでるだけのアキバ野郎がね…」
男「何だよ…」
女「でかい事なんて出来る訳ないじゃない。服装見れば分かるわよ!」
男「…」
女「まず、そのバンダナ!!やる気あんの?下地赤で白いハイビスカスって…隠れる気ないでしょ?」

男「俺は隠れて狙撃するなんて卑怯なことはしねーよ。正々堂々と一対一で…」
女「…。それから!この服!!ただのツナギじゃない。」
男「…。」
女「次!このマシンガン!ちょっと撃ってみなさいよ。」
男「いや無理だから。許可制だからまず隊長に聞かないと。」
女「はぁ!?ちょっと貸してみなさいよ!」
男「ちょ、ちょっと!やめろって!!」
女「いいからよこしなさい!」

男「ちょ…おい!」
女は迷わずトリガーを引いた…
コロスケナリ~!トリガーヒイテクレテアリガトウ。ハッシャスルヨ!イッショニ
                             …ババババババババババババババ!!!!!
男「…」
女「何よこれ…」
男「20mmマシンガン・コロスケスペシャル。」

女「いや名前とか聞いてるんじゃないのよ。」
男「特注だし…」
女「でしょうね…いや、そんなことはどうだっていいの。此れで北朝鮮を?」
男「いやこれはアメリカに輸出する大事なやつだから…」
女「!!!!!輸出ってあんたね!アメリカも要らないわよ!こんなおもちゃ。とにかく!!」
男「…」

女「あなたは何も出来やしないわ。ってか何もしなくてもいいの。」
男「何も?」
女「そう、何も。」
男「でも…」
女「でもじゃない。」

男「しかし…」
女「いや、しかしじゃない!今安部官房長官がちゃんと対応してくれてるから…それよりマミコよ!」
男「何だよ。」
女「何だよじゃないわよ!振るのはいいわよ。あなたその時なんて言った?」

男「えぇっと…」
女「あなた、1000%無理って言ったでしょ!?」
男「ああ、あれ?」

女「なんでそんな事言うの?」
男「だって…」

女「いや、だってじゃない。それが人を悲しませるだけって何で分からないの?」

男「それは少女がなぜ時をかけるのかって聞くのと同じくらい難しい問題だな。」
女「何言ってんのよ…何言ってんのよ。大体1000%ってね、中途半端なのよ!!」

男「????」
女「どうせなら1000000000000くらい言っちゃいなさいよ!じゃないと女はね、諦め切れないのよ。」

男「小学生じゃないんだから…」
女「ハタチよ…そして、私のところに来なさい☆」
男「1000000000000%無理…」

と断りつついきなりの告白に全身が昂ぶった。手の力も漲った。力んだ…
コロスケ「コロスケナリ~!トリガーヒイテクレテアリガトウ。ハッシャスルヨ!イッショニ…
       バババババババババ…」
女「そう…」

男「…」
女「…諦め切れるか!」
男「Give Up!」
女「いや、Never Give Up!!Never,Give Up!!Never....」

男「ちっ、しょうがねーなぁ」
二人は宿屋の方に向かった…
それも、ダッシュで。

向かっただけで通り過ぎるとも考えられるが、しかし!
二人は宿屋に泊まった。

おわり(最後のほうは力尽きてグダグダになってしまいまし…否。宿屋に行ったから力はあったか…)

現代日本での愛に多く見られる結末★

2006-06-06 20:48:44 | dramas
男「…イエーーーーーーーーーーーーーーィ!!」

同席の娘達「ははははははあはあっはあっは!!!♪…」
とある私立大学のあるサークルの飲み会の席。

チラホラ見える1回生の女の子も入ったばっかでまだ慣れないのか
盛り上げに盛り上げている上回生の男・篤彦のフリに答えるだけ。
そこに同回生の女・敦子が顔を見せる。建築会社の社長令嬢だ。

敦子「どう?盛り上がってる?」
一回女A「あっ、はい…」
篤彦「おお、敦子か。水差すなよな~!」
敦子「み、水を差すって失礼ね。心配して来てあげたのに。いい?この人ね頭オカシイから。」

一回女B「はい…」
敦子「否。はいって…あなた失礼よ!!まだ入って1ヶ月なのに、それは早過ぎというものよ。」
篤彦「お前が誘導しといてそれはないだろ!!いいよいいよ、気にしてないから。」
一回女B「いや、あの、ほんとにそう思うんです!!」
一同「………………。」

篤彦「…おめえが来てからオカシクなったんじゃねぇか!あっち行ってろ!」
敦子「なによ!あなたがどんな事を一回生に聞いてんのか、一回生を!心配しに来たの。
  何?みんな、何聞かれたの?」
一回女A「何か…好きな食べものとか…」
篤彦「基本だよ、基本。」
敦子「何が基本よ!幼稚園児の自己紹介じゃないんだから!」

篤彦「大学生や…」
敦子「もうちょっと捻りなさいよ!」
篤彦「分かってないな。最初は好きな食べ物とか簡単なやつで良いんだよ!」
敦子「分かってないのはあんたよ!」
篤彦「あのな、いきなり『好きなノコギリの刃のカタチは?』とか聞いてもハァ?だろ!」
敦子「何でここでノコギリなのよ。ノコギリを舐めてんじゃないわよ!」
篤彦「むきになるなよ!じゃあ『好きな植物学者は…」

敦子「本題から目を背けないでよ!!小泉か!」
篤彦「本題は【こういう場で何を聞くか】やろが!本題から逸れてるのはそっちじゃねーか。」
敦子「もうそんなこと、どうだっていいの!!それより、さっきのあなたの発言よ!」
篤彦「はぁ?」
敦子「あなたの建築業界全体に対する差別的発言よ!」
篤彦「何がやねん。【ねーか】のどこが…」
敦子「違うわよ!もちょっと上!」
篤彦「?【本題から逸れ】」

敦子「違う。もっと上よ!」
篤彦「【小泉】」
敦子「それはあたしの発言。それはあ・た・しのナイス・ツッコミ。自分で褒めてあげたいくらいだわ。
    私のナイス・ツッコミ盗らないでよね。もっと上!」
篤彦「【植物学者】」
敦子「もっと上!」
篤彦「どこまで上がんねん、お前。カリン様の処見えてきたで。ほんま。」
敦子「ほんとだぁ♪」
篤彦「でも…」
敦子「そう、私たちの目的はあくまで『精神と時の部屋』まだまだ上よ。」

篤彦「いや、飛んでいけばいいじゃん。」
敦子「…盲点ね。いや言うてる場合じゃない。上よ!上!!」
篤彦「(こいつノルなぁ~)…痒い処もここですか?」
敦子「あっ、もうちょい下かな…そう!あぁ気持ちイイっ!前から痒かったんです馬鹿☆『ノコギリ』の行よ!」
篤彦「どこがだよ!ただ『ノコギリの刃のカタチ』を出しただけじゃねぇか!アホか…」
敦子「…」
篤彦「ふんっ、でしゃばり腐ってからに。

   あっち行ってなさいよ!うつっちゃったじゃない!女言葉が。」
   さあて…気持ち切り替えて行こか!!パァーっとな、パァ…」
敦子「ちょっと待ちなさいよーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
一同「!!!!!」
敦子「『好きなノコギリの刃のカタチ聞かれてもハァ?』だ?
   私は縦ビキよ!どうよ、答えたわよ。さぁ、その先は?」
篤彦「…。」

敦子「そこから話を拡げられないならね、ノコギリの刃を簡単に引き合いに出さないでよね。
   そういうあんたの無責任な発言ムカつくの。前から言おう言おう思ってたけど今言っちゃった♪」
篤彦「…」
敦子「黙ってないで、何か言ったらどうなのよ!」
篤彦「しーん。」
敦子「…。何か言ってよ、ねぇ!ねぇってば!!

   じゃあ、こっちが言わせて貰うわ!あなたのどこまでもフザケてるところ…
   ワイルドさが無いとこ、甲斐性が無い、まだあるわ。ギャップがない、中国語下手…
   ばか、あほ、間抜け…好きなのよ!あなたが好きなのよ!!好きだからーっ…」
篤彦「!」
敦子「あなたが好きなだけに、そんな無責任ところとかが逆に腹が立つのよ!!」

敦子は泣きながら部屋から出て行ってしまった…しかし、篤彦は追いかけず。
その時、部屋どころか店中の皆の中から「追いかけろコール」が沸き起こった。
「追っいかっけろ・追っいかっけろ・追っいかっけろ♪」
次に「追いかけろコール」から、リズムとりにくいのに「catch her if you canコール」に変わった。

「catch her if you can・catch her if you can・catch her if you can♪」
篤彦は、やっと自分の心を知り、開放した。

「おいっ!待てよ!!」と最愛の人の方へ走り出した瞬間
ゴツっ!!篤彦は右足の小指をテーブルの脚にぶつけ、倒れこみ、悶絶…思いの外、痛みが引かず

数時間後に死んだ。敦子に自分のキモチを伝える事もなく…

after story:飲み会の会場となった店は死人が出たとして客足が減り閉店。
サークルも学内外問わず、篤彦の意味不明な死が問題になり、潰れた。

敦子がの訃報を知ったのは数日後。部屋を飛び出した後、数日間ラブ・ホテルで
4泊分の料金を前払いしてまで篤彦が来るのを待っていたが何時まで経っても来ない篤彦に失望…
だんだん腹が立ってきて逆ギレ。

最早篤彦に対する愛も冷め、その死を知らされても特に思うこともない。
というか、もう他に好きな人居るし…という感じで、遺族の手前火葬までは付いて行った。

好きな人が変わりやすく、彼女の中ではどんどん愛が建っていくが、愛は打ち建てるだけでよいのか?

披露宴

2006-05-03 06:06:20 | dramas
この度結婚することになった2人が、披露宴をするか否かで口論を繰り広げている。

A「どうしてもしなきゃ駄目なんだって。」
B「嫌、だから。する必要ないって!!…なんで、理由は?」

A「理由なんかない、何がなんでも…」
B「理由が無いって…あのね、世の中に理由がなくて存在するモノなんてないの!」
A「また、難しい話して。」

B「難しくなんかない、ちょっと!人が話してる時にあやとり…しかも1人で。」
A「あっ、ごめんごめん。じゃあ、今度はこっちが聞くけど、なんでそんなに拒むの?」
B「なんでって。あんなもの恥ずかしいだけだし。」
A「恥ずかしいってどういうこと?結婚が恥ずかしいことなの?」

B「いや、結婚自体はそうじゃない、披露宴が恥ずかしいの!わざわざ見せびらかす必要ある?」
A「…本当のこと言うと、自分だってどうでもいいよ。でも、親に晴れ姿見せてあげたいじゃん。」
B「…」

A「どうせだったら司会もするし。」
B「いや、いい…」

披露宴は譲れない新郎と、全く興味のない新婦がそこに居たのである。

ひっこし。

2006-03-27 07:56:18 | dramas
ピンっポーーン…

#6「あ、来た来た。はいはいーぃ♪」
男「あっ、どうもこんにちは!私ですね…」

#6「今日は宜しくお願いします!」
男「は!?」
#6「いや、だから。今日は宜しくお願いします…」

男「なんですか?えっ、なんですか?(やっべ、ややこしい奴の家選んじゃったよ…)」
#6「引越しですよ。」
男「いや、あの、私新聞の勧誘で…(早々に引き上げんとエラい目に遭うな、こりゃ)」
#6「あっ、新聞の勧誘…あっ、そう。まぁどうでもいいけど引越し手伝っていきーや!」

男「いや【いきーや】って…あの、失礼します。」
#6「ちょちょちょちょちょエカチェリーナ…あっ、待ちーな」
#16「#6さん、寒いっす。」

#6「引越し手伝って行きって!」
男「ちょ、ちょっ、ちょっとやめて下さい!」

#6「じゃ俺引越しせんわ!!!みんなそんなセコい事言うなら!もういい!ここから動かんからな、一生!」

鬼ヶ島にて・弐

2006-02-02 02:31:15 | dramas
東の方から日が昇り始めて一刻過ぎ。桃太郎、犬、雉、猿の一行は鬼ヶ島に辿り着いた。

この早い時間にも関わらず鬼方の大将は、独り海岸で待っていたのである。
鬼 「はっはっはっは。よく来たな!!待っておったぞ。」

一行「はぁはぁ‥はぁはぁ…はぁはぁはぁはぁ…んん、はぁはぁはぁはぁはぁ」
鬼 「早速と言いたいところだが…泳いできたのだからしょうがないか。」
一行「はぁ~はぁ…はぁはぁはぁ」

鬼 「そろそろいいか?」
一行「はぁ…はぁ…」
鬼 「まず、」
一行「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ…」

鬼 「ええ加減にせぇ!!本題に入ろうとするといっつもこれ、いっつも。」
一行「はぁ?」
鬼 「いや、だ~か~ら~、早く本題に入ろうって話!」
一行「じゃあお前、本州からこの島まで泳いだことがあんのか、こらぁ!!」
鬼 「いや、ないけどさぁ…」

一行「いい加減定期船かなんか交通手段を整備しろや!!どんだけ泳がす気やねん。」
鬼 「それは内政干渉でしょう。」
一行「ちがうわ!これはお前らの問題であるとともに、俺達の問題でもある。外交問題だよ。」
鬼 「簡単に言うけどなぁ…汽船会社が契約してくれねーよ、どうせ。」

一行「俺らがなんとかする!!」
鬼 「契約できても利用する人がいねぇーよ。クロノ・トリガーでも使わないものをどうして現実社会で…」
一行「ゲームの話だろ!!現実社会とバーチャル世界を一緒にしてんじゃねーーーよ!!」

鬼 「…私たち鬼の身にもなれよ。私達がどんだけ…どんだけ蔑まれて…いい気になりやがって…」
一行「…」

鬼 「あとなぁ…1人ずつ喋れ!さっきからみんな揃って喋りやがって、マナカナか!!」











一行「ちゃう。」

鬼ヶ島にて・参

2006-02-01 03:25:53 | dramas
西の方に日が沈んで二刻が過ぎた時、一行は既に鬼ヶ島領海に入っていた。

もう何日も…鬼方の大将は、独り突堤に立ち、待っていたのである。
鬼 「おっせーな…時間にルーズなとこはいつまでも経っても‥」

一行「変わらんか!?」
鬼 「!!」
一行「午前9時ジャスト…さっきの言葉は撤回してもらおうか!」

鬼 「ふ、残念だな、1秒だ。9時1秒。たかが1秒、されど1秒…」
一行「この際来たんだからまぁ細かい事は言うない。」
鬼 「大事な事を教えよう。午後9時だよ」
一行「!!!」

鬼 「まぁサングラスをして…いや目が…失礼。」
一行「…しかし、周りの様子がおかしい様だが…」
鬼 「一体ここを何処だと思ってきたのだ?」
一行「瀬戸内海じゃないのか…」
鬼 「馬鹿かお前は!!おっと失礼。カリブ海だよ。」

一行「そうか!今解った…【あつい処での事件だから】という上司の言葉の意味が…」
鬼 「カリブ海は暑いからな。日本の熱帯化は噂には聞いているが、瀬戸内海もさすがにここまでは。」
一行「そうなのだ。そして約30年前にもキューバ危機でアツくなり…最後のピースがはまった。」
鬼 「2ピースのジグソーパズルは思いの外難しいってことか。本件はもっと難解だが大丈夫か?」

一行「ああ、こいつがいれば百人力だ。」
鬼 「こいつが噂の…」
一行「そうだ、こいつが私の目になってくれている。頼もしいやつだよ。」

鬼 「猿や雉はどうした?」
一行「そんなのいないよ…」

鬼 「そうだった…勘違い勘違い。まぁとにかく頼むよ、古谷さん。これで事件解決だな、わっはっはっは」

低迷窟から脱出

2005-12-30 16:21:42 | dramas
この私が堕ちたと思ったか…そろそろ復活しましょ♪

と言っても書く事が、あるはあるのだが
趣向を凝らす意欲というか情熱のようなものが今ではすっかり窄んでいるのです。

ああ、そうだ。
久にあれでも書こうか。男と女の会話でも。
~男が目隠しし女に連れられて階段を下りている~

男「どこまで降りる気だよ。」
女「黙ってて。」
男「…」
女「ほんとに黙り込むなんて。だから最近の男は弱いのよ。」

男「…」
女「ちょっと黙ってないで何とか言いなさいよ!」
男「おめーが黙ってろって言ったんじゃねーか。絶対に貫く矛と絶対に通さない盾が…」
女「矛盾って言いなさいよ。矛盾って。」
男「そんなことよりどこまで降りる気だよ。相当降りた感があるんだが…」

女「…はい、地下53階。」
男「は?」
女「あとちょっとよ、目標の地下70階まで。がんばろ♪」
男「いや、『がんばろ』じゃない。ちょっと状況が把握できない…」

女「いいの!今はそれでいいの。」
男「今は…?いや違うがな。何言ってんの?ちょ、ちょっとこの目隠し何とかしてくれ…」
女「リレミト…」

男「なんか言った?…おい…おい!!!」
しかし、そこに女は居ず、男の声が木霊するだけであった…

男「冗談じゃねーよ!」

頬を赤める葉と屍~houkiより~

2005-11-29 03:29:36 | dramas
棲家の門前にて落葉を集める、絶望しかける19歳の娘。

箒を両手でしっかり握りしめ、それを、それらを掻き集めていた。落葉を。
竹箒の先の何十何百の、いくつもの隙間は紅く、踊っていた。

足元の、既に落ちてしまっている葉と
顔の傍に、ただ今落ちて舞っているのと
枝に、まだ枝に掴まっているのと…

総てが総て、紅く染まっているのである。
それぞれどのような心情から頬を紅くしているのであろうか。
きっと三様に別々なのだ。
そんな事を考えながら手はちゃんと動かしていたので、足元にはすっかり真っ赤な小山が出来ていた。

例えば、地に仰向けに臥している葉は
辱めのみに強烈に支配されているのだろう。
枝に掴まる力も絶え、葉として資格を失いもしたが
その無力を恥ずかしがることは出来る。でも、それしか出来ないのも事実なのだと…

すでに死した葉がこうなのだから
人間だって否定はできない。
人間も死んだら、特に血を流した屍。
だって人間、文明的な暮らしを文明人らしく誠実に営んでおれば
血など流さなくてもよいはずなのだ。

戦いの址に、転々と積もる紅い山。
死人の山。
戦いの紅い址印。流れ滴る血がそうしているのではない。
死人も頬を紅くしているだ。
どのような想いか。
紅葉と同じく、辱めである。

お国のために死ぬなど…屈辱のなにものでもなし。
何なのだそれは。やってられない。
かといって自分のためでもない。家族のためなどでもない。
何かのために死ぬなどナンセンスなのである。殊もあろうに御国のためになど。
それでなくとも十分祖国を愛してるというのに。

人は生きたいに決まっているのだ。
紅葉と同じく
ただ己の無力から、血がどくどく…意識が薄れるに従って、それを覆う皮膚が紅く染まっていくのだ。
それだけなのだ。問題はそれに至る契機である。自分の身を紅く染め上げるに至った事由、それである。

血が彩っているのではない。堅く断っておく。
葉のほうがまだましである。精一杯生きようと枝にしがみついて…一方、人が
不善の戦いに狩り出され、そこで死ぬるは、辱めざるをえなく、そして頬を赤らめるに十分なのである。

己の体ひとつ己の意思で支配できないまま、不当な外界の犠牲となることが
どれだけ屈辱か。恥ずかしい。

だから、人の血には【赤】以外介在しなく、そして、血は紅葉より紅いのである。

houki

2005-11-26 07:28:44 | dramas
芳紀、その年頃の女は十九であった。

蜂起。今日も、どこかの国(この国かもしれぬ)のどこかで、誰かが戦い続けている。
しかし、わたしには関係ない、と割り切るしかない。そう、今わたしがすべきことは、お掃除。

箒、そして、その女は門前で掃除をしていた。
枝にさえ摑まってられず、でも自分の無力を恥ずかしがることは出来、もうすっかり紅らめて…
集められた落葉は、ひとつの山となっていた。思いつめ、気づかない。

放棄。ほうきを放り投げ
女は家の中に、駆け込んで行ってしまった。
二階の誰のものでもない奥の部屋へすっかり閉じこもってしまった。
灯りもつけず、差し込んでくる陽を頼りにするでもなく、薄暗い闇のなかで、鏡を見つめていた。

法規。その言葉を耳にしただけでも吐気がする。
ろくなことしか縛らず、
だから、御国のためなど馬鹿らしいとしか思えないのである。

法喜。この言葉も、吐気を伴う。
仏陀が我々に何してくれた。基督も、アッラーも…私には、もう確実に信じるものが無くなった。

彗の如く、大きく黒々した寂しさと不信感、それと不安が堂々と目の前に、その姿を現したのです。

先生が来た!!

2005-11-24 17:45:15 | dramas
女子「今日、新任の先生が来るらしいわよ。どんな先生かな。かっこいい先生がいいな♪」

男子「けっ!何が新しい先生だよ。どうせ、つまんねぇ奴に決まってる。」
女子「ひがんでやんの。今度こそ立派な先生よ、きっと。」

男子「とにかく!俺たちにちゃんとした、ちゃんとした教育をしてくれるって、それだけでいいんだ。」
女子「あら、教育に少しは興味があって?」
男子「もちろんさ!だから容姿なんてどうでもいい。要は中身だよ、な・か・み☆」

女子「確かにそうね。今までの教師は…まぁ昔の事なんて。これからよこれから。」
男子「まぁよ、今俺たちが先公に求めるもの、何だと思う?熱意だよ。」
女子「答える間を与えなさいよ!何で答えを言っちゃうの!?」
男子「もちろん教養や指導力は勿論だけどさ。やっぱ、殴ってでも俺たちに教えて欲しいんだよ。」

女子「私たちを引っ張ってくれるってこと?」
男子「簡単に言えばそだな。近頃の教師はどいつも腰抜けで。第1声で【どうも】なんていう奴は…」
女子「あっ分かるっ!始めから変に下手にまわって生徒に媚を売る感じ?(小声で)来たわよっ。」

ガラガラ…
新任教師「どうも~!!!!」

女・男子「はぁぁぁぁぁぁ~」